会社の同僚の女の子がいる。彼女は前向きな仕事ができる人で、すごく素敵だ。気配りも出来るし、敵を作らない誰からも愛されるタイプの人間だ。一見、真面目に見えて、ボクも信用していろいろな話をした。彼女も親切に受け答えしてくれた。今を切り取れば、妻よりも最新版のボクを把握しているだろう。でも、それは後悔に変わった。彼女は何も受け入れてくれていたわけではない。こちらがゴキブリホイホイに望んで入っていったようなものだ。年齢も離れているし、ボクは既婚者。単純に仲間がほしかったボクと、浮気者だと思われているであろうギャップが埋まるどころか、食事を重ねるたびに乖離していくのを肌で感じていた。彼女はそんなことはないと否定するが、表情や言動から、直近1ヶ月の間に何かがあったことは言うまでもない。と断言できるほどに、ドラスティックに離れていった。そして人は、嘘をつくとき、隠し事をするとき、聞いてもいないことを喋りだすものだ。
離れていくものを追いかけても仕方ない。今まで素直に彼女を信じたことに対する後悔はある。その優しさは誰のものでもなかった。人を傷つける優しさも存在する。その優しさに甘えてしまった。それはボクの落ち度だ。彼女にとっての会社の同僚は、レベル感でいうと、そこらのナンパ男と変わらないものなんだろうと思う。そしてボクは友達にすらなれなかった、望まれなかった、選ばれなかった。それが現実。信頼されるって、本当に難しい。

周りからしたら、彼女とボクは仲良く見えているらしい。それは、ボクが積極的に絡んで行くからであって、彼女からアクションを起こすことはほとんどない。周りは都合の良い部分だけを切り取るから結論が単純なのだ。
周りからは、彼氏ができたらまず報告されるでしょ?と言われるが、それはあり得ない。彼女がオープンなのは信頼があって話しているのではなく、聞かれたタイミングで素直に答えているだけであり、彼女の情報を知っているかどうかは、単純接触回数でしかない。これまでに会ったことのない人種であることは間違いなく、いろいろと消耗させられる関係である。また、彼女の気持ちは、序盤に盛り上がりがくるから、考えるよりも感情的に動くのだろうなと考えたりする。結果、彼女とは、完全にタイミングが合わずにすれ違った自負がある。恋愛要素抜きで。