9月20日午後5時頃



相変わらず車のクラクションは鳴りっ放しだ。

そして、ナポリ駅周辺は大規模工事中らしく歩道が込み合って、先入観からか、どいつもこいつも引ったくりに見えてくる。


程なく、人混みを抜け大通りに。

一応、地図は広げるな!!という嘘か本当かよく分からないネットなどの忠告を信じ、なんとなく奥へ進む。

なんどもシミュレーションして、なんとなく方向はあってる気はするが、この街の雰囲気に面食らって冷静な判断が出来ない。


緊張してるのか、おれ!?


とか思いつつ、どんどん進む。

程なく、狭い路地道を発見。


なるほど、ここを進めば旧市街に入れるんだな。


路地には人影はなく、どんよりとした雰囲気を感じる。

ただ、ここを越えなくては有名なスカッパナポリやドゥオモにはつかない。

奥さんは何も言わずについてくる。

不安じゃないのか??


人がいないどんよりしたゾーンの先は、ざわざわとした人混みあふれるゾーンに。

平日の昼間っから酒を飲んでる人や、狭い道をスクーターで走り回ってる連中、買い物する主婦、そしてゴミ。

もうなんか、気づいたらあきらかに雰囲気が変わってる。

イタリア以外の外国にはいったことないが、これはきっとスラムだ!!

そう思う。

何気ない日常に、ふと迷い込んだ東洋人。

彼らの目は、何か獲物を狙うような。または、よそもんが何ノコノコここにやってきてんだ。的な目線を感じる。

合う目は完全に笑っていない。

ここでいよいよサンダルで来てしまった事に後悔する。

そして、独りで来なかった事への安堵はあったが、その後すぐ、奥さんを連れて来た事を後悔する。

自分1人なら、例えスクーターに追いかけられようと大通りまでなら逃げる自信がある。

しかし、女性をそこまで無事に届けるとなると、腕一本以上は確実に覚悟が必要な、そんな街の雰囲気へと変貌していった。


日々の筋トレの成果を発揮するにはうってつけの場所!!そんなポジティブな思考はここではやってこない。

せっかく来たのだから、この雰囲気・街並みを写真ででもお届けしたい気持ちはあったが、まずは安全確保が最優先と思い、荒くれ共達に火をつける撮影行為は御法度。

そう判断した私は、この光景を目に焼きつけ、脳に記憶し、その空気を吸い込み、背後・左右・そして前方をしっかり確認しながら、一歩一歩どこかに進んで行く。


そして気づけば、また人通りがまったくない閑散とした通りに、ほっと一安心。

ひとまず、人とスクーター達をよけ、スリにも気をつけ、からまれないように細心の注意を払い続ける緊張からとかれた。。。と思ったのも束の間、この人通りの無さは、これはこれで危険な気がしてきた。

なぜなら、さっきの通りで完全に無防備なジャップ2人組みの姿を散々さらし、誰に誘われるでもなく、勝手に人通りの少ない通りへ行ってくれる。

賊にとっては、カモがネギをしょってやってきた!!そんなシチュエーションである。

ただこの賊にとってはおいしすぎるシチュエーション、深読みして尻込みしてる間になんとかここを抜けださねば!!

少し歩くスピードを速め、脳をフル回転さし、今の現在地が全く分からない中で目的の場所を断念し、極力安全かつ最短ルートで大通りへの脱出計画を立てる。

ミッション・イン・ポッシブル


なんとか勘を頼りに進み、大通りが見れるとこまでこれた。

しかし、この天と地の差は何だ!!

安心して口数も増え、名残惜しく旧市街地方面を見て、そして地図に目を通した。

そして、大通りといえど、ショーウインドウのガラスを割られているのを見て、おとなしくホテルに帰ることに決めた。


ただ、大通りを歩いて10分ぐらいが経過した頃には、さっきあった出来事をすっかり忘れ、写真を撮ってなければこの事実、誰が信じてくれるのだろう。。。

そういう考えがチラつき始めた。

好奇心という魔物は、私の思考を支配し、また現れた路地へと私を誘って行った。

必死に止める奥さんには、こっちが近道や。

と言い、無理やり納得さた。














ちょっとした慣れ+こっちは比較的危険を感じなかったのでちょっとだけ写真を撮れた。

やはり画像ではなかなかこの空気感をお届け出来ないが、ただかなり汚い街だ。

汚いので写真は撮らなかったが、道端にひっきりなしにゴミが捨ててある。


そしてなんとかちょっと写真も撮れ、達成感も出てきた所で重大な事に気づく。

なんと、全く帰り道が分からなくなっているのだ!!

なんとなくの方向すら怪しい。

ただ、それを言うと奥さんがブチ切れるのは明白。

さっきまで余裕こいて写真を撮っていた旦那の口数が減った事にはまだ気づいてない様子。

目が点になりながら、方向転換を目まぐるしく行う。

一応、迷ってるのではなく、いい被写体を探してるんだよ!的な雰囲気を必死に出しながら、歩き、そして道を確認する。

で、やっとの所でまた大通りに出た。

そしたら目の前で、歯の抜けた汚い格好のばあちゃんと、そこそこオシャレな若い兄ちゃんがケンカを始める。

そして、それを見てた周りの汚い格好のギャラリー達が、歯の抜けたばあちゃんの味方につき、よく分からない状況になっている。

これはこれで危険なので、そそくさとその場を立ち去る。


そして、

そっちじゃないよ!!

と奥さん。

ホテルはこっちやろ!?

と奥さん。


私は、この奥さんと結婚していなければ、今頃ナポリで歯が抜けていたかもしれません。。。