橙也ナレ「今日は『Stride future』当日。緊張しつつも俺達はこのフェスを楽しもうと決めた。」
司会「さぁ!始まりました!アイドルフェス『Stride future』!今回も粒ぞろいのアイドル達が揃いました。では紹介してきましょう!」
ステージ袖-
ゆかり「いよいよだね。」
秋黄実「この際、この会場の客全員を俺等のファンにする勢いでやってやろうぜ!」
翡翠「それは無理なんじゃ…。」
秋黄実「無理とか言ってんじゃねぇよ。やるんだよ。な?橙也。」
橙也「そうだな。会場を俺達の色に染めてやろう!」
ゆかり「それだけじゃない。『COLORESS PAINT』がこのフェスのトップなんだって事を知らしめるんだから。」
翡翠「うん、引っ込み思案で頼りない僕だってやれば出来るんだって観てる人に証明したい。だから、頑張るよ。」
橙也「翡翠は頼りなくなんてない、俺達を影ながら支えてくれてたじゃん。」
秋黄実「お前を頼りにしてるからこそ俺は…。」
翡翠「…サネ?」
秋黄実「なんでもねぇよ!ほらっ行くぞ翡翠!」
翡翠「う、うん。」
ゆかり「正直に気持ちを伝えればいいのに、ね?橙也。」
橙也「逆に秋黄実らしくていいんじゃないか?」
ゆかり「それもそうね。…(小声で)僕も三人の事、頼りにしてるし信頼してる。だからこそ本当の事打ち明けたんだし。今日は四人で頑張ろうね。」
橙也「あぁ!」
司会「続きまして、期待の新人アイドルグループ『COLORESS PAINT』の皆さんです!」
COLORESS PAINTの四人、ステージ入りして
司会「『COLORESS PAINT』の皆さん、今回は初出場ですが意気込みなどございますか?代表して橙也さん。」
橙也「はいっ!こんな大きな会場に立つのは初めてですが、メンバーの皆と一生懸命練習したので今日は楽しみたいと思います!」
司会「ありがとうございます。続いては…。」
ステージ袖-
若菜「…。(おおきく息を吐いて)」
山吹「緊張してる?」
若菜「…少しだけ。でも、ここまで来たらトップになろう。」
山吹「うん。そうだね。」
若菜「ねぇ、山吹。手、出して。」
山吹「どうしたの?」
若菜「えっと…。ほぐしたいんだこの緊張を…。」
山吹「そっか。よし、なら繋ごうか手。(若菜の手を取り)これで、いいかな?」
若菜「…。山吹の手、ちょっと震えてる。山吹も緊張してるのか?」
山吹「そりゃあね。でも、こうして手を繋いだらアタシも安心した。」
若菜「そっか…。僕も大分マシになった…。(小さい声で)ありがとう。」
司会「続いては、女性デュオ『百花繚乱』です!」
百花繚乱、ステージに入り
司会「お二人は二回目の出場ですね。前回はベスト4でしたが今回はやはり優勝を目指していますか?」
若菜「そうですね。このフェスで前回の雪辱を晴らしたいと思います。」
司会「ありがとうございました。さぁ続いては…。」
ステージ袖-
紅「っしゃぁ!ついに来たぜ『Stride future』!てめぇら気合い入ってんだろうな?」
藍「…。あ~…相変わらずうるさいな。」
朱雀「しょうがないですよ、バカなんですからこいつは。」
紅「揃いも揃ってバカバカ言いやがって!いいか?俺達はトップを目指す!それだけだ!」
紅、二人を指さして
藍「大口叩く割には緊張してんじゃん。」
紅「は?んな訳…。」
朱雀「へぇ~…、ならなぁんでおててが震えてんだろうなぁ?」
紅「…。前回、悔しい思いしたからな。そりゃ緊張もするって。」
藍「あぁ、ここで頑張らねぇとな。」
朱雀「今の俺達なら大丈夫。俺と藍さんを信じろ、紅。」
紅「朱雀…。(ぶつぶつ言いなさい)」
司会「続いて、前回準優勝!『Lunar Eclipse』の三人です!」
Lunar Eclipse、ステージに入り
司会「準優勝となると声援の数も違いますね。さて紅さん、今回もミステリアスで格好いい『Lunar Eclipse』が観られる事を期待していますよ?」
紅「当たり前だ。俺達が最高の存在だって事を証明してやるよ。」
司会「さぁ、会場の温度も最高潮になってきました!『Stride future』!開幕です!」
橙也ナレ「いよいよフェスが始まった。たくさんのアイドル達がそれぞれのパフォーマンスを披露する。」
