鶴屋という貸本屋があった。
マンガ本一冊のレンタル料が5円だった。
タイトルは忘れたが暗黒街を舞台にしたマンガが一番記憶に残っている。
ワルサーやモーゼルといったピストルの名前をそれで覚えた。
物静かな店番のばあさんが子供の相手をしてくれて、居心地のよい店だった。
その鶴屋のばあさんが汽車に轢かれて死んだのは何年生の時だったか・・・。
いつもガキ仲間とレールに五寸釘を置いてナイフをつくったあたりで、線路に座り込んでいたらしい。
遺体はバラバラになって鉄橋から川に落ちた。
私は見なかったが川の中の遺体をすべて回収するのは大変だったらしい。
鉄橋の下あたりは町の下水が流れ落ちるところで、ハヤやオイカワがいつも群れをなしている所だった。
ご飯粒をエサにして釣りができるポイントだったのだが、しばらくそこから子供の姿が消えた。