もう一度君に逢いたいNo.9
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高校に入学してからの初めての夏休みは、忘れようにも忘れられない夏休みになった。
僕は相変わらず2人と毎日のように会っていた。
香織と亜希もそうだが、部活などをやっていた訳ではないので基本的には遊ぶくらいしかない。
まあ、宿題は山ほどあったが・・・
そんな3人だから、毎日駅前のファーストフード店に集合してしまう。
8月に入ると日課に感じたくらいだ。
その日もいつも集まりだす午後1時に、僕はその店の奥の席で2人を待っていた。
5分くらいたっただろうか。
入り口の方から興奮気味にこちらへ突進してくる2人組を見つけた。
その2人組みは、案の定僕の座っている席の前にやってきた。
「何!?なんでそんなにテンション高いの?」
僕はあまりに興奮してテンションが上がっていている香織と亜希に言った。
するとその高いテンションのまま香織が言った。
「ねえねえ!海へ行こうよ!!」
は?と僕は思わず言った。
「そうそう。今そこで思いついたんだ。香織と暑いねって話していて、海なんか入りたくなっちゃうよねって。それで2人で急に決めちゃった」
「決めちゃったって言われても準備してあるの?」
僕が冷静に聞くと、二人共同時に首を横に振った。
何それ、と僕が言う前に香織が続けた。
「いいじゃん。今からちょこっと準備して急いでいこうよ。時間は気にしないでさ」
「そんなこと言ったって・・・」
そういう僕をお構いなしに、2人は僕を店から連れ去った。
渋々ではあったが僕も乗る気になり、海へ向かうことにした。
とは言え、僕らの住んでいる埼玉からは海までだいぶかかる。
移動手段といったらもちろん電車だ。
この時僕は2人が、いや、特に香織が計画性の無い人だと初めて解った。
海へ向かう電車の中でも、亜希と2人で最近売り出し中の俳優の話で盛り上がっている。
先のことなどどこ吹く風である。
まったく時間のことなど心配してないようだった。
しかし、海へ着いたのは夕方になる時間だった。
当たり前だがもう人は疎ら。
僕ら3人はその場で立ち尽くしていた。
段々と引き上げて行く人たちを見ながらしばらく立っていると、香織がこう切り出した。
「遅かったね。せっかく着たのに・・・これじゃね」
当たり前だ。
出発時間が遅いのだからこうなるのも想像できたはずだ。
いかに計画性が無いかがよく解かる。
とは言え、僕も止めることができなかったのだが。
「諦めて帰ろうか?」
そう僕が言うと、まさに思いついたと言わんばかりの表情で香織が言った。
「明日もう一度リベンジしよう!」
は?、と僕と亜希は顔を合わせた。
「冗談でしょ?またここまでくるわけ?」
「そうだよ。だって海に入りたいじゃん?」
僕は亜希に判断を仰ごうと視線を送った。が、その亜希もまんざらではなさそうだ。
「そうだね。じゃあ明日また来よう」
「嘘!?」
僕はその場に倒れそうになったが、意外と心の中では楽しくなっていた。
この2人の行動力にはすっかり驚いてしまっていたが。
結局、僕ら3人は次の日も海へ出掛けた。
次の日はちゃんと時間を決め、準備も万端にして向かった。
それは、あまりに突発的に行動する2人に対して僕が静止をかけたようなものだ。
考えてみれば、僕が幹事になっているのは、この事がきっかけになっているのかもしれない。
僕ら3人は、時間が許す限り目一杯遊んだ。
僕は元々泳ぐのが苦手であったが、香織と亜希の2人は泳ぐことなど難なくできた。
と言っても、泳ぐことなど殆ど無いのだが。
大半は3人でじゃれあっている感じだったが、僕は疲れて休んでいることも多かった。
そうすると、その隙に2人をナンパしにくる男たちが後を絶たない。
最初はすぐに助けに行こうと思ったが、まったくその心配は要らなかった。
二人共交わすのがうまい(どこで覚えたのか・・・)。
おかげで僕はゆっくりビーチで寝ることができた。
No.10へつづく