殴打 -8ページ目

殴打

独り言。

思い出す。
毎日毎日嫌ってほど思い出す。
初めて会った日のこと。
初めて遊んだ日のこと。
初めて家に連れてきた日のこと。
告白したあの日のこと。あの瞬間のこと。
君と行った場所。
君とだらだら過ごしたこの部屋で、
くだらないことで笑い合って、くだらないことで喧嘩して、
このベッドで、幾度もなく唇を重ねて体を合わせて。
離さないように強くきつく、あの小さな肩を抱いて。
一瞬一瞬のなんてことない感触も感情も思い出せる。
まるで今自分がそれを体感してるかの如く。
なんてことないような瞬間が、世界一輝く宝石のような価値を持って、
世界一鋭い刃物のような鋭利さで突き刺さる。
なんだろう。なんでだろう。
君は今どんな気持ちでどこに誰といるんだろう。
笑っているのか泣いているのか。
どちらも俺は願えないんだ。
ただ、君を苦しめた病気だけは治っていて欲しいって。
君がただ素直に笑えて、素直に泣けるようにただなっていて欲しいと。
それは俺の幸せであって、君の幸せはその先にあるのかもしれないけど、
俺にはその先の幸せを願うことはできなくて。
ただ自分の欲求を満たすためだけに、君を願うことしかできないから、
だから君は俺を捨てたんだろう。
違うんだ。
君は悪くない。俺が本当に全部悪いんだ。
君に悪いところなんてない。
君はこう言った。
「俺はなにも悪くない」
そんな馬鹿げたことないんだ。
だったら君はなく必要なんてなかった。
俺と過ごさなければ流さなくてよかった涙を、
抱かなくていい不安を与えてしまったんだ。
俺が全部悪いんだ。
謝りたい。会いたいんだ。
部屋にある君の化粧品や服を返したいだけ。
ごめんなさい。