【小説】デジタルな彼女 第一章 「黒いラブレター その2」
「僕も最初から成功した訳じゃないんだよ。最初は親に猛烈に反対されてさ。写真家なんてとんでもないってね」
「えー?うっそだー、あんなに素敵な写真を撮るのに?」
人気の少ない午後の喫茶店で、私達は向かい合わせに遅いランチを済ませていた。
もう何杯目のおかわりになるだろう。飲んだコーヒーの数を忘れるほど、私達は会話に花を咲かせていた。
特に熱く語っていたのは光太郎さんだ。光太郎さんは写真の話になると、いつもの大人しいキャラが嘘のように喋りだす。
「ははは、才能があるかどうかは分からないけど、僕には写真しか無かったんだ。だから気がついたら家を飛び出していた。気がついたら電車に乗っていた。気がついたら飛行機に乗っていたんだ」
「で、気がついたらカナダにいた、と」
二人目を合わせて大声で笑う。
夢を語る光太郎さんの目は子供のようにキラキラ輝いている。そんな光太郎さんを見るのが私は好きだった。
「実は今日君を呼び出したのは大切な話があったんだ」
そう言うと、光太郎さんはカップを手に取り、残ったコーヒーを一気に飲み干した。
「大切な話って?」
カップをテーブルに置き、神妙な面持ちで光太郎さんが私を見る。
「僕と一緒に来ないか?」
「え?」
「君には才能がある。この僕なんかよりもずっとね。君はこれから世に出るべき人なんだよ。僕と一緒に世界を撮りに行かないか?」
「そんな、私なんか……」
突然の光太郎さんの申し入れに気の利いた答えを出せない私。それに私の撮る写真なんて平凡そのもの。才能なんて……。
「まぁ本音を言えば、僕が君と一緒に写真を撮りたいっていう気持ちが一番大きい所なんだけどね」
舌を出して照れ笑いを浮かべる光太郎さん。この時、私は彼の姿を見て、抑えきれない程胸が高まったことを今でも覚えている。自分に才能があるかなんて私には分からない。でもハッキリと分かることがある。それは、私は彼の事が好きだってことだ。
「私なんかでよければ……」
「本当かい!?」
思わず立ち上がる光太郎さん。
「……は、はい……」
「ありがとう!」
そう言うと、光太郎さんは私の手を取って満面の笑みを浮かべた。
「正直言うと、断られるんじゃないかって思っていたんだ。こんな売れない写真家の僕なんかと一緒に、写真を撮りに行ってくれる女性なんていないと思っていたから……」
光太郎さんの手に力が入る。
「でも、君は特別なんだ!なんて言うか……運命的な物を感じたと言うか……、そう!波長が合うんだよ!君と一緒にいると落ち着くし、なにより楽しいんだ!」
「あの……光太郎さん……」
「なんだい?」
「その……手が……」
そう言うと、光太郎さんは私の目線の先を見た。その先には私の手をガッチリと掴んで離さない光太郎さんの手があった。光太郎さんが慌てて手を離す。
「ごごご、ごめん!つい話に興奮しちゃって……」
「いえいえ……」
優しい時間が過ぎていく。
私と光太郎さんの二人の時。
私のかけがえの無い大切な瞬間。
【小説】デジタルな彼女 第一章 黒いラブレター その1
どうして人は人の話を理解しようとしないのだろう。
どうして大人達はすぐに自分の夢をあきらめてしまうのだろう。
どうして私の親達は私の未来を応援してくれないのだろう。
「お前はまだ若いんだから、そんなに急いで事を運ぶ必要は無いだろう」
「そうよ、あなたは今は他にもすべきことがあるでしょう?」
決して交わることの無い平行線。私達の話し合いはいつもそうだ。
まだ若いのだから、他にするべきことがある、そんなことを聞きたい訳じゃない。頭ごなしの否定は何も生まない。私が彼らに伝えたいことは、若いうちにしかできないこともあるということ。夢を諦めてしまった無気力な大人のあなた達に、私の未来を勝手に閉ざすような言動はやめて欲しい。どうして頑張れの一言も言ってくれないの?
