その日、いつもの月曜日と違って、土曜日に母の行きつけの歯医者に紹介状を書いていただいた医療センターの口腔外科に電話し、一刻も早く予約をとってあげる必要があった。

8時半過ぎなら繋がる事を期待して電話すると、一発で繋がった。

「母の歯科医に紹介状を頂き電話しました。僕は長男です。口腔外科の予約を入れたいのですが?」

「予約がいっぱいで、2週間先になりますが。」

「いやいや、母がかなり痛がっていたし、土曜日に紹介状を書いて下さった歯科医から、かなり危ないので、週明け直ぐに予約して見てもらって下さいと言われましたので、本日中に診て頂きたいのですが、お願い出来ませんか?」

「少しお待ち下さい、先生に相談して来ます。」

「では、本日11時45分にお越し下さい。」

「ありがとうございました。」


もう8:45か、先ずは在宅勤務用会社のPCで本日の休暇を届けて、母に電話っと。

プルル、プルル、10コールしても出ない。

母はMCI(軽度認知障害)で、物忘れはあるが、土曜日に言ってあるし行けば居るだろう。

まぁ、散歩かも知れないから、行ってみよう。

自宅から実家迄、車でも40分から1時間かかる。

実家から医療センター迄は30分程度か?

あまり余裕が無いので、運転中だが、スマホの履歴からスピーカーでコールするが、何回かけても出ない。予約があるから少し焦る。

まー、庭掃除で電話が聞こえないのかな?とにかく行けば家に居るはずだ。

実家の駐車場は、父が亡くなってからは、2軒隣りに住む姉に占拠されているが、いつもの様にその前に停めた。


そういえば土曜日に、鍵が入った財布を無くしたと言ってたので、姉のスペアキーで日曜日中に作って置く様にメモ書かせたので作ったかな?と考えつつ、開いてるか分からない玄関のドア、開いてる。

「お母さん、おはよう!居る?」返事がない。

「お母さん?どこ?」リビングに入ると、そこには寝るばっかりの状態の布団が綺麗に敷いてある。

電気は、リビング、トイレ、そしてお風呂がついている。トイレは居ない、風呂場のドアを開けた途端、叫んだ。


続く