講演

「万葉歌にみる大和三山」から

 

大和三山とは

藤原京を囲むようにある

耳成山 香久山 畝傍山

 

奈良盆地の中に

こんもりと

200mも満たない山が

三角形に位置します

 

古代の人たちからも慕われ

記紀や万葉集にも記述があります


その1 香久山のこと


東に位置するのは

香久山(香具山)です


万葉集の巻1には

舒明天皇の御製歌(おおみうた)として

 

大和には 群山あれど とりよろふ

天の香具山 登り立ち 国見をすれば

国原は 煙立つ立つ

海原は 鴎立つ立つ

うまし国そ 蜻蛉島 大和の国は

 

大和の国には山々あるが

香具山に登って国を見下ろすと

国中の家からは煙が立ち

海には鴎が舞っている

日本の大和はなんと美しい国か


風景を詠った歌のように

思いますが


天皇の国事行為を

意味しているそうです


そもそも140mほどの香具山から

それほど遠くまで見渡せるはずもなく

まして

奈良盆地から海は見えません


不思議1

なぜ香具山なのか?


神が降り立つ

「天の」香具山だから


国を治めるものとして

神宿る山から

国見をするという行為に

意味があるようです


家々から煙が立っているのは

暮らしの安定を表すこと


それは分かるにしても


不思議2

なぜ海原と鴎なのか?


海原を水辺 鴎を鳥

と読むと


水辺に鳥が集まり

エサが豊富であることを

示しています


ひいては

自然が豊かな国であることを

意味します


「煙立つ立つ 鴎立つ立つ」と

韻を踏んでいるあたり


古くて新しい感じがします


私の国は

自然が豊かで

人々が平和に暮らしている