先週まで、上昇気流を上から見て、上昇気流をどのように利用するかを話してきましたが、今日は上昇気流を横から見て、上昇気流をどのように利用するかを説明します。

上昇気流を横から見ると、下記の図のように空気が対流していて、上昇気流の周りに下降気流があるような構造になっています。そして、それ以外のところは対流のない静穏な領域です。

ですから、静穏な領域から上昇気流帯に行こうとすると、必ず下降気流帯（沈下帯）を通過しなければなりません。

グライダーパイロットは、これを知っているので、「沈下の向こうにプラスあり」という言葉がグライダー界にはあります。

これを知らないパイロットは、沈下帯に入ると高度を失うのを恐れて沈下を避けようとします。するといつまで経っても静穏な領域から抜け出せません。

「沈下の向こうにプラスあり」ということを知っているパイロットは、沈下を突き抜けて上昇気流にたどり着きます。むしろ沈下が強くなるとこの先のプラスは相当強いだろうとワクワクします。

沈下を突き抜けると、下降気流と上昇気流の境目を通過します。この境目は下降気流と上昇気流の摩擦で荒れているので、通過時にはグライダーはゴトゴトという振動を感じます。
そして、上昇気流帯に入ると、グーと持ち上げられる力を感じます。
この瞬間思わず「キター」と叫びます。（私だけかもしれませんが）

この話は、まさにビジネスでもそうであり、人生そのものです。

リスクを恐れて、安全領域に踏みとどまっていたのでは、いつまで経っても成長することはできません。

「沈下の向こうにプラスあり」はグライダー界の言葉ですが「人生万事塞翁が馬」や「夜明け前が一番暗い」、「朝が来ない夜はない」などおなじような意味の言葉はたくさんあります。これは世の中の摂理なのでしょう。

私は、グライダーを通してこの摂理を知ってからは、あえて沈下に突っ込むようにしています。

企業再生の仕事はまさにそのものです。

安定した人生なんて、生きていてつまらないですよね。

どうせ、一度きりの人生なんですから、波乱万丈の人生がいいですね。

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【沈下の向こうにプラスあり】