山吹「よしっ!そろそろアタシ達の出番だよ。」
若菜「…(ブツブツ言い)。」
山吹「…?若菜?」
若菜「…。」
山吹「こらっ!また顔が強張ってるぞ!」
山吹、若菜の頬を軽く叩いて
若菜「ひゃあっ!?なにすんだよ!」
山吹「緊張するのもわかるけど、そんなに表情が硬くっちゃ駄目だよ?こないだも言ったでしょ?アイドルは笑顔が大事なんだからね!ほらっ!笑顔笑顔っ!」
若菜「(クスっと笑い)そうだね、さぁ!行こうかっ!」
男プロデューサー、ステージに向かう二人をみて
男プロデューサー「…。先日のレッスンの時よりもちょっとはいい笑顔をするじゃないですか。ま、どこまで通用するか見せてもらいましょうか。」
二人、ステージへ
観客の声援があがり、二人にスポットライトがあたる
山吹「一の柝(いちのき)の合図と入れ込みに感謝!豪華絢爛、花の舞。」
若菜「目に焼き付けな!あたし達の輝きを!」
山吹「こんにちはぁ~!『百花繚乱』の山吹でぇ~す!」
若菜「同じく、『百花繚乱』の若菜です。」
山吹「もぉ~若菜っては相変わらず硬いぞっ!」
若菜「うるさいっ!そういう性分なんだからしょうがないだろ!」
山吹「いいからいいから、ほら、曲の紹介してっ!」
若菜「それでは僕達の新曲、聞いてください。『桜花乱舞』」
曲が流れ百花繚乱のパフォーマンスが始まり
ステージ袖で橙也と紅が見ていて
橙也「やっぱ姉ちゃんはすげぇよなぁ…。」
紅「認めたくはねぇけど、あのちびっこもなかなかだな。」
橙也「紅さんが若菜を褒めるなんて珍しいですね。」
紅「俺だってなぁ、素直に凄いって思った事は褒めるぞ?」
橙也「(クスっと笑い)そうなんですね。俺達も先輩達に負けない様にやるんで見ててくださいよ。」
紅「へぇ言う様になったじゃん、橙也。お前、いつから…っと。」
橙也「…?どうしたんですか?」
紅「どうもしねぇよ、ほらもうすぐリハだろ、早く行けよ。」
橙也「はいっ、じゃあ行ってきます!」
紅「(呟く様に)初めて会った時は見下げてたけどいつの間にか目線が一緒になってやがる。…、俺も歳取ったねぇ~…。さて、俺もいきますかぁ。」
司会「『百花繚乱』のお二人、ありがとうございました!」
山吹「ばいば~い!」
若菜「ありがとうございました。」
-しばらく、ほかのアイドルのパフォーマンスが続いて-
藍「今年も凄いな。去年の熱気とはまるで違う空気だ。」
朱雀「そうですね。この雰囲気に飲まれないようにしなくちゃ。な?紅。」
紅「わかってるって、ちゃんと歌詞も振り付けもバッチリ覚えてるしな!今回こそ俺らがトップなんだって見せつけてやるさ。」
藍「そうだよなぁ。前回はやらかしそうになったもんなぁ~。」
紅「あ~聞こえな~い聞こえな~い。さぁてそろそろ呼ばれそうだから行こうかなぁ~。」
朱雀「誤魔化してるつもりなんだろうけど…。」
藍「まぁ、そこは紅だから仕方ないさ。」
朱雀「そう…ですね。」
紅「ああん?なんだってぇ~?」
二人、言い合いを始めて
司会「さぁ!続いては今回の大本命!『Lunar Eclipse』の登場です!」
三人にスポットライトが当たり
紅「俺達の新曲『clair de lune』聞いてくれ。」
Lunar Eclipseのパフォーマンスが始まり
若菜「…、悔しいし認めたくないけど、やっぱり凄いな。『Lunar Eclipse』は。」
ゆかり「そうだね。普段あんなにふざけてるのにこういう所ではしっかりやるんだからさ。」
若菜「ゆかり…。…うん、前回よりもパワーアップしてるのがわかる。この後『CLOROESS PAINT』でしょ?大丈夫?」
ゆかり「僕は…、私は私の持ってる力を発揮するだけ。三人もきっとそうだと思う。三人を信じて作り上げるそれが『CLOROESS PAINT』だもの。」
若菜「そっか。そうだよね、僕達もやれるだけの事はしたから。結果はどうであってもそれが僕達だ。」
ゆかり「…。本音は?」
若菜「…、ホントは負けたくない。」
ゆかり「だよねぇ~、あ~んな奴らなんて負けたくないよね。」
若菜「うん。…ゆかり、頑張ってね。」
司会「『Lunar Eclipse』の皆様!ありがとうございました!」
紅「じゃあな。」
