僕の親父(オヤジ)が死んでから、もう少しで3年になる。
親父が死ぬまでというもの僕はまったく考えたことがなかったんだけど、ある事に気付いたんだよ。

俺が失ったのは一人の父親ではあるんだけど、実は世界中で一番俺を愛した人なんだよなって。
もちろん、そんな言葉を親子の関係で一度だって使ったこともないし考えたこともないけど、でもこれって紛れもない事実なんだよね。

この世に生まれた時から、人生の最後の瞬間まで、親父は確かに俺を愛し続けた。
どんな時も全身全霊で俺と向き合っていたし、
本気で叱ってくれたし、
真剣に喧嘩もしたし、
心の底から可愛がってくれた。
世界中のどこを探してもこれだけ一心に俺を愛した人はいないのだ。

皮肉なもんで、そういう本当の意味での愛を感じたのは彼の死没後だったわけ。

今は、かつで自分が分け与えられていた愛を、自分の子供に向けている。
俺の子供に対する愛情が、親父の俺に対する愛情に勝るのかそうではないのかわからないけど、
なんにしても自分を世界一愛した人を失ったことは寂しい。本当に寂しい。

愛を口にするのは簡単だけれど、でもその前に、愛というものがどんなものか、もう一度考えてみて欲しい。
親子の間の愛であっても、男女の間の愛でも、好きだから愛してるなんてそんな生易しいものじゃないんだよ。

それを身をもって教えてくれた親父にありがとうと言いたい。