小学校一年生の時だ。
授業中ガマンできずおもらしをしてしまった。
ズボンの中を暖かいものがつたわり足先に流れていった。
机の下の黒ずんだ床板に小便が広がってゆく光景を今もありありと思い出すことができる。
広がりの先端は表面張力で丸みをおびていた。
倉庫番の佐川さんが炭配達用のごつい自転車で迎えに来、家まで届けてくれた。
着替えをし、母にともなわれて学校に戻ると、クラスの子供達がみんなで花壇の手入れをしていた。
だれひとり先程の事件にふれる者はいなかった。
以後もからかわれることもなかった。
丸眼鏡をかけた年配の女先生に今も感謝している。