伊勢真一監督の
「えんとこ」と「えんとこ 再訪」です。
「えんとこ 再訪」は20分ほどの小品です。
というかこれをもとに1本の作品に
なっていくのでしょう。
「えんとこ」の主人公は遠藤滋さん。
伊勢監督の立教大学時代の友人です。
彼は脳性麻痺でした。
彼は明るく何にでも取り組む青年で
監督とともに学生運動にも
参加していたそうです。
今はほぼ寝たきり状態でありながら
若い学生達や労働者が
24時間交代で介助に訪れ
多くを学びながら成長していく姿を
描いています。
脳性麻痺というと
原一男監督の「さようならCP」を
思い浮かべます。
ぼくはまだ未見なのですが
「青い芝の会」が取り上げられています。
「青い芝の会」は
脳性麻痺「障がい者」自身が作った
「障がい者」の解放を目指す全国組織の
運動体です。
現在も続いていると思います。
「えんとこ」の遠藤滋さんが
「青い芝」に入っていたのか、
関わりがあったのかは知りません。
しかし現在高齢者介護でも使われる
個人の尊厳や自立支援という概念は
「青い芝」などが
「障がい者」の自らの自立を目指す中で
実践的に確立していったものです。
ほぼ40年以上前から続いてきた運動です。
「えんとこ」に集まる若者達は
遠藤さんから影響を受けていきます。
映画に流れている音楽は「不屈の民」です。
「えんとこ」は1999年の作品。
25年ぶりに監督と遠藤さんは合い
さらに「えんとこ 再訪」では
15年ぶりに2人は再会しています。
この映画祭が始まる前年、
この「えんとこ」上映会での
エピソードは先にも書きましたが
先頃の相模原市の事件の犯人の様な
発言をされた1人の観客と
すかさず反論した初老の女性と
それに拍手した当時の観客達。
その時から15年近くを数えるわけです。
今年の映画祭では
原点回帰という事もあるそうです。
一方に時間軸があります。
他方でその時間軸の中で生きている人がいて
その関係性の中で
人と人とがつながり
関係をつなげていきます。
66歳で亡くなった動物園の象には
飼育員が必ずいるのです。
象という繊細な動物の飼育員には
なかなかなれず、
複数の飼育員が
ずっと象の担当になるそうです。
新人が象に認められて一人前になる過程が
必要なのです。
という事は66年という月日の中で
時代時代の飼育員の人達が
思いを伝えてきているのです。
各映画の相乗効果で
1つの作品だけでは見えなかったものが
見えてくる様になることが
この映画祭の特徴であると言えるでしょう。
映画祭はもう1ヶ月ほど前になります。
また来年を楽しみにしましょう。