静寂

星たちがお喋りをやめ、月が照れたように雲の後ろに隠れた

静まり返る夜の公園

夕方の子供たちのざわめきが嘘のように

静寂が夜の公園を包んでいた

車のアクセルすら聞こえない通り

静寂に気圧されたようにわたしは歩みを止める


斜め前 小高い丘にひっそりとそびえたつ桜の木

数日前までは赤提灯とライトを浴びて眩しそうにしていた

薄紅の肌を血色に染め、艶然とした笑みで花見客を見守っていた

屋台の威勢のよいおじさんの声、花見客の高らかな笑いが、

残骸のようにわたしの耳に蘇ってくる

緑の衣装を纏った桜よ、消えた賑わいをどう思っているのか

沈黙を破ろうと口を開きかけて、わたしは失語する

静寂を破ってはならぬ、そう言われた気がしたからだ

桜か夜の公園か

声の主が誰なのかはわからない


得体の知れない静けさに怯えつつも、わたしは忍び足で歩き始める

ざわざわざわ

あまりの強さに頭上の木々が、わたしのバッグが揺れる

耳元で唸るように嗤ったのは

一陣の風