編集職人・雉ノ森イチローの編集日記

編集職人・雉ノ森イチローの編集日記

イーハトーブ岩手の小出版社「イー・ピックス出版」の編集者・雉ノ森イチローの編集日記

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ゴーストライターの快感?
~お客様の原稿にどこまで口と手を出すべきか~
◆先日、アマゾンの元「カリスマバイヤー」土井英司さんのセミナーCDを聴く機会がありました。土井さんは1万冊のビジネス書を読破したという強者で、現在、出版企画のコンサルタントとして絶大な力を持っている人です。◆彼のCDの中で、150万部の大ベストセラーとなった『夢をかなえるゾウ』の著者水野敬也さんの出版裏話を聞くことができました。なんと水野さんは、編集担当者から2度も原稿の書き直しをさせられたというのです。ベストセラーの裏には、編集者や作家の大変な苦労があるものです。◆ところで、当社のお客様で既に3冊の本を出された方がおります。昨年の夏頃に4冊目の出版のお話をいただき原稿に目を通してみると文章がこなれていません。丁重にお話しして書き直していただきました。しかし再度送られてきた文章もやっぱりこなれていません。そこで、編集者の立場から、このように書いてほしいという様式を作り作者に送ってみました。すると意外にもこれを大変気に入っていただき、全編のリライトを依頼されてしまいました。◆人に“ケチ”を付けるのは簡単ですが、いざ自分で書くとなるとやはり大変です。まるで「二人羽織」の芸をやるような感じで、なかなかうまく書けません。ところがコツをつかんでくると、これがなかなか面白い作業。ゴーストライターなるものの快感が少しずつわかってきました。◆『ケセン語訳聖書』の出版以来、出版の数もかれこれ20点近くになりましたが山浦玄嗣さんのように完成度の高い原稿はまれで、多くの場合、作者は出版のプロとしての編集者の意見や修正を期待しているもののようです。しかし、どの程度作者に口を出すべきなのか、そのさじ加減はなかなか難しいものですね。
ケセン語訳聖書が遂に「上洛(じょうらく)」!?
~山浦玄嗣さんが京都で講演~
◆NHKの大河ドラマ「天地人」を見ている方も多いかと思いますが、当時の戦国武将たちにとって「上洛」すなわち京に上って新しい時代の秩序を作りたいとするのは大きな夢だったようです。◆『ケセン語訳聖書』の仕事にとっての上洛は2004年4月のバチカンの教皇ヨハネ・パウロ二世への特別謁見と献呈だったといえます。◆ところで2009年3月21日(土)、京都国立近代美術館からの招聘で山浦さんの講演が京都で初めて行われました。会場の近代美術館は平安神宮のすぐ側にあり、大きな朱色の鳥居の左に国立近代美術館、右には市立美術館という立地で、いわば京都の文化の中心にあるような場所でした。◆この美術館で、京都造形芸術大学の教授であり現代作家の椿昇(つばき のぼる)氏の大規模な企画展が行われております。(会期/2月17日から3月29日) 今回の企画展に山浦さんの『ケセン語訳聖書』の言葉や朗読が大きな衝撃を与えたといいます。この企画展のために作られたという超豪華で前衛的な図録の中に何カ所も印刷された[出典:山浦玄嗣訳『ケセン語訳聖書』/イー・ピックス出版]という文字がそれを証しておりました。◆日本の最も古い伝統文化を保持し続ける誇り高い京都の最も前衛的な仕事の中に、東北の一地方で逞しく生き続けてきた「魂」が霊感を与えたのだというのです。◆今回の出来事は出版社として仕事冥利につき、私は平安神宮の大きな鳥居を見上げながら上洛気分を味わってきたのでした。
 東北大学名誉教授で、「いのちの尊厳を考える会」会長の吉原賢二(よしはら けんじ)さんのエッセーや講演、ブログをまとめた『夕映えの杜に』が9月1日、イーハトーブ岩手の出版社イー・ピックス出版より出版されました。イー・ピックス出版から吉原先生の本が出版されたのは『いのちの杜に歌声起きる』以来2冊目。
 著者は、東北大学の先輩・小川正孝の研究資料を調査し、幻と言われた元素「ニッポニウム」の正体を解明。「小川は新元素を発見していた」と世界に向けて発表し、昨年化学史学会の学術賞を受け、朝日新聞「人」欄でも紹介された。
