役者が揃ったこの部屋で
私のいきみ声が響く。
頭の横あたりにいる旦那の
「がんばれよ~がんばれよ~」
気合いの入っていない、棒読みの応援。
それに腹を立たせながらいきむ。
あとから旦那に聞いたら
「だって、なに言えばいいのかわかんなかったのに」
だと。
耳元でヘナチョコ応援聞きながら
命かける私の身になってみろっつーの!!
陣痛の強さもだんだん強くなってくる。
ここで私は唖然。
「う、動いてる!」
そう、娘はまだ動いていたのだ!
まさか、分娩台に乗ってまで胎動を感じるとは。
いや、胎児も出るのに必死だから、
動くのは必然?なのかな?
でも、マジで動きすぎ。
そして、どうやら頭が見えてきたらしい。
もう、何が痛いのか、
どのくらい痛いのかわからん状況。
そのとき
ギリギリギリ‥‥ギリギリ‥‥
この音は‥‥?
股の先にはN助産師。
なにやら手を動かしている。
うーん、考えたくないけど、
私のアソコを伸ばすために
指突っ込んで子供の頭の周りなぞってる?
(わ、わかりにくいかな‥‥)
それが、こんな音を発している。
多分そうに違いない。
考えただけで恐ろしいことが
目の前で繰り広げられていた。
そして、
「頑張れー!次で最後!」
N助産師の後ろにいた先生からの言葉。
旦「ほら、最後だって!がんばれー」
私「くぅぅぅぅぅぅぅぅーーーッッ!!」
正直、本気を出していなかったアホな私。
やけに冷静で、
最後と言われりゃやるしかない、と。
必死で力を込める。
しかし、
先「よーし、次が最後だー!」
オイオーイ(・∀・)
ったく勘弁してくれよ。
そんな何回も本気出せねーよ?
私「んぅーーーーーーーーッッッ!!」
先「もう1回!最後だよ、最後!!」
フザケンナヨ?え、ふざけてんのか?
もう最後は怒りまじりのいきみ!!
N「はーい、もういきまないでねー」
マダヤッテヤローカ?な気持ちは押さえて、
力尽きた私。
ぬぽんっ
N「はーい、出てきたよー」
胸のところに血まみれの我が子が置かれる。
力尽きた私は、ぬらーりと首を起こし
ついに我が子との対面を果たした。
私「あぁー、やっと会えたねー」
なにこのドラマの台本ばりの言葉。ステキ。
もういろんな感情が混ざってよくわからん。
そして、バースプランでも希望していた
「旦那がへその緒を切る」
このイベントが行われた。
N「3回ぐらいに分けて切ってね」
こう言われたにもかかわらず、
「案外スッと切れる」と
2回で切りやがった旦那!
私にも切らせろこの野郎!
そして子供はキレイにしてもらって
部屋の外にいる母や義両親と対面、抱っこ。
私は、産後の処置を受けていた。
N「胎盤、見る??」
私「い、いや!いいですっ!!」
今思えば、見とけよ~って思う。
あんだけ命懸けたんだから
胎盤見るのぐらい、どうってことないだろ。
そして、アソコがちょっと裂けたらしく縫合。
処置が終わり、体を拭いて着替えさせてもらって
自分の病室へ‥‥。
私は、戦場をあとにしました。
~つづく~

