「巨大なお釈迦さんが置いてある広い部屋」
これが私が覚えている一番古い記憶だ。
その部屋の話を母にすると、どうやら私が2歳か、3歳の時に行った場所らしい。
(母は、その頃以降は行ったことがないらしいので、私が覚えていることに驚いていた)
私も何故そんな、子供にとって楽しそうではない、微妙な場所の記憶があるのかわからない。
「幼児期の記憶が無くなるのは、トラウマにならないようにするためだ」 と、
聞いたことがあるけど、ウソか本当か、わからない。 でも、
それが本当 だとすれば、経験不足の塊の赤ちゃんにとって、日常は
トラウマになりうる出来事ばかりなのだろう。
親に抱っこされて寝ていたはずなのに、起きた時には、
並べられた座布団の上に転がされ、抱っこしてくれていた親がいなくなっていたら、
自分で起き上がることも、歩くこともできない赤ちゃんにとっては、
捨てられたと、思うかもしれない。 寝ることもトラウマになるのかもしれない。
と、納得する。
不眠症で赤ちゃんが悩んでいると、聞いたことがないのは、
きっと、忘れてしまうおかげなのかも知れない。
私の一番古い記憶の実際は、その部屋を出た廊下に自動販売機があって、
つぶつぶオレンジのジュースを飲んだことだ。私は姉と二人で1本を分け合ったのだが、
一緒にいた幼馴染が一人で1本を飲んでいるのを、 羨ましく思ったことだった。