堰切り、のこと。

古代に稲作を始めたころよりの漁なのだと思う。

秋、稲刈りが終わってからの行事で用水路の水を堰止めていた板をはずすと用水路が干上がり魚を手づかみにできる。

用水路を関係者の人数分に区切り、そのひとつひとつを各人が好きな区間を競り落とすことから始まる。

ウナギの巣があると言われる場所が一番人気だ。

競り金は集められて、その日の経費を差し引き、残りが均等割で戻された、とこれは私の想像だけれど、おおむねそのように運営されたのだと思う。


昔の用水路は今のようにコンクリートで固めていないのでウナギは泥土の中から捕れた。

だから大人は皆スコップ持参である。

私達子供は三角網を持つか素手だった。

大きなコイなどは子供の手にはあまり気味で、追い回した揚げ句に隣接のエリアに逃げ込まれて悔しい思いなどしたものだ。


ウナギ、ナマズ、コイその他諸々の小魚が大きなバケツに何杯も並んだ光景が忘れられない。