「もういい!二人のわからずや!」
苛立ちを抑えられない私は親の制止も聞かず、居間を飛び出した。
部屋に駆け込み、鍵をかけベッドに飛び込む。
「つかれた……」
ぼんやりと壁を見る。壁にはあの人がカナダで撮ったナイアガラの滝の写真が安っぽい額に飾ってあった。その壮大なスケールは安物の額に収まっても写真から伝わってくる。日本じゃ決して見られない景色だ。
「今頃、あの人は世界中を飛び回っているんだろうな……」
そう言えば、あの人も親に反対されたんだっけ……。
うとうとしながら、私はあの時喫茶店で二人で話したことを思い出していた。
【小説】デジタルな彼女 プロローグ2
「このデジカメ、どこで拾ったの?」
僕がたずねると、内田は説明した。
昨日の夕方、内田は友達とお気に入りの場所に行っていたそうだ。そこは町外れにある廃屋で、噂では一家惨殺事件が起きたと言う、この町ではちょっと有名な霊スポットである。そんな場所に入るのは物好きな連中か、内田のようなずれた感覚の持ち主くらいなものだろう。内田達にとっては人気の無い落ち着く場所らしい。
その廃屋にいつものように内田達は入ったらしいのだが、普段と雰囲気が違うのに気がついた。部屋の中に散乱しているゴミの場所がずれていて、見覚えの無い足跡があった。何度も家に訪れていた内田は、内装はおろか散乱しているゴミの場所まで鮮明に覚えているそうだ。
「最初は、いつもの霊スポットを見に来る連中の仕業かと思ったけど、どうも違う目的で来た人らしいのね」
その足跡は二階へと続いていた。二階にはいくつかの部屋があるが、その中の一つは扉が開かないように板で固定されていた。
「その部屋は開かずの間と言われててね、例の惨殺事件の起きた部屋らしいの」
足跡はその部屋の前で消えていた。板は剥がされ扉が少し開いていた。内田達はその扉を開いた。部屋は昼間だと言うのに真っ暗だった。
「まるで床から壁から窓まで、黒いペンキをぶちまけたような感じ。それって何だと思う?こびり付いた血なのよ。部屋を人に例えると、それはかさぶたのようだったわ」
部屋の中央に古ぼけた丸テーブルがあった。その上にデジカメは置かれていた。なぜかデジカメの電源は入っていたらしい。
内田はデジカメを手に取ると何気なく画面を覗き込んだ。画面には一枚の静止画が映っていた。その静止画には見覚えがあった。この部屋だった。写真は夜撮られたものらしく、ただでさえ真っ暗な部屋がより一層暗かった。
「これがその時の画像よ」
手渡されたデジカメの画面は言われた通り黒かった。目を凝らして見ると、窓と壁の輪郭が見えたことから、かろうじて部屋だと言うのがわかった。黒い窓からわずかにもれる月の光を浴びて、部屋の中央の丸テーブルと幾人かの人の姿が浮かび上がっている。
「こんな真っ暗な部屋で記念撮影をして、デジカメを忘れていくなんておかしな人達だと思ったわ。でもすぐにそれは間違いだと気がついたの」
内田は嫌がる友達と一緒に、同じようにそのデジカメを使って部屋で記念撮影をしたらしい。そして撮った画像を見て驚いた。
「これがその画像よ」
画面には内田とその友達が例の部屋で写っている。
「ずいぶん多人数で行ったんだね」
「冗談言わないで。二人で行ったのよ」
「確かに友達にしては年齢が合わないな」
部屋には内田達以外に、小学校低学年くらいの女の子と男の子、そしてその両親と思われる男女が青白く写っていた。
「その写っている人達は、その部屋で殺された例の一家だと私はすぐにわかったわ。そしてこれは霊を写すことの出来るデジカメだということもね」
内田はそのデジカメと気絶した友達を持って廃屋を出た。友達を送り届けた後、内田は色んな場所を撮影して回った。そして霊がいたるところにいることを知った。
「でも、まさか身近な友達に取り憑いているとは思わなかったわ」
「僕も驚きだよ」
肩を叩きながら僕は答えた。
数日前から急に肩が重く感じ始めた。初めは肩こりかと思っていたが、今日その正体がわかった。にわかには信じがたいがあれだけハッキリとした証拠を見せられては信じないわけにもいかない。僕は彼女に取り憑かれている。そして彼女は僕を恨んでいるに違いない。
「あなたに取り憑いている霊だけど、あなた何か知っているんじゃないの?」
突然内田が言った。彼女は時々鋭い事を言う。
「何故、そう思うんだい?」
僕は表情を読み取られないようデジカメを触りながら落ち着いて聞いた。
「昨日撮った画像もそうだけど、霊がいる場所って必ずそこに何か原因があるのよね」
そう言って彼女は鞄からバインダーを取り出し僕に投げてよこした。
「これは?」
「昨日、あれからインターネットで調べたのよ」
そのバインダーには、この町で起きた事件の記事とデジカメでプリントされたその場所の画像が貼り付けられていた。
