心ノ眼 -2ページ目

心ノ眼

~きあらがお届けするオリジナル小説と時々感じる日常の世界~

異変の始まりはある日のよく晴れた午後。

いつものように僕の腕の中でファリエルが穏やかな笑みを浮かべる。

目の前にはたくさんのサンドウィッチやポテト、そして僕の好物である桃のコンポートが並べられていた。

「翼、これはなあに?」

桃のコンポートを指差して首を少し後ろに向けたファリエルが尋ねる。

「それは俺の大好きなデザート。桃のコンポートだよ」

「おいしそうね。食後に私もいただきたいわ」

「もちろん」

月子さんが用意してくれた昼食を挟んで、僕たちの前に響子と桜子嬢が腰を下ろしている。

はじめは警戒していたファリエルも、僕と彼女の仲に害のある人物ではないとわかったのか、目の前の女二人に少し打ち解けた印象を受けた。

この奇妙な食事会のキッカケは、もちろん僕が前回すっかり忘れて呪われた夜をすごした約束の延長だ。

相変わらずファリエルは僕から一瞬たりとも離れようとはしないものの、顔を合わせた直後に比べればずいぶんリラックスしているように見える。

あとは桜子嬢のように響子から悪い影響を受けないことを祈るのみだ。

ファリエルに会うにあたって、僕は響子と桜子嬢に事前に約束させたことがあった。

一つはリューイの話題は極力避けること。

それから、家族のことやこれまでの生活の一切に触れないこと。

理由を問うこともなく、二人は深く追求せず僕の要求を呑んでくれた。

女というのはどうでもいい他人の事情にも首を突っ込みたがる面倒なところがあるが、その点この二人に関しては空気を読んでくれるので助かる。

僕たち5人は、しばらく月子さんの作ってくれた豪勢な昼食を前に他愛ない話に花を咲かせ、穏やかな午後をそれぞれが楽しんでいた。

人数は増えたものの、それはいつもと変わらない光景。

出会った頃のファリエルは、もうどこにも見当たらなかった。

時間というのは恐ろしいものだった。

その変化に僕はやがて違和感を感じなくなり、むしろそれこそが幸せへの突破口だと信じて疑わなくなっていた。


誰に抱いたこともない感情は愛しさは募るばかりで、僕の心にこれだけの容量をしまいこめる深さがあったことに我ながら驚く。

ファリエルが放ったその一言は、そんなボケた僕の頭を叩き起こすには充分すぎるほどの威力を持っていた。

それはとても自然な会話の流れの中にあった。

「お花がお好きでしたら、今度私の家でガーデニングしませんか?」

そう言って桜子嬢がファリエルにニッコリ微笑みかける。

「花は好きだけど、庭を手入れしたことはないわ。とても楽しそうですね」

エメラルドの瞳を包む長いまつげをパチパチさせて同じように笑顔でファリエルが答える。

「翼、今度一緒に連れて行って」

「えー…」

ファリエルのキラキラした瞳を前に、僕は気まずくなって視線を逸らす。

正直言って、僕はそんなに花が好きではない。

しかも、この場所ならまだしも、桜子嬢の家ともなれば随分離れている。

状況を考えてリューイに尋ねるまでもなくNGだと判断したからだ。

「桜子はガーデニングが好きなのですか?」

「ええ。ファリエルさんは…」

そこまで言いかけて、ハッとしたように口をつぐむ桜子嬢。

ファリエルの趣味を尋ねようとして、僕との約束を思い出したのだろう。

「ちなみに私は武術!」

とっさに響子が口を挟んで、型を披露する。

「女性で武術ですか?素敵ですね」

ニッコリ笑ったファリエルが僕に視線を移して首を傾げる。

「翼は何か得意なものがあるの?」

「俺?うーん…」

「あら、アンタ昔ピアノやってたでしょ?今でも弾けるんじゃない?」

余計なところにまで口を挟む響子をギッと睨むと、僕は曖昧な笑顔をファリエルに返した。

「読書だ読書。本を読ませたら右に出る者はいない」

だが、彼女は僕の趣味が読書なんてどうでもよかったらしい。

パッと花が咲いたような笑顔を見せながら、衝撃的な言葉を口にした。

「翼はピアノが弾けるの?それはとても素敵ね。私のお兄様はヴァイオリンがとてもお上手なの」

