目の前に山積みの仕事、後回しにして増えてしまったモノはごっそり捨てられることもあります、今すべきことに追われ時が経てば経つほど捗らなくなり、目途を付ける事が困難にもなります、人の為すべき事には優先順位があります、自分が今しなければ成らないこと、目標に向けた行動と、外から働きかけられた依頼、遣らなければと思いつつも、出来ずに溜まりやがて出来なくなります、その中には自分の人生にとって必要だったモノも含まれていたかも知れません、だから為すべきことの優先順位を決めていくことは非常に大事な選択になります、仕事は報酬が目的なので、その時点で必ず対外的な働きかけが為されます、工房に篭って工芸品をこつこつ一人で拵えて満足の出来るモノが出来上がったとしても世間にアピールしないと誰も評価できず査定もされません、専門ルートを通して展覧会に出品するとか、何らかのアクションを起こさなければ作品が商品とならず売って換金することは叶いません、売らないことには材料も準備できなくなるし、ご飯も食べることが出来ないので何時までも続けることは出来なくなります、自分の作品を高評価して貰う為に、客の嗜好に合わすこともあるでしょうし、最後まで自分のスタイルを守り通したことが功を為すこともあるでしょう、そこで選択が別れ、先ず食うが為に客や仲買人の嗜好の干渉を受け易くなります、自分のスタイルが後回しにされ徐々に個性を失っていくことになります、しかし客は何時の時代も我が儘で厭きたら離れて行きますし、仲買人も責任は取りませんし、次を探します。

 

 モノ造りをする人は買って貰う側に弱くなる傾向が出ます、しかし買って貰う側に合わせ過ぎると、自分で向かう道を狭めることになりますし、夢を追う楽しさからも遠ざかることに繫がります、仲買人は買ってやると上から目線で自分が有利な条件で交渉してきますが、仲買人はその実、消費者に商品を再販して利鞘を抜くことが目的なので真の顧客じゃありません、商品の売価から削れる利益にしか関心がありませんので売れる商品となる作品を造ることを作者に望み干渉します、しかし客は所有に値する価値のあるモノや作品の個性的なメッセージを手にしたがるので仲買人とは目的も作品に対する向き合い方も異なります、仲買人は売り買いのプロですが客は普通アマチュアです、世界的に名の通ったアーチストの作品はオークションに掛けられても高値で落札されますが、知名度が上がるまでは、砂浜の中で卵を割って這い上がり海を目指して行く海がめの赤ちゃんのように仲間が脱落していく中、荒波に揉まれながら捕食者の餌となる事無く生き延びていく努力と幸運が必要です、しかしある程度の大きさまでに成長できたら捕食者は激減し安定の域に達します、それまでは出来ることは何でもやる覚悟で生存競争に生き残ることが優先されます、しかし自分のスタイルは捨てずに磨きをかける努力も欠かせません、あくまで自分のスタイルがメインでそれ以外はサブとの認識を
温存し無ければなりません、そうしなければ誰の為に生きているのか働いているのか判らなくなってしまします、自分は自分と家族の為に生きそして働きます、自分の為に生きるから夢に向かった遣り甲斐も大事だし、自分と家族が日々食べていく為には意にそぐわない仕事でも黙々と働くのです。

 

 行動の反対は待つことです、他人の判断を待つ仕事ほど苦しいモノはありません、待たなければ為らない仕事にしてはいけなし、誘導されてもいけません、自分なりの作品を商品に換え報酬にする次の一手は報酬を待たないことが重要になります、顧客に対し待たせない仕事の
実践の為には積極的に行動し、直接の働きかけが可能な方法を模索し、プロの仲買人に時間や報酬を搾取されることのない方策が大事なのです、優先順位の仕事を上位からこなしつつ、自分なりのスタイルを上位に引き上げていき、最終的には自分のやりたかった仕事を最上位に出来れば仕事も楽しくなるのです、そしてその楽しさの中から飛び出た作品は自分のスタイルを自由に表現したオリジナル作品となり、その頃には客のニーズも自然に作風に取り込まれ観る人も楽しませます、仲買人に売って貰わなくてもいい販売も可能になるし、向こうから売ってくれとやって来ます、何故か世間では職人に商売は向かないという風潮がありますが、いい仕事をしてしっかり売ることが出来る職人をプロの職人といっても良いと思います、客が自発的に納得して購入して作品を手にして楽しくなり満足できるなら、その仕事は良い仕事なのです、決して仲買人を儲けさすことではありません・・


 時代が変化しモノが売れにくくなっても、ホンモノの価値は下がりませんし需要はなくなりません、売れなくなるのは価値を無くしているからであり価値を感じられないから客が離れるのです、買え買えの押し売りも金くれ金くれの強要も客は嫌がります、水が高いところから低いところに流れるように自分の作品の商品価値を高め自然と需要者にスムーズに売れていく形がベストですので、その障害となるモノを見極め除くことも必要です、その為には仲買人からも学ばなくてはなりません、しっかり儲けて税金も世間に還元すれば、生きている限りですが永久機関が出来上がります・・・