大事な基礎スキルの1つ

 

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◆会社情報調査

 

前に「032_お客さんについて調べる癖:関心を持つこと」でも書いたが、

新しいお客さんに行く前、必ずお客さんのことを調べている。

 

①会社概要(創業年、社員数、理念、ビジョン)
②事業、商品の内容 
③本社・拠点(営業所・店舗・工場など)、関連会社、海外拠点
④売上、利益率、前年比で何がどう変わったか 
⑤主要銀行、取引先(仕入先・顧客) 
⑥市場での順位、主な競合、競合との差別化ポイント 

30分から1時間程度で、パワーポイントに対象のページをペタペタ貼ります。
思ったこと、気になったこともテキストボックスでペタペタ貼ります。
 

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◆会社情報調査からの仮説作成

 

前回は、調査の目的は「お客さんとのコミュニケーションをとりやすくするため」と書いたが、

今回は仮説作成の観点で調査の意義を書きたい。

 

1)売上規模→投資額の大きさ、コンサルへの支払い可能額の大きさが予想できる

・まず、売上規模の大きな会社でないとコンサルは雇えない

・ただし、大企業でも間接業務は投資はでづらい

 

2)業績→変革意欲の大きさが予想できる

・業績が増収増益なら変革への意欲が強い

・減収減益(ジリ貧)の方が変革必要性が高いと思うが、大抵はそうではない

・大企業の間接部門や旧事業は業績規模は大きくても横ばい、またはジリ貧なので投資はでづらい

 

3)古い→変革への慣れ具合、社内の意思決定に時間がかかるかどうかが予想できる

・古くからの組織文化を重視する組織は変革に慣れていない(かつ、変革の押し売りは拒否反応をうける)

・新しい会社(20年未満の会社)は変革活動に慣れている可能性が高い(長期・短期目線)

・古い企業でも新事業(10年未満の事業)なら変革活動に慣れている可能性が高い

・組織が事業別になっている場合は社内調整に時間がかかる
 

4)歴史→テーマによって投資がでやすいかどうかが予想できる

・大規模な統廃合が繰り返されている企業、その課題解決としての制度・業務標準化等への投資はでやすい

(一定期間は無理やり運用してきたという自己認識がある)

新事業は投資はでやすい

 

5)主力事業→要件の厳格さやスピードへの要求が予想できる

・製造業、かつ、大量生産型(見込み生産型)の会社は要件に厳格な可能性が高い

・現行がスクラッチ、かつ上記なら現状調査・要件定義とも時間がかかる可能性が高い

・サービス業や個別受注生産型は複数バリエーションがあり、要求定義に時間をかけるよりは、早く推進することを求める可能性が高

 

6)コストで勝負せざるを得ない事業→本体事業以外にはお金を使いづらい
・流通サービス業や子会社、個別事業はよほど儲かっていない限り、IT投資はでづらい

・とはいえ、コスト勝負ではなく付加価値勝負へ転換しようとしている会社はIT投資がでやすい

(今までできていなかったXXを実現する基盤作戦)
 

7)グローバルへの展開経緯→グローバル要件のパターンが予想できる

・M&Aでグローバル規模拡大してきた会社はプロセス標準化・共通基盤利用ではなくデータ収集方法に関心が高い

・自社の進出でグローバル規模拡大してきた会社はプロセス標準化・共通基盤利用に関心が高い

 

8)親会社・子会社との関係→投資額を大きくできそうかどうかが予想できる

子会社の立場で親会社かの圧が強いと投資額はでづらくなる可能性が高い

・間接業務でも、グループ会社を含んだ規模が大きいと投資額は大きくできる可能性がある

(本社からグループ会社への支援の意味をもたせる)


9)IT組織・CIOの記事の多さ→情シスのPJ介入度・外部活用意欲が高さが予想できる

・CIOが情報発信をしている、事例の詳細がインターネットで公開されている企業は外部活用意欲が高い可能性が高い

・IT投資が大きな会社の情シスは力が強い可能性が高い(それなりのCIO・担当役員がいる、その人が実行できる体制を作っている)→これを逆によむと力が強い情シスはPJへの介入するということ

・事業別組織の形をとっている場合は全社のITと事業部別のIT部隊に力が分散していて力が弱い可能性もある
・情シスが強い場合はきちっとした進め方を求められる厄介さはあるが、それができればPJ慣れしている人が数名入るので、予算が付きやすくなったり、合意形成の期限を厳格に管理してくれるので、進めやすくなるメリットもある

 

仮説があることで確認事項が具体的になるし、確認すること自体に付加価値が生じることになる。

(例えば、御社の歴史でXXとあったが、一般的にXXということはXXという課題を抱えることが多い。御社はどうか?と聞かれれば、単にXXはどうか?と聞かれるよりも、確認の意味・価値が理解しやすいはず。)

 

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◆まとめ

 

仮説が外れることはあるが、それ自体には全く問題はない。

 

顧客企業に対する仮説がないと、

「XXさんがXXといったからXXのはず(単なるINFO)」

または「自分はXXだと思う(単なる私見)」しかいえない。

 

その方が何倍もまずいから。

(自分ならそんな人にコンサル単価は払わない。)

 

おそらく、この辺は基礎知識と根拠になりうるサンプル数がものをいう。

基礎知識とは経営・組織に関する書籍やフレームワークであり、それがないと厚みはでない。

あとは繰り返して実施すること。