心ってなんだ
信じるってなんだ
所詮、裏切りと掌返しと嘘にまみれた世界の中での虚構でしかない
もう疲れた
振り回され引っ掻き回され叩き潰され
心が"また"冷えてくのが分かる。心にあいた空洞の中をツーッと冷たい何かが真っ暗な底のない空間めがけて落ちていくだけ。
どこまでも、どこまでも。どこまでも、どこまでも。ただ只管にどこまでも。
過去にも一度同じようなことがあって、感情という"もの"を手放した。やわらかい純粋だった小さい自分を守るために、心に蓋をした。大声で泣いた、たった一人で。
目を閉じれば自分が自分に数多の方法で殺される光景を見る。
目を閉じれば数多の方法で自死を選ぶ自分を見る。
かわるがわる日毎夜毎に繰り返される、くるくる回る回転木馬。
止める者も手立てもなにもなく、声も届かない。時に顔をなくした自分が見つめ、時に泣き叫んで止めようとする。無駄なのに。
寝ても覚めても、現実でも夢の中でも。
目というフィルターを通して見る自分の中からの世界。
酷く霞んで、靄がかかったみたいで、酷く曖昧で。
私の中の世界に色なんてあっただろうか。
モノクロのようなセピアのような。
溢れ落ちる水の変わりに体の中心を冷たいものが落ちていく。
途端に泣けなくなった。悲しいとも感じなくなった。嬉しいとも楽しいとも。羨ましいとも。ただ、現実に自分が"何かしら感じたであろうもの"が冷たいものとなって伝い落ちるだけ。
笑うとはなんだ、喜ぶとはなんだ。哀しいとはなんだ。怒りとはなんだ。楽しいとはなんだ。羨ましいとは、愛しいとはなんだ。
魚が死んだ目をしてると言われたこともあったっけ。
それなりに年を重ね、顔だけでも笑えるという術を使えるようになった。ばか笑いできるようにもなった。何が面白くて笑ってるのかわからないけど。ただ本当に面白くて笑ってるのかわからない。楽しくて笑ってるのかわからない。
闇に溶けた昔の自分が何処にいるのかもわからなくて、なんとか取り戻そうとしてみるけど、光もない場所では探しようもない。
溶けて消えてからもう20年はとうに経っている。
私は欠陥だらけなんだろうか。心がないんだろうか。人間ではないんだろうか。
今度こそ、二度と浮き上がっては来れないように溶けてなくなればいい。消えてしまえばいい。
この世界に救いはない。