昔、父が人生の終焉を迎えようとしていた時、物凄く怖い夢を見ました。
夢の中の父は現実と同じく虫の息で横たわって居たのですが、もう一人の父がその隣で
大声で叫びながら大暴れをしています。「此の儘一人で死んで行くと思うなよ!お前達
全員道連れにしてやる~!」まるで鬼の形相で喚いています。夢が覚めても暫く気分が
好くなかったコトを記憶しています。実はこのセリフは晩年の父が癇癪を起こし、部屋を
真っ暗にし、畳に包丁をブッ刺してヤバイ目つきで実際に言ったモノでした・・
父は若い頃結構やんちゃな人だったそうで、小柄だが喧嘩早く、口より手の方が早く
出た様な人だったと聞いています、何かの縁でボクシングジムの会長に見初められ、
5回戦ぐらいまで負けなしだったそうですが、その上のクラスでKOパンチを喰らい挫折した
と本人が言っていました。母と結婚し少し落ち着いたそうですが、母曰く嫁入り三日目に
ビンタを喰らったと恨み節を聞かされました、その後、自分の想い通りにならないと母が
犠牲になり、自分が小さい頃は週3~4日のスパンで暴れ、母はDVを受け続け、自分達
子供は泣いていたコトを覚えています。
母もよく耐えたモノです、母の実家は由緒のある家系で母方の祖母はとても厳しく母を
教育したそうです。母は父とは真逆で女性にすれば大柄でとても健康で子供も5人出産し
早くに無くなった伯父さんの娘3人までも嫁に出すまで面倒を見て父方の祖父母も母の
庇護下にあったと言っても過言ではありません。でもあまりのDVの酷さに実家に逃げ込んでも
母方の祖母は一緒に泣いてくれても出戻りは絶対許さなかったそうです。私はそんな話を聞き
何故祖母は女性としてもっと上手な生き方を教えなかったんだと、一時期疑問を懐いたコト
がありました。だけどそんな母のお陰で我が家は想像を絶する試練に耐えて来れたんだ
とも言えます。
父は善く当たると言われた占い師や、祈祷師の話では、この人は前世龍王国の庭の管理人で自分の不始末でその庭の木を全部枯らしてしまった罪で人間界に木を一つも持たずに木の無い苦労を勉強する為に転生して来たと。管理人と言えども神様の端くれなので、非常にプライドが高く自分の気位と現実とのギャップに何時も欲求不満で癇癪を起こして暴れてしまうと説明され、上手に例え話をすると感心しました、占い師は本人は陽の火の丙なのだが燃料となる木の甲、乙が一つも無い、こんなバランスでは20歳まで生きるコトは叶わない筈なのにと占断、母の命式を診て納得、なんとこの人には木と土しかない・・母は父に我が身を削りながら正しく命を分けていたのでした。
陰陽五行では木は仁を表します、仁は今風には愛になりますが、私は仁の方がシックリきます。仁は文字道理、人が二人と書きます、一人では要らないが、二人になれば必要になるモノ・・・人は一人ひとりで皆違います、育った環境も考え方も表現の仕方も好みも長所も短所も・・でも出会う因縁がり、一緒に居れる以上100%合うところが無いとも言い切れません、母も父が本当に嫌なだけの人なら続いていなかったでしょう。そんな人間同士がもし人間関係を築くとするなら、相手に合わすと言うよりも、相手の嫌な行動でも視て見ぬ振りが出来るコトが不可欠になります。父は生前自分が生きているのは死んだ兄の寿命を貰ったからだと言っていました。真実は私には判りませんが、2人分が存在したコトになります・・二十歳までに死んでしまう人格、母に命を分けて貰ってそれなりに永らえた人格・・
母が亡くなるとき病気の総合商社のようなとても辛い状態でした、最後の最後まで自分と戦い・・そう母も2人分だったのです、父にも同じようなコト言われましたが死期が近づくと「私、もうあまり長くないよ」って教えてくれました、父は末期だったので苦痛を和らげる為、モルヒネ付けの夢心地で看護婦さん曰く「まるで、眠るように旅立たれましたよ」って、でも私が到着した時、片目だけしっかり開いていて、瞼を閉じたのは私でした・・母はベッドの上で口から血反吐を吐いて心肺停止した状態でしたが、私が到着し、兄が到着した後、静かに脳波がピーーと、それに合わせて主治医の先生がやって来て死亡確認をしていただきました。母は晩年自分はもう長いコト生きたし、大きな家にも住めたし子供全員の孫を見れたし、この世に未練はないと言うのを、何を言っているの死ぬのは早かれ遅かれ必ず死ねるから、生きている間は一生懸命生きて下さいと・・
その言葉通りかどうか最後の最後まで、不肖な息子に生き様を見せて・・・
葬式の時、兄が皆の前で、自分が到着した時はこいつは既にボロボロ泣いていたとからかうので、何を言う!男子たるもの、一生に2度だけ堂々と泣けるのが、生まれた時と、母親が死んだ時なのに・・まして自分は仮死状態生まれろくろく産声も挙げていないのに・・たった一人の母を見送るのに泣いて何が恥ずかしいんだ・・と言うと・・家族全員母の死を泣いてあげるコトが出来ました・・・
そして最近気が付いたのです・・
人って気運が高揚している時、落ち込んでいる時、人格が反対なのです・・
魂の位置が高次な状態と低次な状態で、考え方も、行動も全く変わるのです・・
そう・自分の中に誰でも二人ずつ人格が存在するのです。心臓が拍動するように
行ったり来たりします。人間関係を構築する時、陰(-)の位置から相手を観ると、悪くにしか
視得ないモノなのです、逆に陽(+)の位置から相手を観ると、善い所を沢山見つけるコトが
出来るのです・・だから自分の観方次第で現実もコロコロ変化するのです・・
どうせなら、2人の自分を上手に制御して、自分にとって有り難い現実を沢山引き寄せたい
モノです。
もし望まない現実がやって来るなら、気持ちを一度中位(ニュートラル)に戻し、善い方に~
良いほうに~好い方に~佳い方に開放してやりましょう~~~