子供時代は何故ああも幽霊が怖かったものか・・・。


今は理屈的にあり得ないと思い込んでいるから暗い所に一人でいてもどうと言うこともないのだが、子供の頃は暗い夜道、暗い廊下、あらゆる暗がりには何かがひそんでいるように感じられて、目の届かない背後には間近に何者かが迫るような気がして、そんな妄想の塊におさえつけられるように身を固くしていた。


55歳のこんにち、多くの身内や知人との永別を経験し、いずれはあの世とやらにこの身も行くであろう覚悟もできて、もし幽霊なるものが存在するならば、生あるうちに会ってみたい幽霊もある。

その筆頭はやはり両親なのだけれど、彼らの死して後の我が家の事情、孫の成長、話して聞かせたいことは山ほどもある。


で、みんなで膝つき合わせて一献、というのも悪くない。

たぶん膝まではあるのだろうから・・・。