「……え?」

彼女が指す兄、それが僕ではないことなど、その場にいた誰が聞いても明らかだった。

僕はこの時、遥か彼方で何を知らせるためかわからない鐘の音を聞いたような気がした。


にほんブログ村 小説ブログへ  心ノ眼 ←よろしければお願いします



ワタシは天国にも地獄にもいかない  空に住んで雲のベッドで眠るのさ

あの子が飛ばした赤い風船  いつでも捕まえてあげられるのさ


心ノ眼

                                         【赤い風船より】


空を飛んでいく風船を見ると胸が締め付けられるのは私だけでしょうか?

こんにちは。

最近、知人に「いつも死ぬこと考えてませんか?」と言われたきあらです。

違います。死に方を考えているだけです。勘違いされては困ります。

生まれた瞬間から死に向かうのは、命あるものの宿命です。

いつかは己に訪れる最期の時を考えるのは、普通の心理なんじゃないでしょうか。

こう言うと死ぬのが怖くないのかと思われるかもしれませんが、

そんなもの、普通にめちゃめちゃ怖いに決まっています。

だから、その時がくるまで必死に力の限り生きるんです。

話がよくわからない方向に歩き始めたのでこの話はここまでにします。


現在連載している菜萵苣もいよいよ急展開で一気に巻きに入ろうかというところ。

ただ、実は次回作に思考が偏っていて、菜萵苣のラストまでかたまっているのにまだ文章に起こしていないという有様でございます。

当然今より更にペースダウンすることがないよう努めてはいるのですが、万一ってこともあるので…もし更新が滞っても、必ず最後まで書き上げます。

ですので、どうか最後までお付き合い頂ければと思います。

そして、あわよくば次回もお楽しみ下されば幸いです。

では、後ほど本編更新します。



「問題…ですか?」

桜子嬢の言葉にハッと我に返る。

「いや、何でもない。ってか今のは忘れて」

さっきまでの空気がすでに懐かしい。

やかましいけど和やかだった雰囲気が、僕の一言でピリッと張り詰めてしまった。

「ちゃんと説明して」

響子の静かな声に体が硬くなる。

僕は隠し事は得意だが、ウソをつくのは呆れるほどへたくそなのだ。

しかも、目の前の響子は僕の些細な変化を絶対に見逃さない厄介な存在でもある。

下手にウソをついて見破られるよりは、重要なことは隠してある程度の真実を話した方があっさり切り抜けられそうな気がした僕は、ため息をついてからソファに背中を預けた。

「別に、たいした話じゃない。それに、これは俺だけの問題じゃないんだ。ファリエルとリューイ…あのウィンザード家の二人が深く関わっている。俺だけの話ならいくらでもするけど、本人たちがいないこの場でお前ら二人に話して聞かせてやれるほど、俺は無責任な人間じゃない」

「ずっと言おうと思ってたんだけど、あの二人って…」

僕の言葉を聞いて、響子が口を開く。

その続きは、聞いてもらっては困る気がした。

響子は桜子嬢と違ってファリエルとリューイの両方と面識がある。

勘の鋭い響子にはこれ以上追及してほしくないのだ。

「悪い。いつか話せる日がきたらちゃんと言うから」

静かな口調に響子はしばらく考えるように目を閉じると、首を縦に振った。

「わかったわ」

「助かる」

一言そう区切ると、僕はグラスに残ったブランデーを飲み干した。

「ただ、一つだけ頼みがある」

僕の話で少なくともウィンザード家には何かしらの問題があるということを知らせてしまった以上、ハッキリさせておかなければいけないことがあった。

空になったグラスをテーブルに置くと、僕は響子と桜子嬢を順番に見つめた。

「余計な詮索はしないでほしい。できればもう関わってほしくないというのが本音だ」

「ずいぶん横暴なお願い事ね」

呆れた口調の響子は、それでも怒ってはいないようだった。

「知らなくていいことだって世の中にはいくつも存在するんだ。知ってしまったら、もう知らなかった頃にはどれだけ頑張っても戻れない。それが響子と桜子嬢のためだと思ってくれ」

