通常、モノや情報やサービス等を販売して利ざやを抜くビジネスは、その商材情報の確保が最優先課題となります、情報入手の為に商人は出会いを求め人脈を作り、ルートそのモノを育てていかなくては成りません、世の中には無数の商品があり、ボンベに圧縮空気を充填して売っている人から、果ては航空機や大型船舶を売っている人もいます、特殊な商材は商社に就職し海外派遣を経験し、国と国とに流れている無数のアイテムや商材を目の当たりにし、その商材に可能性を見出し独立して自分のアイテムとする場合もあります、国内においても、所が変われば特産物や産業も換わってくるので見聞を広め自分の足で移動しながらといってもその目的だけに交通費を支出するのも勿体無いので、別件の移動のついでにチェックしたり、地方に情報の相互交換ができるパートナーを持てたら商材の見出しに貢献出来ます、商材は食材のようにそのままの状態で移動させるだけで利ざやを抜けるモノもありますし何らかの加工が必要な時もあります、最終消費者は出来るだけ手間少なく消費することを望む傾向がありますが、掛けた手間は全て販売価格に上乗せされ、サービス料を支払うことに成ります。

 

 純粋な商売の典型は中央卸売市場の中で見れます、朝早く市場内の広場に入荷された商品はその場でせりにかけられ仲買人が落札し、ほんの数十メートル離れた各自のテナントブースに移動させて、その場で利益を乗せて再販します、値付けして買い運んで売るそれ
だけで利益が出て極めて簡単に目に映りますがそのテナントに出店するには経験と資本力が必要です、季節による商品価格の変動の相場から出荷地や経由地の天候までを把握しながら値付をしないと大きな損失を出すこともあります、そして何よりも自らの店に常連客(小売)を引き止めておく得意先管理も欠かせません、仕入れたものを全て売り切れたら無駄の無い商売が出来ますが、商品は生モノなので売れ残りの保管冷蔵庫や冷凍庫の契約も必要ですし、保管力があれば商品が安い時期に大量に仕入れて保管し相場が高くなった時期に売ると言う普段より大きく利ざやを抜く商売も可能になりますが、保存に失敗して商品を駄目にしてしまうリスクや出庫するタイミングを誤って損失を出すことも無いとも言い切れません、 衣・食・住にまつわるビジネスは単純だけに競争が激しく、当然のことですが大きな資本を動かす人が有利で誰もよりも速く関係情報を知ることも欠かせませんし、あまり頭でっかちになっても商売そのものにはマイナスとなります。

 

 商材をお金に替えることが上手なプロは、極力自分が商材に手を加えたり、その商材の内容や特徴を詳しく分析をする事無く、そのまま若しくはその商材の一部の情報だけを開示して売ってしまうことを基本とします、そんなやり方でモノが売れるのかとも思えますが、実際に
売ります、彼らは商材が商品として売れると言う匂いを嗅いで扱うので、商品の内容には関心は無いし知ろうともしないのです、知りたい人には自分で調べさせれば良いし、自分で調べて説明し内容に不備があった時の責任を被るのも御免なのです、そして自分は売ってはいるが
買いたくないので、商品代金を立替て支払をすることもありません、ただ商品の売買が成立した時には自分の利ざやは確実に確保します、全精力をその一点に集中すると言っても過言ではありません、世の中にはある商材の4億円で買う権利を6億円で販売し2億円利ざやを抜く
商売をする人もいます、商品を買うと言うことを担保する資本力は必要ですが実際は10%の保証金程度しか動かしません、6億円で買う人に自分の利ざやと残金を払わせます、6億円で買う人は7億円で売ろうが8億円で売ろうが必ず利益を出すことを確信して購入するので損はしません、要は商材に対しどんな立ち位置に立てるかと言うことなのです、さぞかし経験と実績を積んでそんな位置まで登ったのだろうと普通は思えますが、このクラスになると経験も、実績も、損失もほとんど他人に押し付けています、自分が負担するのは、ほんの10%前後で他人が経験で得るモノに対する学習はちゃっかり自分のモノとする能力には長けています、実際の人物は飄々として嫌われごとを口にしても他人と議論することを避けるような、いけ好かない、いやしいおっさんでした・・

 

 近年、株式の売買に留まらず新しいモノの考え方の相場取引が盛んになっています、大きく儲けるためには大きく投資する必要があり大きく損失を出すリスクもあります、投資先に対する情報の分析はある程度必要でしょうが投資家が関心のあるのは、究極的にはいくらで買っていくらで売るかその2点に尽きます、相場取引は売り買いなので誰かが儲けると誰かが損をします、商品の情報は投資者の買い意欲を測るための参考にはしますが、その良し悪しや将来性などは関係ありません、上がっても下がっても大きく変動することを正しく読むことのみが重要で正しくまたは運よく読みが当たれば上がっても下がっても儲かる買い方が可能となります、中央卸売り市場で執り行われる売買は仲買人の情報収集や天候にも影響を受けたりますが、ある仲買人が何故か朝から機嫌が悪くたまたま商品を高値に値付けし、その買い相場が瞬時に全国の市場に伝わり全国の相場を変動させてしまうこともあるので、相場を扱う人は相場から目を離すことは出来ません、予測不能な変動があると対応が遅れます、何時も予測どうりの変動なら誰も損をすることは無いですが、誰も儲かることも無いのです、世間が予測できない動きを自分だけが感じることが出来、大部分の投資家が損をする変動の逆に投資できて初めて大儲けが可能となります、理屈ではなくお金の匂いを嗅ぎ分ける能力が要求されるのです・・

 

 チーターは陸上哺乳類最速の短距離走行が可能です、理屈的にはチーターが狙いを付け追いかけるとどんな獲物も追いつかれます、しかし狩場は何時も平坦ではないし、獲物も真っ直ぐだけを走ってくれません、それでもチーターは他の肉食獣と比べると上手に狩を成功させます、そこにハイエナが来るとチーターは一応所有権を主張しますが、ハイエナと争ってまで獲物を守りません、一対一ならチーターはハイエナと争って負けることも無いのですが、ハイエナに獲物をくれてやります、万一無駄な争いをして大事な身体に傷でも負って狩に支障をきたすことに成れば一大事です、いやしいハイエナに獲物をくれてやって自分はまた狩を成功させれば良いとの判断なのかも知れません、商売で儲けを出すと言うことはこのプライド高いチーターになるのではなく、プライドなんか捨て去って、いけ好かない、いやしいハイエナになる覚悟が必要なのです・・・