激動のオリエントにヘブライは?教科書にケンカを売ってみる(世界史編)第六二話
こんにちは、ヒスペディアです。本日は久しぶりに教科書の内容に入ってみたいと思います。前回までのあらすじを言いますと、イスラエル王国が南北に分裂しました。せっかく安住の地を得たにもかかわらず、国の制度をめぐって揉めてしまったんですね。その後、分裂した国々はどうなったのでしょうか その後、イスラエル王国はアッシリアに滅ぼされ(前722年)、ユダ王国も新バビロニア王億に征服されて、前586年、住民の多くは、その都であるバビロンにつれ去られた。これをバビロン捕囚という。 ヘブライ人(ユダヤ人)の歴史において、重要な出来事がバビロン捕囚です。ユダヤ人は「自分たちは何者なんだ?」と問いかけるきっかけを与えました。『旧約聖書』の内容がその答えになります。ではここでケンカを売りましょう・・・ アッシリアや新バビロニアの印象悪いやんけ! のちのち紹介はしますが、一気に他勢力がヘブライ人国家を滅ぼした勢力として登場してくる。これが何を意味するか。それは、キリスト教世界において、かつての強国アッシリアならびに新バビロニアのイメージが悪いことを意味する。 そもそもアッシリアや新バビロニアは何をしたのか。それは民族の解体である。大まかに言えば①移住→②混同→③消滅のプロセスで行った。民族の風習や文化を強制移住による異民族との生活によって断たせるということだ。民族性の強いユダヤ人から見れば天敵である。以前にも伝えたが、ヨーロッパの人々は『旧約聖書』を真実の歴史と見なしていた。 『旧約聖書』とは一人の作者がいるわけではない。何百年もの時間をかけて作られたリレー小説のようなものである。一応宗教上ではモーセが最初の作者とされており、小分けにすると三十九の書のうち最初の五つ、『創世記』・・・世界が創られ、ヘブライ人が形成『出エジプト記』・・・指導者モーセがエジプトを出て、神から十戒を授けられる。『レビ記』・・・モーセが定めた取り決め『民数記』・・・モーセが引き連れた人々のリスト『申命記』・・・モーセが後継者を指名して死ぬまで。がモーセによる製作だとされている。しかし、文体の可能性から、通説では紀元前8世紀、つまり、南北分裂後という可能性が非常に高いのだ。『旧約聖書』の目的は何か。