なぜあんなに子供時代の時間はゆっくり流れていたのだろう。
新学期が始まり夏休み冬休みまでの日々の長かったこと。
夏休みの初めはそれこそ膨大な時間の大金持ちで、浪費の限りを尽くして遊び歩いていた。
やがて貯金が底を突き宿題に焦る日がくるのだが、それはまだはるか遠い存在で呑気この上のない気分を味わえた。
いまはひと月ふた月がまたたく間に過ぎてしまう。
春かと思えば初夏になり、たちまちお盆の時期が来て花火のように夏が終わってしまう。
人が感じる時間の流れは川の流れとは真逆のようだ。
ゆるゆるとしていた流れが徐々に速度を高め、今や急流にさしかかっているかのようだ。
この先、どのような流れになるものか。
滝のような奔流か、はたまた河口のようなおだやかな流れになるものか。
いずれにしても時間の大金持ちということはなさそうだ。