朱雀「ありがとうございました。」
藍「またね。」
-またしばらく、他のアイドルのパフォーマンスが続き-
秋黄実「人、人、人…。」
翡翠「サネ、大丈夫?ほら、お水飲んで。」
秋黄実「サンキュー。…はぁ~…、皆すげぇよなぁ…。」
翡翠「そうだね。でも、僕達だって負けないくらい凄いんだから。サネは頑張ってきたじゃない。僕は隣でずっと見てたからわかるよ。二倍も三倍も成長してるもの。」
秋黄実「翡翠…。」
ゆかり「なぁに二人の世界作ってんのよ。そういう事するなら他所でやってよね。」
秋黄実「ばっ、違っ。(慌てる)」
橙也「はは、秋黄実、慌ててやんの。冗談だよな?ゆかり。」
ゆかり「え?あぁ…そうね。うん。」
女プロデューサー「やぁやぁ、君達ぃ~!!」
橙也「プロデューサー!?」
女プロデューサー「そろそろ出番だと思ってな、応援しにきたぞ。」
ゆかり「応援…ねぇ、へんてこプロデューサーでも良い所あるんじゃない。」
翡翠「もう、ゆかりちゃんってばそんな事言って、本当は嬉しいんでしょ?口元が緩んでるよ?」
ゆかり「…見ないでよ、バカ。」
女プロデューサー「CLOROESS PAINTの諸君、君達の心のキャンパスは描けているかい?」
橙也「それをこれからプロデューサーに見せます!『俺達』と言う絵筆で『ファン』って言うキャンパスに。」
女プロデューサー「ほう、ならその景色をみせてもらおうじゃないか。」
秋黄実「俺様の魅力で会場を七色に染めてやるよ。」
翡翠「僕達は四人だから、サネ。」
ゆかり「はぁ~(溜息)ほら、もうすぐ出番だよ。」
女プロデューサー「さぁ、その『絵筆』で好きな様に描いてくるといい!」
四人「はいっ!」
-ステージー
司会「さぁ!いよいよ最後のグループの登場です!」
橙也「こんにちは!『CLOROESS PAINT』です!先ずは自己紹介から。俺は橙也、よろしくお願いします!」
ゆかり「は~い、私はゆかりです。よろしくね。」
秋黄実「うぃ~っす!俺は秋黄実っ!今日はここにいる全員を俺のファンにしてやるからな!」
翡翠「皆さん、こんにちは。僕は翡翠と言います。他のグループに負けない様に頑張りますね。」
橙也「俺達の新曲聞いてください!『Magical Painters』」
CLOROESS PAINTのパフォーマンスが始まり
藍「いいパフォーマンスする様になったじゃん。ゆかりも楽しそうだ。」
山吹「だねぇ。橙也も生き生きしてる。カラペンって毎回楽しそうに歌うよねぇ。」
藍「あぁ、それが良い所だし強味だからな。あの頃のゆかりは忙しさも相まって常に顔が引き攣ってたからな。」
山吹「うん。いつか壊れちゃうんじゃないかって心配だったもん。」
藍「あの状態で続けてたらそうなってたかもしれないな。」
山吹「それは藍君もだよ?あの時、ずっと悩んでたでしょ?自分がしっかりしないとってさ。」
藍「あ~…、子供な二人を俺が引っ張るんだなぁっていうプレッシャーもあったかも。まぁ、今じゃ二人も大人に近づいてきたし、自分の事は自分で決められる。あの時の解散はこの為にあったのかもな。」
山吹「子供って失礼だなぁ。でも、ホントそうかも年数を重ねて気持ちも考え方も変わってきたしね。」
藍「おっとな~(からかうように)。」
山吹「全然、思ってないでしょ、それ。(むくれて)」
藍「さぁてね(微笑み)CLOROESS PAINTのパフォーマンスも終わりそうだ。」
山吹「そうだね、いこっか。」
ステージー
司会「『CLOROESS PAINT』の皆さん!ありがとうございました!」
4人「ありがとうございましたぁ!」
秋黄実「かんっぺきだったな!俺達っ!」
橙也「あぁ!なんて言うか、会場の人達との一体感っていうの?凄かったな!」
ゆかり「うん、ファンはもちろんそうじゃない人も私達を応援してくれるのが肌で感じられたね。」
翡翠「まだ僕、ドキドキしてるよ。でも、もっとあのステージに立っていたい気分だよ。」
秋黄実「それ!俺もそう思った。不思議だよなぁ、あそこに立つまでは緊張するのに、いざ始まると楽しいが勝っててなんて言ったらいいかわかんねぇけどよ。」
ゆかり「ホント、バカだよね。ま、それが秋黄実か。」