「例の廃屋では一家惨殺事件。三丁目の角にある公園の前では少女ひき逃げ事件。私達が学校帰りによく使うあそこのコンビニでは、強盗殺人事件があったわよね」
「あの時は野次馬が凄かったよね」
僕は去年起きたコンビニ強盗殺人事件の事を思い出していた。
いつも学校帰りによく寄るコンビニ。そこに凄い人だかりが出来ていた。周りには無数のパトカーと救急車が止まっており、警察が店員や客に事情徴収をしている姿が見えた。
殺されたのは店でアルバイトしていた大学生の竹内真奈美。死因は出血多量だった。彼女は犯人の要求に対して抵抗したため包丁で胸を刺され殺されたのだ。
彼女は明るく朗らかな女性で容姿も美しく、僕らの間でも人気があった。中には彼女目当てに、近くのコンビニではなくわざわざ遠出してその店を利用する生徒もいたほどだ。かく言う僕もその一人だった。懐かしい思い出だが、彼女が死んでしまった今では、あまり思い出したくない出来事である。
「写真を見て」
「あ、ああ・・・・・・」
内田の声で我に返り、僕は言われるまま写真を見た。写真には見覚えのある駐車場が写っていた。あの事件の後、彼女を失った上に殺人事件が起きたそのコンビニは客の数が大きく減り、しばらくしてから閉店してしまった。その跡地にできたのがこの駐車場だった。
「真奈美さん・・・・・・」
そこに彼女は変わらずいた。寂しげにたたずんでいた。恨めしそうにこちらを見ていた。ひまわりのように明るく輝いていた彼女の面影は、もうどこにも無い。
【小説】デジタルな彼女 プロローグ その1
「面白いものを見つけたの」
放課後、急いで帰り支度をしていた僕に内田が話しかけてきた。
「昨日とある場所で拾ったのよ」
そう言いながら、内田は手にしたデジカメの電源を入れファインダーを覗き込んだ。
最近どうも肩こりが激しい僕は、五時に整体マッサージを予約しており、早く帰るつもりだった。だけど、嬉しそうに話す内田を無下にするのは気が引けるので、少しだけ話に付き合うことにした。
「いい?写すわよ」
まるでおもちゃを与えられた子供のようにはしゃぎながら、内田は僕に向けてシャッターを切った。パシャッとカメラ特有の音が教室に鳴り響く。内田は画面を食い入るようにして見ている。
「凄いのが写っているわよ」
ニヤリと笑い内田が僕にデジカメを手渡した。
手渡されたデジカメは、どこの電器屋でも取り扱っていそうなありふれたものだ。だが、その画像は他のデジカメには決して写らないものが写っていた。
「これは……」
教室に残されたのは僕と内田の二人だけだった。写したのが内田だから当然カメラには僕しか写っていないハズ。だがデジカメには僕以外の何かが写っている。その何かは、黒い靄のように見える。その形はまるで人のようで、僕の背中に気だるそうに覆いかぶさっていた。
「そう、霊が撮れるデジカメなの」
画面を見ながら僕は整体マッサージでは無く、霊媒師への予約が必要だなと思った。
「このデジカメにはビデオ機能もついているのよ」
そう言うと内田は僕にデジカメを向けた。
「はい、笑って」
僕は引きつった笑顔を見せた。
「あなたじゃないのよ」
「僕以外に誰が居るんだよ」
「居るじゃない、あなたの背中に」
内田は淡々と言った。
「その人、何かを喋っているようだけど聞き取れないわ。呪いの言葉かもしれないわね」
僕の背中を撮影しながら内田が不気味なことを言う。
「撮ったのを再生したら聞こえるかもね」
「実は何回か試してみたんだけど聞こえなかったのよね」
そう言いながらも内田は今撮ったばかりの映像を再生してみた。僕も横から覗き込む。
画面には僕と、僕に覆いかぶさる例の人の形をした黒い靄が映っていた。黒い靄はさっきよりもはっきりと人間の形を作っており、確かに内田の言うとおり口元が動いているように見える。
「やっぱり何を言っているのか聞こえないわね」
「そうだね……」
僕は適当な相槌を打った。
「なんでその人、あなたの背中に取り憑いているのかしらね?」
どうやら内田には彼女の言葉は聞こえなかったらしい。だが僕には聞こえていた。その声に僕は聞き覚えがある。そして、彼女が僕に取り憑く原因も心当たりがあった。
――私は殺されたの。
恨めしい表情で彼女は確かにそう言っていた。
第7回 富士見ヤングミステリー大賞
こんなのもあったぞ。 ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
【大賞】
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| 【応募先】 〒102-8144 東京都千代田区富士見1-12-14 富士見書房 第7回「富士見ヤングミステリー大賞」係 |
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ミステリーは良く書くからなぁ。
これを目指そうかな?
