今、思うに、正幸さんとか政行さんのことなのだろう。
親たちは、マサイキさ、と呼んでいた。
ヒゲだるまの様な人で、私が会った時は、ほとんどの場合酔っぱらっていた。
酔っても嫌味な所はない人で、大きな声で、やはり夜はいつも酔っている父と何やら訳の分からないことをしゃべっていた。
炭を焼くのが本業なのだが、一地方の父の代理人、いわゆる山番頭をしてくれていたらしい記憶がある。
私をつかまえては、ヤス坊、ヤス坊とかわいがってくれて、後年、父と酒を飲んでいる時に、フッとマサイキさのことが脳裏にあらわれ、そのやさしさを思ったら、涙が止まらなくなり往生したことがあった。
酒びたりの生活のせいか、マサイキさは肝臓癌が原因で亡くなったと聞いている。