　飛び散る血しぶき

　生贄の断末魔

　ダークで悪趣味な魔法ファンタジーの世界

　人々に危害を及ぼす魔物

　それを狩る魔法使い

　魔物たちは元人間。

　つまり魔法使いは人殺しなのだ。

　汚れ役を担う彼らにより

　人の世界は守られていた

　それを滅ぼしたのは魔物と化した魔法使い

　名はマーリン

　生き残った人々をとらえ、邪悪な儀式のいけにえにする。

　だが生贄をとらえる牢獄の中に、不思議な日記が転がっていた⋯⋯

　言葉を話す日記の名はリブロム。

　読んだ者に日記の内容を追体験させ、日記の書き手が持っていた知識と技術を身に着けさせることができるのだ。

　主人公はリブロムの力を使う。

　日記の書き手は魔法使い。その戦いの日々。

　読み進めることで彼自身も次第に魔法使いになっていく。

　マーリンを倒して自由を得るために

　その物語が紹介するゲーム

「ソウルサクリファイスデルタ」だ

　このゲーム、実は私の友達のお気に入りでして

　前々から、やれやれやってくれと言われまくっていたのです。

　ジャンルは一言でいうなら狩ゲー。

　つまり、いやでもモンハンと比べてしまうということ。

　それが嫌だったので５年くらい断り続けていたのですが、とうとう断り切れずプレイすることになった次第。

　夜廻りを遊ぶために買ったけどスイッチに移植されたからお払い箱になっていたPSvitaを取り出してソフトをいれる！

　⋯⋯読み込まない

　⋯⋯なんで？

　⋯⋯調べたら本体は悪くないみたい

　⋯⋯結局自前で中古ソフトを購入してプレイ

　さっそくプレイヤーに災厄を振りまくとは。

　とにかくプレイ開始！

以下、やって思ったソルサクの特徴

１、たくさんの魔法を使うことができる

　使える魔法の種類が非常に豊富。

　それを６種類も選んでクエストに持ち込める。

　さまざまな戦い方が可能だ。

　近接武器で真っ向勝負もあり！

　罠や状態異常で絡め手もあり！

　遠距離武器で猛砲火してもよし！

　相手の攻撃をはじく盾や、防御力を挙げる鎧も頼もしいし、思わず笑うような変な魔法もある。

　対決するモンスターは特定の魔法があると楽に戦える⋯⋯という場合が多いので、相手の動きを覚え弱点を見抜き、有効な魔法をセットして挑むのは戦略性が味わえて楽しい。

２、無駄になりにくい雑魚魔法

　クエストの報酬として得る魔法

　同じのがだぶったり

　使わなくなった弱い魔法があまったりすることがある。

　しかし、そのような魔法も使い道が多い。

・ソシャゲのごとく重ねて合成

　　→魔法の使用回数がアップ！

・あつ森のごとく住民仲間にプレゼント

　　→~~好感度~~信頼度がアップ！

・新しい魔法を生み出すための素材に

　　→魔法図鑑を埋めて智力アップ！

　プレイ時間の苦労が徒労に終わらないように、使い道が多岐にわたるようになっているのだ。

　プレイヤーの気持ちをわかっていると言える。

３、作りこまれた世界観

　理不尽で暴力的な魔法世界が見事に表現されている。

　とくに魔法使いの重責はよく伝わってくる。

　魔法使いは殺した魔物を生贄にする。

　その邪悪な魂を自分の体に封じるためだ。

　魂を自由にさせておくとその魂がさらに魔物になることがあるため対策としてである。

　しかし魔物はもともと人。

　人殺しの罪と苦悩を背負い込まねばならない。

　救済という選択肢もある。

　魔物を人間に戻してあげるのだ。

　しかし、魔物になるような邪悪な人間は

　何度でも同じ罪を繰り返すかもしれない。

　ここで助けても、また同じ魔物に変化して何十人も犠牲にするかもしれない⋯⋯

　救済にも苦悩は付きまとう。

　そして最悪なことに、封じていた魂に肉体をとられてしまい、自分自身が魔物になることもあるという。

　その場合、仲間に殺してもらうことで、今度はその仲間が魂の封印を引き継ぎ、これを永遠に繰り返すのだ⋯⋯

４、ゲーム体験に違和感のない各種システム

　日記、という体裁であるため

　文章でストーリーが解説されて

　その間にクエストが挟まるという形でゲームは進む。

　お綺麗なムービーイベントとか基本なし。

　ジョジョの格ゲーのストーリーモードだったら、プレイヤー大激怒だが⋯⋯

　これは日記だから、不自然ではないのだ。

　また、主人公は牢獄にとらわれているため

　広大なマップをうろつくとか、

　あちこち探索するとかはない。

　ＲＰＧならクソゲーまったなしだが

　これはとらわれている設定だから、いーの！！

　開発陣は、そうやって稼いだ容量を使って

　魔法バトルのほうに全力投球しているというわけ。

　一言で言えば、魔法バトル以外の要素を捨てたということなのだが、それに不満を感じさせないのは各種設定でうまいこと理由づけているからである。

　こういった工夫が行き届いている作り手は信頼していい。

　他にもいわゆる「ショップ」は、日記に載っていた取引の帳簿という扱いで表現されるなど、牢獄にとらわれた主人公と頼みの綱の一冊の日記、という世界観を壊さないためにあらゆる方向で抜かりがない。

