東京に来て半年、京都本社勤務時代から数えて計一年半お世話になった会社を後にする事になった。

最終的に東京支店の立ち上げ完了まで携わる事が出来ず、いわば途中でケツを割った状態。

 

今まで手塩にかけて育ててくれた主任や専務には大変申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

 

だが、俺の中にはもっと広い世界で勝負したいという気持ちが日に日に強くなっていた。

 

義理よりも自分の功名心を取った俺は不義理者なのかもしれない。

 

いや、きっとそうだろう。

 

だが、当時の俺はその衝動を抑えきれなかった。

 

会社には自己都合退社という事で話がつき、俺は無職になった。

 

次に働く会社も決まっていた訳ではない。

 

ただ、心ここに在らずで中途半端に稼働を続ける気は起きなかった。

 

そんな状態でお給料をもらうのも自分のプライドが許せなかったのだ。

 

さて、京都に戻って来たは良いが、東京のマンションも引き払っていた俺は帰る場所が無い。

 

仕方なく三条河原町にある漫画喫茶に寝泊まりしながら、再就職先を探す事にした。

どんな会社に就職しようか。

 

狙ったら一本釣り。

 

保険はかけない。

 

ここで落ちたら親に頭を下げて実家がある岐阜に帰るつもりでいた。

 

学歴が無くても、年齢が若くても、経歴関係なく営業で結果を出せば出世できる会社。

 

そして願わくば、そこで一位を取れば日本全国に名前が売れるような規模の会社...。

 

これからはITの時代だ、IT系で上場企業だったら尚良いだろう。

 

でも、そんな条件に当てはまる会社なんてあるのだろうか。

 

俺は求人募集サイトを片っ端から当たった。

 

そしてネットカフェ難民になってから3日目、ついに条件に当て嵌まる会社が見つかった。

 

IT系、東証一部上場企業。福利厚生寮完備。年齢学歴性別関係無い完全実力主義。年商5,000億、全国に1000ヶ所以上の拠点があり、20代で課長、グループ会社社長になる事も可能!

そう、その会社こそ、後に俺の経歴を決定付ける日本を代表するIT巨大企業。

 

株式会社光○信だった。

 

俺は迷わず、WEB応募画面からエントリーシートを送った。

 

ここで俺は、日本一の営業マンになってやる。

 

そんな野望を抱えながら...。

 

京都編ご愛読ありがとうございました!

 

次回から新章突入です!

 

引き続き、宜しくお願いいたします。