橙也「ははは。よぉし後は結果次第だな。」
ステージ脇を歩いていると朱雀がいて
朱雀「秋黄実、翡翠。いい出来だったみたいだな。」
秋黄実「朱雀さん!そりゃあもちろん、なんせ俺様!だからな!」
朱雀「はいはい、そうだったな。翡翠もこないだの音楽番組の時よりも成長してて良かった。」
翡翠「それもこれもあの時の合宿のおかげです。体力もついたし、どんな風に見せたらいいかとかLunar Eclipseのお三方には本当に感謝です。」
朱雀「俺らは基本を教えただけだよ。良くするのも悪くするのもお前らの努力次第。それが今の『CLOROESS PAINT』だ。」
秋黄実「だぁろ~?もう俺らの勝ちって事で決まりじゃね?」
朱雀「そいつはどうかな?俺達だって前回の雪辱を晴らすのに気合入れたしな。お前らみたいなひよっこになんて譲らねぇよ。」
翡翠「僕達だって負けてませんからね!」
朱雀「ま、結果はどうであれ今日の事はきっと、俺達も含めいい経験になった事は確かだよ。だから、どんな成績でも恥じる事なんてないさ。」
翡翠「はい。これからもよろしくお願いします。」
秋黄実「俺様の実力ならルナエクなんてすぐに追い越してやるって。」
朱雀「言ってろ。」
数十分後ー
司会「すべてのアイドル達の全力のパフォーマンスも終わり、今、審査の結果が私の手元に届きました!果たして、今回の『Stride future』!頂点に輝いたのは!?」
数年後ー
橙也ナレ「あのフェスから数年が経った。フェス以降、『COLORESS PAINT』の名前は一躍有名になり仕事も増えた。そして今日は夢だった大舞台に俺達は立っている。」
秋黄実「人、人、人…。」
翡翠「サネ、相変わらずそれやってるの?」
ゆかり「秋黄実って口では大きい事言うけど緊張しいだよね。」
秋黄実「うっせ~な!これが俺のルーティンなんだよ!」
翡翠「そうなんだ…。でもサネはだれよりも努力して悩んで、でもそれを全く見せない。そういう所、サネの良い所だよね。」
秋黄実「はぁ?べ、別に俺努力なんてしてねぇし?なんせ『秋黄実様』だからな。」
ゆかり「どっかの誰かさんみたいな事言ってんじゃないよ。バカ。」
橙也「へぇ~?じゃあこないだ『一人』でスタジオを借りて『練習』してたのだ誰だったかなぁ?」
ゆかり「やっぱり、あの後練習してたのね。うん、だからいい仕上がりになってたんだ。」
翡翠「でしょ?僕はそういうサネが好きなんだ。」
秋黄実「ばっ…、好きとか…。」
翡翠「?どうしたの?」
橙也「俺も三人の事、友達としてもメンバーとしても好きだぜ。ゆかりもそうだろ?」
ゆかり「へ?あ~…うん、そうだね。好きじゃなかったら一緒にいないし。」
秋黄実「友達…、そ、そ~だよなっ!友達だよなっ、うん。」
橙也「そうだ!なぁ、俺達のライブチケット、完売したって聞いた?」
翡翠「うん、僕達を見に来てくれた人達が本当に増えたよね。」
ゆかり「ねぇ、ちょっとだけ会場、見に行かない?」
秋黄実「お、いいねそれ、行こうぜっ!」
ステージ袖-
秋黄実「すっげ~、満席じゃん!」
翡翠「四色が混ざり合っててとっても綺麗だね。」
ゆかり「…あれ?あそこにいるのって『Lunar Eclipse』じゃない?」
橙也「え?どこどこ?」
ゆかり「ほら関係者席に座ってるの、そうじゃない?」
翡翠「ホントだ、見に来てくれたんだ、なんか嬉しいね。」
秋黄実「紅さんめっちゃカッコつけてね?まだそのキャラなんだ。」
橙也「てか朱雀さんも藍さんもなんて言うか目立つなぁあれがオーラってやつかな?…あっ!ちょっと外れた所に姉ちゃん達がいる!」
秋黄実「橙也の姉ちゃん、まだ始まってないのにオレンジのペンラめっちゃ振ってるじゃん。」
翡翠「若菜さんもペンライト持ってるね。あれはマゼンダかな?」
ゆかり「好きなの隠し切れてないじゃん。(クスクス笑い)」
橙也「(Ⅿ)姉ちゃんに憧れてやってきたこのアイドルという世界。『CLOROESS PAINT』として今、大きなステージに立てるんだ。見てくれよな、姉ちゃん。」
秋黄実「よ~し!いくぞお前ら!」
三人「うんっ!」
ステージ上ー
橙也「こんにちわ!俺達っ!(小さく)せ~のっ。」
四人「『CLOROESS PAINT』ですっ!」