第十九回 ファンタジア長編小説大賞
他にも検索してみる。
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第十九回 ファンタジア長編小説大賞 作品募集 ファンタジア長編小説大賞は、若い才能を発掘し、プロ作家への道を開く新人の登竜門です。若い読者を対象とした、夢に満ちた物語を大募集! 君の中の“夢”を花咲かせるのは今だ。 |
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| 【応募先】 〒102-8144 東京都千代田区富士見1-12-14 富士見書房 月刊ドラゴンマガジン編集部 第十九回ファンタジア長編小説大賞係 |
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締め切りが8月31日なら間に合うかも?
でもファンタジーかぁ。ファンタジーって苦手……(汗
第13回電撃小説大賞
とりあえず、どこにどんなジャンルの小説を応募するのか。
最初に目標を設定しないと駄目だろう。
てなわけでGoogleで検索してみた。
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●募集内容
オリジナルの長編及び短編小説。
ファンタジー、SF、ミステリーほかジャンルを問わず。
未発表の日本語で書かれた作品に限る(他の公募に応募中の作品も不可)。
●応募規定
〔長編〕=ワープロ原稿の場合80~120枚。縦書き。
〔短編〕=ワープロ原稿の場合15~30枚。縦書き。
作品に以下の(1)(2)を明記した紙を添付の上、右肩をひもで綴じて郵送すること。
1P=42文字×34行で印刷すること。フロッピーでの応募は不可。
400字詰め原稿用紙応募可(長編:250~410枚。短編:42~100枚。
ワープロ原稿と文字数に多少の誤差はありますがご了承ください)。
(1)タイトル、住所、本名、筆名、年齢、職業(略歴)、電話番号、何を読んで応募を
したのか、原稿枚数(ワープロ原稿、 あるいは400字詰め以外の原稿用紙の場
合は、400字詰め原稿用紙換算枚数も併記)。
(2)あらすじ(800字以内)
●応募資格
不問。
●選考方法
・2006年4月10日の締め切り後、1次~3次の選考を行い、最終候補を選出する。
・2006年9月に選考委員により大賞及び各賞の受賞作品を決定する。
●選考委員(敬称略)
安田 均(作家)
深沢美潮(作家)
高畑京一郎(作家)
佐藤辰男(メディアワークス会長)
鈴木一智(電撃文庫編集長)
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締め切りは4月10日か……間に合うのかな?
長編なら原稿用紙250枚以上。
あと30日くらいしかないから、一日約9枚は書かないといけない。
バイトもあるし難しいかな……。
それに電撃大賞を狙うなら、ある程度の「萌え」が必要になりそう。
果たして俺に萌えキャラを書くことができるのだろうか?(汗
ご挨拶
ここをご訪問された皆様方、どうも初めまして、きくぞうと申します。
去年の12月に三十路を迎えて3ヶ月。
ダラダラと生きていた人生に終止符を与えるべく、
ここに小説家を目指すことを宣言します。
趣味で今まで小説を書き続けていたものの、
元々の性格が飽き性なものなので最後まで書ききれず、
出版社に投稿したことはありませんでした。
そこで、この場所を借りて少しずつでも書き続け、
皆様の意見や感想をもらえれば最後まで書ききれるのではないかと
甘い期待を持ちつつこのブログを立ち上げた次第です。
どうぞ、暇つぶしにでも見てやってくださいね。