モンハンと比べてどうなのかというと⋯⋯？

　ぶっちゃけると「アクションだけ」を見たら

　おもしろいけど、やや大味。

　というか、うん。

　単にその道で世界に名をはせたカプコンが二枚も三枚も上手なのである。

　例えば

　ソルサクのモンスターはひるんでくれない。

　モンハンはあれがあるから「押してるぞ俺！」と調子づき、戦いの中でテンションを維持できるのだけど⋯⋯

　ソルサクは盾で特定の攻撃を受け止めるとか、カウンターを命中させるとか、そういうことをしないとひるんでくれないパターンが多いのだ。

　そのためＳＡごり押しされているのに近く、

　戦闘中、ずっと神経をすり減らす。

　つまり「アクション」するだけで楽しいモンハンに対し、「魔法を使い分ける戦略」がやはりソルサクの肝なのだ。

　盾でひるませることのできる魔物なら盾を持っていく。

　変身突進のひるませが有効なら絶対持っていく。

　神経をすり減らしたくなければ、魔法を吟味すべし。

　あと

　予備動作も分かりづらいものが多い。

　というか、見たときには手遅れなパターン。

　おまけに攻撃の大部分は

「全方位攻撃」「範囲攻撃」「ホーミング攻撃」

　ときているので、そもそもその場にいたら既に躱せないということも多い。

　モンハンだったら、モンスターは予備動作より前に殺気を醸し出すものだ。

　うまくは言えないが、振り返ったり、こっちに歩いてきたりするだけで寒気がする。

　なので、実はハンターは予備動作より前に身構えている。

　ソルサクにはこの殺気の段階がなくて、即座に予備動作なのだ。

　だから間に合わないのだと思う。

　そのためヒット＆アウェイに強めに意識したい。

　早めに攻撃を切り上げ、広範囲攻撃にそなえる回避の余裕を作っておくのだ。

　遠距離魔法はいくらでもあるのだから、モンハンの近接武器みたく「はりつく」必要性は薄い。

　私の感じた二つの不満は、欠点というよりはゲーム性の違いとして切り捨てて良いものだと思う。

　⋯⋯けど

　ひとつだけ言わせて。

　ダッシュと回避が同じボタンなのはアホすぎるだろ。

　離してから押すとラグが入るんだって！

　それが嫌でダッシュしてないから

　しばしば存在忘れるぞ。

　それで問題なく戦えるし

　ゲームデザインといえばそれまでだが

　全力疾走から身を投げ出して避ける⋯⋯という直感的に分かりやすい動きに支障が出てしまうのは、アクションゲームとしては減点対象かなと。

　ダッシュ使わず、ハヤブサの羽根（モンハンでいうと回避性能＋１０＆回避距離＋１０くらいになる魔法）で移動してます⋯⋯

ストーリーを攻略するぞ！

　友人からアドバイスをもらったり

　攻略サイトを見たりしながら

　順調にストーリーの魔物退治をしていたが。

　途中で明らかに「今戦う相手じゃねーだろ」な攻撃力と体力の化け物が要所要所で立ちふさがるので⋯⋯

　ストーリーから離れフリークエストへ。

　レベル上げに徹することにしました。

　というか、体感的にストーリーより弱い気がする⋯⋯

　目標としては攻撃レベル３０、生命レベル２０くらい。

　敵を倒して報酬を得るのだから攻撃力は大事！ってことで、まずは経験値は攻撃に全振り。

　そうしている間に報酬で魔法がたくさん集まってきました。

　魔法図鑑を埋めると「智力」が上昇。