 本書にはこのニッポニウム発見のいきさつが詳しくかかれているほか、インフルエンザワクチン接種により重度の心身障害者になり若くしてなくなった次男充さんのことや、薬害訴訟で国と争った裁判のことに多くふれられている。
 朝日新聞の「人」欄では「新元素発見の栄誉を逃した小川。ワクチン禍で倒れた子どもたち。『無念さが身にしみてわかる。二つは、私の心の中でつながっている」』(朝日新聞「人」欄より 2008年9月14日掲載)と紹介された。
 この本はイー・ピックス出版から2007年出版された『いのちの杜に歌声起こる』の姉妹本にあたる。
 日野原重明氏は、「このたび御高著『夕映えの杜に』を受領しました。早速、吸い込まれるように読み通し、非常な感動をいただきました。」と賛辞を送っています。
 イー・ピックス出版のWebショップ(http://www.epix.co.jp)または各書店からの注文で買うことができます。
$編集職人・雉ノ森イチローの編集日記-夕映えの杜に
山浦さんの新刊『人の子、イエス』3月21日発売!
~足かけ6年掛けての三部作の完結~
◆ご存じ山浦玄嗣先生の新刊『人の子、イエス』が来月3月21日に全国発売されます。2003年に出版された『ふるさとのイエス』、2004年に出版された『走れ、イエス!』に続く三部作の最後を締めくくるこの本は、興味がそそられる内容で一杯です。◆たとえば「イエス、亡命す」。 亡命などというと、大概の人はびっくりしますが、実際イエスは亡命しているのです。「治療と治癒」。 新約聖書には病気を癒した奇蹟話がたくさんでてきますが、新約聖書にでてくる「いやす」あるいは「治す」という語を数えてみると全部で64。そのうち「いやす」が54、「治す」が7つ。では、「いやす」と「治す」はどう違うのか…。などなど、一般の人でも興味津々の内容が満載です。◆山浦さんの本の多くは再版を重ねていますが、中でも1987年に出版された『父さんの宝物』は何度も再版を重ね、1万部以上のベストセラーになっています。また、大変地味に見える『ケセン語訳聖書』も4巻トータルで1万部以上販売し、「マタイ福音書」は初版の3千部を売り切り再版しています。◆出版というと最近では大船渡町の川口雅幸さんの『虹色ほたる』がベストセラーになり話題になりました。岩手は有名な文人を輩出している土地柄。21世紀の宮澤賢治や石川啄木をこの気仙から出したいものですね。『人の子、イエス』の詳細はイー・ピックス出版のホームページでご覧ください。(2009年2月のニュースレターより)$編集職人・雉ノ森イチローの編集日記-『人の子、イエス』山浦玄嗣著
~リアスの「柔らかな光」を感じていますか~
お正月休み…。普段は昼間からテレビを見ることのない私ですが、お正月だけは別で、ぼんやりしながら箱根駅伝を楽しんで過ごしました。
お正月番組の合間合間によく年始のコマーシャルが流れますが、その時映る映像でよく見かけるのが初日の出。そしてバックに流れるBGMは箏曲が多いようです。箏曲に関しては全く無知な自分ですが、唯一聞き覚えあるのが宮城道雄の「春の海」。いかにものどかで、柔らかな春の光を受けて煌めく春の海の情景が浮かんでくる曲です。
「柔らかな光」といえば、赤崎町出身の画家・三浦千波さんは東京にアトリエを持ち活動をする画家ですが、最近では日頃市の古民家をアトリエにして東京と大船渡を行ったり来たりしています。その三浦さんの絵には三陸の海や山が多く描かれているのですが、その絵の中には普段感じることのなかった繊細で柔らかな光を感じます。
 ギリシャの地中海を見た時、ふるさとの風土と同じ柔らかな光を感じ、「三陸に戻って絵を描かなくては…」と思ったという三浦さん。この話から、芸術家の感性というのは、凡人が日常にまぎれて見失っている大切なものを気づかせてくれるのだと痛感しました。私たちも、この三陸海岸の柔らかい光をもっともっと感じたいものですね。
 この三浦千波さん、今編集中の『気仙新聞第5号』に紹介されます。気仙新聞は2月中には8千部印刷されて、主に関東方面に配られる予定です。(イー・ピックスのニュースレター2009年1月号より)

編集職人・雉ノ森イチローの編集日記-霧の大船渡湾