みっつ違いの弟は幼い頃、目が大きくて色白でかわいらしいと評判の子供だった。

高校生の時、文化祭でミニスカート姿の女の子の仮装をしたら、それがえらくかわいかったと評判の立つようなヤツで、今時分なら東京の盛り場でも歩くとニューハーフの店のスカウトが声をかけるかも知れない。

そんな、色黒野生児の私とかなりおもむきの違う弟がからむ話。


あれはハウス食品だったろうか、即席プリンとか言ったような気がするが、粉末を水で溶いて小鍋で煮立て型に流し入れて冷蔵庫で冷やすとプリンが出来て、ちゃんとキャラメルソース用の粉末も付いていた。

のちには我々のお気に入りのおやつになるが、まだそれになじみがなかった頃のこと。

弟ヒロアキがまだ小学校に入る前だったと思う。


とある昼下がり、お隣のおばちゃんがニコニコ顔であらわれ

「プリンをつくったの、ヒロアキちゃんに食べさせてえ」

そばにいた私を無視して、母に向かって嬉しそうにそう言ったものだ。


そのあとのシーンは記憶にないが、誰がどうなだめようと、意地でも食べなかったろうな、私は。