重苦しい沈黙が続く。

静かなのは好きだけれど、こういう静けさは得意じゃない。

「つまり、その問題というのは少なからず深入りすれば後悔するということでしょうか?」

沈黙を気にした素振りを見せない桜子嬢が、マイペースに口を開く。

「後悔するかどうかは人それぞれだと思う。少なくとも俺は別に後悔してないよ。でも、知ってしまえば確実に自分の生きてきた世界が壊れる。己の無力さを知る。さすがの俺でも、そんな思いを二人にさせたいとは思わないからね」

「本当に翼様は後悔なさってらっしゃらないですか?」

誰一人として目の前に置かれたグラスに手を伸ばさなくなった。

存在を気づかせるように、桜子嬢のカクテルグラスで氷が崩れ落ちて透き通った音を立てる。

「後悔したことはない。それをしてしまえば、俺はあの二人に出会ったことを否定することになる。そんなことになれば、俺は絶対自分を許せなくなる」

「とても…とても大切な方々なのですね」

桜子嬢があまりにも優しく微笑むから、僕もつられて笑って頷いてしまった。

「まあ、そんなわけで俺はその問題が片付けば晴れて設楽家の当主になるってわけなんで、壇上家のご令嬢、尾山家のご令嬢、今後もお手柔らかに頼みますよ」

これ以上の話は避けたいと思った僕は、タイミングを見計らって話を切り上げると、目の前に座った二人の令嬢にわざとらしいお辞儀をして見せた。

「ハイ。こちらこそ宜しくお願い致します」

「あら。それは設楽家の出方を見て決めさせて頂きますわ」

「お前は素直にうんと言えないのか」


一件落着したように思えた。

僕はどこまでも甘かった。

この日のやり取りは、彼女たちの中に深く根を張ってしまった。

そうして僕の意思とは裏腹に、彼女たちは神の気まぐれな悪戯心によって、あの悲劇の夜の出演者に抜擢されてしまったのだ。


『これでキャストは揃った』


神の囁きが遠い空の深い闇の中で静かに響く。

崩壊を知らせる鐘の音は、もう誰にも止められない。



にほんブログ村 小説ブログへ  心ノ眼 ←よろしければお願いします


「つーばさっ!枕投げしよ!」

「はぁ!?」

月明かりに照らされて心をどこか遠くに置き去りにしてしまっていた僕は、背後から甘えた声で予想もしない言葉を聞かされ、調子外れの声を上げた。

「…っつかちょっと待て」

振り返った僕は、目の前で本当に枕を抱えた響子と桜子嬢を見てめまいを起こした。

頭を押さえると、よろけるようにバルコニーの手すりに背中をもたせ掛け、聞きたくない質問を投げかけた。

「お前ら、なんでまだいるんだ?」

「えー?そんなの決まってるじゃない。だって…」

「ちょっと待て!やっぱりいい!言わなくていい!」

大声で響子の言葉を遮った僕は、足早に彼女たちに近づいてから、両手を使って二人の体を反転させ背中を押し進めた。

「ちょっ…翼!何すんのよ!」

「わかった。わかったから今日はゆっくり休め。今更帰れなんて鬼みたいなことはさすがに言わないから、だから頼むから二人で女同士の話に花を咲かせろ」

「もう遅いわよ」

「あ?」

響子の言葉を聞き返す僕の言葉をかき消すように、扉をノックする音が響き、続いて月子さんがブランデーと色鮮やかなカクテルを運んできた。

「ねっ?」

にこりと笑って僕にウィンクをする響子。

枕が投げたかったのか酒が飲みたかったのか、この際どっちでもいい。

「さっ!じゃあまずは乾杯からはじめましょう!」

「ハイ!」

「ほら、そこの無駄にでかい棒男も早く座りなさいよ」

「…」

「往生際が悪いわよ。客人をもてなすのは最低限のマナーでしょ」

どうして部屋の鍵を掛けなかったのだろう?