　その数値によって、さらに上位のフリークエストが解放される仕組みです。

　より難易度の高いクエストでは、銀枠、金枠と呼ばれる強力な魔法が手に入ります。

　ラスボスに備え金枠はぜひ入手しておきたい。

　ここで、所属の書き換えを行います。

　魔法使いには所属する組織が３つあり、それによって報酬が変化するのです。

　これでさらに魔法図鑑を埋める！

　埋めるだけが目的なので、すごーく下位の簡単なクエストとかにも行きます。

　今なら、強力な魔法と経験があるので、無傷瞬殺可能♪

　取り逃していた部位破壊報酬とかにもチャレンジしつつ、さらに図鑑埋め。

　強いモンスターに無理に挑まずとも、これによって簡単に図鑑埋めができます。

　そして金枠魔法が報酬に並ぶ難易度Ⅶになったら⋯⋯

　いざ大型の魔物⋯⋯

　ではなく、雑魚魔物狩りに行きます。

　報酬のうち組織報酬はどのクエストでも同じ枠から抽選されるので、じゃあ強いやつより雑魚狩りでいいやーと怠けました。

　やばいな、将来怠惰属性の魔物に変化するかも。

ラスボスを撃破！

　メニューには「マーリンに挑む」という欄があり

　いつでも戦いに行くことができます。

　でも、さすがに初っ端から喧嘩を売るのは無謀というものです。

　私もゲーム開始直後、ポッケ村でティガレックスにちょっかい出すノリで行ってみましたが⋯⋯

　なんとマーリンはバリアをはっていた！

　攻撃力が低いと話にならないとわかって撤退。

　そして金枠魔法の攻撃力を欲したというわけ。

　それが手に入った今、尋常に勝負！

　主人公は檻を出て戦いを挑む。

　どこまでも続く、人骨と血が押し固められた大地でマーリンと相対す。

　日記を読み進めたことで

　日記の書き手、すなわちマーリンの親友の姿そっくりに変化した主人公⋯⋯

　おどろくマーリン

　バカな⋯⋯私の友人はもう⋯⋯

　魔物と化した瞳に迷いの色

　ここのシーンはこのゲームには珍しいムービーです。

　そう。いままでは日記だったけど

　この場面は、主人公の「今」だから。

　⋯⋯

　マーリンに勝利すると彼はドラゴンに変身。

　このドラゴンは、軸合わせをちゃんとしてくるし、

　足を攻撃し続けると倒れたり

　足踏みに攻撃判定あったり

　ワールドツアーをしたり

　こいつだけ妙にモンハンっぽいです。

　なぜだ？

エンディングの空が青い

　エンディングというか

　最終決戦の最中に空が青いことに気がつきました。

　ダークな世界観らしく、黒とか赤が多かったのでうれしい。

　戦いがおわったとき、それを見上げて自由を実感できました。

　なお

　私のプレイングでは真エンディングには行き付けないらしく、日記を最後まで読むことが必須のようです。

　そして、そのうえで物語はさらに先へ続くのだとか⋯

　総評すると

　ボリュームたっぷりで、世界観も緻密。

　戦略的な魔法バトルが楽しい。

　ダークファンタジーや血なまぐささが気にならない人は長く楽しめるだろう。

　ただし、モンハンへの入れ込みが強い人だと、アクション面で気になることが多いかもしれない。

　そのへんは柔軟に違いを楽しみたい。

　なお、同じ開発陣によるＶＲゲーム

「ソウルコヴェナント」が発売中だ。

　ＶＲゲーマーはそちらも是非チェック。

公式サイトリンク

災厄に立ち向かう狩ゲー「ソウルサクリファイスデルタ」