『ダウンタウンヒーローズ』 山田洋次

演劇の話になってから俄然おもしろくなった。

キャラがたってて、方言のセリフのキレが良く、それを聞いてるだけでも楽しめた。

気持ちの良い男たちのまっすぐな青春。


『息子』 山田洋次

現実生活の厳しさとささやかな幸せを丹念に描く。

なんとなく窮屈な印象があったけど紛れもない傑作。

終わり方がなんともいえない余韻をのこす。


『家族』 山田洋次

長崎から北海道の開拓村に移住する一家のロードムービー。

夫の無謀な計画に、最初反対しながらも一家そろってついて行くと決心した妻・民子(倍賞千恵子)の逞しさと可憐な美しさがとんでもない傑作を支えている。

田舎一家の行く先で起こる騒動が可笑しい。小さな車に皆で無理矢理乗込むところなど声出して笑った。

家族の移動のプロセスを印象的なエピソードで描いていて、ロードムービーのお手本のような面白しろさに溢れている。

井川比佐志はケチで頑固者、笠智衆の器の大きさ等等人々の生き様が見事に活写されている。

末っ子の死という呆然としてしまうような非情な運命に直面するが、そこでの山田洋次の演出の確かさが際立っていた。一家の悲しむ暇もない状況を表すように葬式のシーンのあとはもう北海道へ向かう電車の中。母親が感情をあらわにすることはない。それでもふとしたところで回想がはいる。葬式の帰り道、母親が道端で泣き崩れるシーン。こういう脈絡のないタイミングで人は色々思い出すものかもしれない。それを映画の形式でなぞっていて、強い説得力をもって見るものの感情を揺さぶる。