僕は自分自身を心の中で厳しく叱り付けてから、二人の前に腰を下ろした。

このソファの沈みがどこまでも深くてここから消えてしまえればいいのに。

重い右手をなんとか動かしてブランデーをグラスに注ぐと、僕はそれを一気に飲み干した。

「あっ!アンタなに先走ってんのよ!乾杯しようって言ったじゃない!」

「うっせえ。ここは俺の家だ。俺に指図すんな。追い出されないだけマシだと思え。っつうか何もめでたいことなんてないのに乾杯なんてできるか。お前みたいに誰もが年中頭に花が咲いてると思うな」

「どうやったらそれだけの文句が頭に浮かぶわけ?!」

膨れっ面をぶら下げた響子が、隣に座る桜子嬢とグラスをカチリと合わせる。

無言でブランデーを飲み続ける僕の前で、二人はカクテルがおいしいだの夕飯がおいしかっただの、どうでもいい話に夢中だ。

どうして結論もない話に夢中になれるのか不思議でたまらない。

たくさん話せば話すほど疲れるし喉も渇くのに、理解に苦しむ。

「俺を巻き込まなくても、二人で盛り上がってるんだから別に客室でも良かったんじゃないのか?」

「ホントに空気の読めない男というか、労わりや思いやりの欠片も持ち合わせていないわね。レディの前ではウソでも楽しそうなフリしなさいよ。そんなんじゃどっかからひょっこり優秀なお坊ちゃまが現れてこの家乗っ取られちゃうわよ」

