小説タイトル:星に祈りを
 
門前寺杞憂は、言う。
ほら人生ってさほとんど運みたいなところあるじゃん。俺ってその運ってやつが必ず味方してくれるわけよ。何にもしなくても、一つのパチンコ玉で大当たりを引くドラマとかあんな感じで、え、まぢラッキー!それだけ。一度じゃない何度も引く。それが俺。
 
学士間落成は、言う。
なんていうか人生って何してもうまくいかないというか、ついてないことだらけなんだ僕って。不運が通常なんだよね。ただ歩いているとアイスを持った人がよろけて誰かにぶつかる。そしたらその誰かはホットコーヒーを持ってて、アイスもコーヒーも僕にかかる。こんなことがほぼ毎日だよ。一回とかそんなんじゃないんだから。それが僕。
 
「人生で使われる運の量は限られている。人によってその運の量は、運命とかそういう迷信めいたものがが決めている。ついてるかついてないかは、神のみぞ知る。なんてことをこのご時世生きていたら必ず聞きますよね。でも私からするとそれを話す人たちは何も分かっていなくて。決められてもいなし限られてもいない。神にも決められない。二人で、決めていました。やるかやらないか、やられるかやるか。ずっと彼らとは小さいころから一緒にいたので、不思議というか、運はもう彼ら次第といいますか。運って均等が取れていないと手に入れられないってご存じですか。大きな運を手に入れるには、大きな運を手ばさないといけない。あ、そう、彼らは運ではなく星と呼んでいました。そういう出来事を私は彼らと毎日見てました。あ、何言ってるかわからないですか。そうだと思います。この話をすると皆さん同じ表情になりますので。でも大丈夫です。すぐに分かります。でも、そうか、もう知っていますか。核爆発のあの事件で。だから私はこうして取材を受けているわけで。突然の取材で動揺しているようです。でも、話しますよ。全て」
薬膳蝶子はマスコミの取材に、15歳の女子高生らしくもない落ち着きようで、まっすぐ前を見て答えていた。彼女の言う動揺は全く感じられず、よくある取材で浮きだつような表情を出す女子高生とは一つも共通点が全く見られない理由は、きっとそれ以上の何か出来事を突発的にも計画的にも見てきたからだとその場にいた取材陣全員が思った。魂ここにあらず。薬膳蝶子の魂は彼らが持って行ってしまったのかもしれない。
 
*蝶子 🦋
 
 人生で起きるラッキーアンラッキーを意識せずにはいられないことが今まで多かった。だから二人で立ち向かうことにした。それだけの話。
 
 落成が、持ち前の努力で練習に練習を重ねサッカーのレギュラーに選抜された試合の当日、近所のおばさんの不注意で二階から植木鉢が落ちてきて足の指に命中した。杞憂は、補欠の代役でその日だけ呼ばれたメンバーであることから、落成の不運を埋めるため試合に急遽出場し、相手のゴール前のディフェンスパスが前日の雨でぬかるみに足を滑らして勢いづいた杞憂の頭に直撃し、見事ゴールの逆転勝利となった。優勝者、その日のMBP賞として杞憂に贈られたサッカーシューズは、落成が前々から欲しかったメーカー限定品のものだ。
「痛かった?」
杞憂が笑いながら、シューズを落成に渡した。
「全然?だって欲しかったから」
シューズを受け取る落成は、そうこれなんだよ、欲しかったのはと顔が語らずにはいられない。
「良かったな、お前の星だ。あ、今度商店街でくじ引きあるんだ。景品が俺の欲しかった最新シューティングゲームだ。4Dらしいぜ!あれ手に入れたい」
試合後の夕焼けが染めるオレンジのベンチに腰掛け、杞憂はサッカーシューズを脱ぎ始める。
「いいよ。簡単だよ、大した星じゃないんじゃない」
落成はついにシューズに頬ずりをする。
「なぁ、お前それ、あと1か月は履けなくね?」
杞憂は落成の足の怪我を見つめ、ちょっと今回はやっぱり少しひどかった気がすると、思い直す。
「それは言わないで。限定品だし、今回の星は結構レアだったから、受け入れないと」
「じゃぁ、あれかよ、俺がゲームを手に入れれたらお前の手が怪我をするのかよ、それはちょっと怖いわ、やっぱりいらね」
「大丈夫だって!」
「いいって!星を使うことはやっぱり危ないって」
 
「星を使うとはどういうことですか?」