プラナリアという生物は切っても切っても元の形に再生することで知られています、再生するにはいくつかの条件が必要なようですが驚くべき能力です、この能力の秘密を探り、近い将来の再生医療に役立てようと様々な実験や研究がされています、この生物はウズムシという繊毛をもつ生物の仲間で、繊毛で身体の周囲に渦を起こすコトによって姿勢制御をするのでウズムシと名づけられた由来があるそうです、この種類の生物はなぜここまでの再生能力を持っているのでしょう?人の細胞も受精卵が分裂を繰り返すことにより増殖し、やがてそれぞれの機能に分化し一個の人として落ち着きます、しかし代謝は死ぬまで続きすし途中でバトンタッチするコトにより、長い歴史を脈々と遺伝子を残してきたし、永遠の時間に挑戦も進行中です、勿論これは人に限らず地球で生息する全ての生物に共通な特徴です、種としては淘汰されたモノもありますが、お兄さんの家系は途切れたが弟の家系で繋がっているというような、過去の枝分かれした分岐点まで遡って考えると続いているコトになります。


 プラナリアの再生能力は、ES細胞やIPS細胞のようにそれぞれの機能をもつ細胞に分化する前の自由な潜在能力を捨てずに持ち続けることで種を保存してきたとも言えますし、様々な変化に対応出来たのでしょう、実際プラナリアがメスやカミソリで細かくバラバラにされる状況は自然界では考えにくいですが、ハサミを持つ甲殻類にちょん切られたり、捕食者である天敵に齧られたりは考えられます、そんな時、トカゲが尻尾を自切して敵に与え本体を逃がすように、残った部分が少しでもあれば、生き残れるような特殊能力で遺伝子が残されてきたのです、そして多種多様な生物全体から観れば一つの進化の答えでもあり、人だけが完成されてた生物ではないと言う、命の可能性を見せ付けられます、人は生物の中ではかなり大型になります、人口は70億が80億100億に増えても、彼ら小型生物の繁栄と比較にもならないでしょう、人も細胞の数レベルではかなり数を増やせますが小刻みされては生存できません、人は進化の過程で大型化することにより個全体が再生する能力は選択できなかったのです、その代わり皮膚やなどの外界に触れる部分は日々再生されていますし、骨などのパーツも時間を掛けてリフレッシュしています、乳歯永久歯などの最低限度の予備パーツも持ち合わせていますし、両手両足両目両耳両・・ご他聞にもれず他の動物と同じく備えられています、片方を失うと不便にはなりますが生きては行けます。

 

 プラナリアも人も目は二つで一緒です、でもプラナリアの目はいくらでも再生できますが人は出来ません、プラナリアの再生条件の一つに最後の食事の後で一定時間が経過するコトの条件があります、プラナリアの口は身体の中央部分にあり食べたモノの消化活動中に切られてしまうと分泌された消化液で自らが解けてしまうそうです、でもこれは実験用のシャーレの中のことで実際の自然界では当てはまらないかも知れません、カニやザリガニが脱皮直後に極めて防御能力が弱まり、そんなタイミングに出くわした捕食者に意図も簡単に捕食されてしまうリスクがあるように、危険な事態ではあるが消化液は周囲に拡散し自らを溶かしてしまうまで同じところに留まらないでしょうし、上手く身体の断片が石のハザマに潜り込めたら再生でき生き延びるでしょう、人も胃液という強酸を分泌して食べたモノを分解します、胃液には胃粘液という胃壁自身を胃酸から護る成分も同時に分泌されています、暴飲暴食やアルコールの多量摂取やストレスなどでもバランスが崩れ胃壁が胃酸に攻撃され潰瘍が出来たり、溶かされて損傷を受けたりもします、プラナリアも人も胃に食べ物が無ければ胃酸は分泌されませんし、何らかの外因で命の危険に晒されるのも同じです、プラナリアは驚異の再生能力で生き延び、人は胃に直接投薬してダメージを軽減します、プラナリアは身体全てに司令塔があり人は脳髄で生命のリスクに対応します、しかし皮膚や爪などの末端組織は脳の指令を受けるまでもなく、自ら再生活動を続けています、オーケストラのそれぞれの奏者が担当楽器を演奏し、指揮者が全体のバランスを指令して合奏が完成するように脳は身体のバランスの指揮を取る器官として特化しているのです、そして脳は脳自身のバランスも維持します。

 

 精神的ストレスは胃に穴をあけるぐらいの毒にもなり得ます、脳には2つの大きな仕事があります、一つは眠っていても一時も止めるコトが出来ない生命活動に必要な自律神経系のバランスの制御ともう一つは頭で思考するコトにより物事を創作したりイメージを具現化したり意識的に選択するコトによる人生の創造です、この選択にも欲望の赴くままの方向と遺伝や周囲の環境から取り入れた抑制の方向とのバランスを制御する、自分が自分と認識する自我という指揮者が存在します、時として想定を超える外的ストレスはこの自我そのモノを分裂させることがあります、でも普通はその自我に2面性の無い人も珍しく、人はいろんな顔を持ち合わせています、所謂多重人格ですが、これも人生を歩むため、究極的には遺伝子を残すため脳が獲得した方策の一つであるのです、切られても切られても生き残るプラナリアのように、転んでも転んでも起き上がるダルマさんのように、生きることを決して放棄するコトのない精神力で人は繁栄しこれからも生き残るのです・・・