勝ち誇ったように響子が鼻を膨らませるのを見て、僕も負けじと勝ち誇った顔を見せてやった。

「おあいにくだな。悪いけどそれはない」

「何よその自信。まあアンタが偉そうなのはいつものことだけど」

4杯目になるブランデーを注ごうと瓶に手を伸ばすと、桜子嬢が慣れた手つきでグラスを琥珀色の液体で満たしてくれた。

「あ、サンキュ。なんか手馴れてんね」

「父がブランデーを好みますので…」

「で、なんでそんなに自信満々なの?」

「だって俺、次期当主だもん」

二人の目が大きく見開かれる。わずかな沈黙が心地よさを運び入れた。

「うそ!?それって正式な発表なの!?」

「ああ。親父が親族会議の時に公表した。決定だってさ」

悠然とグラスを口に運ぶ僕。

いくつになっても男というのは気取ってみたい瞬間ってのがあるものだ。

「翼様、おめでとうございます!」

桜子嬢が頭を下げて、それからキラキラした目で僕を見つめた。

「おめでたいのかどうかわかんないけど、とりあえずどうも」

「信じがたいわね。おじ様があっさりアンタを当主に選ぶなんて。で、いつからなの?」

「わかんねえ」

「…は?」

「そ、それって正式な発表なのでしょうか?」

「もちろん。ただ、俺がそういう条件を出しただけだ」

「条件?」

響子が不思議そうに僕の顔を眺める。

アイスボールを指でまわしながら、視線を落としてブランデーの中に映る自分の顔を見つめた。

「そう、俺の問題が片付くまでは後は継がないっていう条件」

アルコールが入るとついつい喋りすぎる自分を、僕はこの後激しく後悔することになる。



にほんブログ村 小説ブログへ  心ノ眼 ←よろしければお願いします


「失礼します」

居心地の悪い部屋に救いの神が舞い降りた。

月子さんは応接間に入ってくると、僕たちの前で頭を下げる。

彼女の登場で場が和むと踏んだ僕は、ほっと胸を撫で下ろした。

「旦那様より、今夜はもう遅いから夕飯をご一緒にいかがかという御託を預かってきました」

「…はっ!?」

一番に声を上げたのは僕。

救いの神だと思っていたら、悪魔の使いだった。

「い、いやいや!それはちょっと…」

動揺する僕をよそに、女性二人は顔を輝かせた。

「え!?月子さんそれってホント!?」

「ええ。もちろんです」

「ですが、そんな突然正式なご招待も頂いていない身ですのに、かえってご迷惑ではありませんか?」

口ではそう言っても、顔がすでに行きたがっている桜子嬢。

確実に響子の悪い影響を受けているとしか思えない。

「あのクソ親父何ほざいてんだよ!」

「アンタこそ何ほざいてんのよ。桜子ちゃんの家だって私の家だって、今頃もう夕飯の準備が整っているわ。今から帰っても自分たちの家の食事には間に合わないじゃない」

「てめえこそ何ほざいてんだよ!そんなもん作り直させればいいだろ!?」

「これだから嫌なのよ、お坊ちゃんって他人の苦労なんてまるで気にも留めないんだから」

僕の願いにも似た叫びは、ようやく太陽が諦めて主役の座を月に明け渡そうとした空にすーっと吸い込まれていってしまったのか、誰の耳にも届かないようだった。

「月子さん、おじ様にごちそうになりますと伝えてもらってもいいかしら?」

「そのつもりで今日はお二人の分も支度してありますよ」

女って一人でも厄介なのに、3人合わされば絶対逆らえそうにない。

僕は諦めて肩を落とすと、約束を忘れてしまった自分を思い切り呪った。



響子と桜子嬢が浮き足立ちながら歩く後ろから、ただ一人足取りのひどく重い僕。

まるで僕だけ20キロの鉄板が入った靴を履かされている気分だ。

ダイニングルームに入ると、すでに父と義母は席についていた。

父はいつものように静かな表情を構え、義母は気持ち悪いほどニコニコしている。

「親父…この借りはいつかぜってぇ返してやるからな!」

「おや、女性二人を待たせた人間の台詞とは思えないな」

言葉を詰まらせた僕は、ドカッと椅子に腰をおろした。

「おじ様、今日はごちそうになります」

「私までごちそうになってしまってよろしいのでしょうか?」

「かまわないよ。食卓は賑やかな方がいい。さあ二人とも掛けなさい」

ふっと表情を和らげる父親の言葉で響子と桜子嬢が引かれた椅子に座る。

「女の子がいる食事とは華があって素敵だわ」

相変わらずニコニコ笑ったままの義母。

「むさくるしい野郎で申し訳ございませんね」

僕の皮肉もいつもみたいな威力を発揮しない。

完全に女二人の存在にかき消されてしまっているようだ。


その夜の夕飯は散々だった。

騒がしいのが得意じゃない僕にとって、談笑の声はひどく居心地が悪い。

てっとり早く食事をすますと、一人先に席を立って部屋に戻った。

夜になるとすっかり涼しくなるこの辺りは、バルコニーの窓を開け放せば悩みや考え事を浚っていってしまいそうな心地よい風が吹く。

「こんな風に俺も簡単に浚ってやれればいいのに…」

手すりにもたれかかると、僕は独り言を呟いて目を閉じた。

まぶたを閉じればいつでも会える。

網膜に焼き付いたエメラルドの瞳。

それでも、この手に抱きしめられない今の時間は、僕の世界で雪のような深い寂しさを降り積もらせていく。

「会いたい…」

その短い単語は、口にした途端自分の耳の奥で何度もこだました。

静かな夜にかすかな光を注ぐ半月は、その体を少し隠した雲の隙間から、僕を気の毒そうにそっと覗き見していた。


にほんブログ村 小説ブログへ  心ノ眼 ←よろしければお願いします



今日は少し耳の調子がよくないので、皆さんのところへお邪魔できないかもしれません。

また後日改めてお伺いさせて頂きます。