22卒でいまだ内定0の都内大学生。就活のストレスが日に日に増し、先週ついに胃腸炎になってしまった、ポンコツ人間である。
今日、やっとのことでこぎつけた、ある企業の二次面接に参加した。もともとそこまで興味のある分野ではなかったが、調べていくうちに、ワークライフバランスはもちろん、事業に向き合う姿勢や、人事の方の心遣いなどに感銘を受け、もし内定をもらえるなら、ぜひここに入ろうと思っていた企業だった。
もともと、面接の場には苦手意識があったため、逆質問や面接で聞かれそうな話の深堀りなど、自分ができうる限りの対策をして臨んだ。もちろん、必ず受かるなどとは微塵も思っていないが、すでに20社以上落とされ、書類すらろくに通らない自分にとってはまたとない機会であり、もしここに入社したら…などと妄想を膨らませつつ、企業サイトを何度も熟読した。
そして今日、万全の態勢でzoomにログインし、採用担当の方の到着を今か今かと待ち望んでいたところ、時間丁度に、何やら神妙な顔をした人が登場した。もしかして何かあったのだろうかと少し不安に思いつつも、自己紹介、一次面接の印象までは何事もなく進行。
いよいよ面接だ、と内心クラウチングスタートをする陸上選手のような面持ちでいると、担当の方から、「面接の前に話したいことがある」と言葉を受けた。しかし、やれ一次の面接官から〇〇さんのことは聞いているだ、やれ数ある企業の中からうちを見つけてくれてうれしいだと、かなり歯切れが悪く、何を言いたいのかさっぱりわからない。こんなことを話している時間があるなら、早く面接したほうがいいのではと思っていたところ、担当者から衝撃の言葉を聞かされた。
端的に言うと、こうだ。「今年度の新卒の採用人数はもう足りてしまったので、これ以上の新卒はとれない。だから、もう面接をやる意味がない」。
ガーン、文字にするならまさにそんな顔をしていたように思う。後頭部を岩石で殴打されたような、そんな衝撃だった。
ではなぜ私のエントリーシートを通らせたのか、一次面接で合格をくれたのか、二次面接を行うなどと噓をついたのか、何から何までわからないことだらけだった。〇〇さんならうちの企業の期待に添えると言ってくれた、あの人事の方の言葉はまやかしだったのか。あのメールのやり取りは?私がこの企業に費やした時間は?企業への思いが頭の中であふれ出した。
あの手この手でそんなつもりはなかった、できるならば受らせてあげたいと弁明をされたような気がするが、当の私はとにかく頭が真っ白で、とても彼の話を正面から受け止められる状態ではなかった。
ここまでの心臓が飛び出るほどの緊張や不安、そしてそれに拮抗するうれしさや達成感。それらがすべてなかったことになってしまう。それも、自分は何としてもこの会社に入りたいんだ!とアピールする機会すら与えられず。怒りというよりは、ひたすらに虚しさだけが残った。
「急遽とんとん拍子で採用が決まってしまった。本当は何も言わずに面接をすることもできた。直前までどうするか迷ったが、言わずにはいられなかった」。
面接官の話には逐一うなずき、相槌を打ちましょう。
どこかで聞いた話だったが、相槌はおろか、うなずくことも憚られた。画面に映った自分の顔が、笑うことに失敗して不器用に歪んでいた。
「うちの会社ではご縁がなかったが、今後就活に関する悩みならば何でも聞くし、協力してあげたい。何か不安なことはないか」。
たった20数分の「面接」だけで、5回は言われた言葉だ。もちろん、あなたがたも心苦しいのはわかっているし(もちろん私が一番苦しいが)、二次面接をするといった手前、不誠実な対応のままでは終われないという気持ちもわかる。だが考えてみてほしい。自分がもし就活生だったとして、こんな仕打ちを受けた挙句、初対面の見ずしらずの人間に、デリケートな悩みを相談できるだろうか。新卒はもう足りているという話を聞いた瞬間から、私はとにかくこのネット回線を一秒でも早く切って、自分の部屋でひとり満足するまで泣いていたい、そんな気分だった。
「気持ちはとてもうれしいのですが、今は面接のために作ってきた気持ちをなかなか切り替えられない状態で…。申し訳ありません。」
なんで私が謝っているんだろうと、頭の中の冷静な自分が疑問を投げかける。心ここにあらずとはまさにこのことだ。
そして追い打ちをかけるように、担当者の言葉が私をオーバーキルへ導いた。
「ほかの企業の先行状況はどうなっていますか?というのも、もしすでに内定があって、うちがだめならそっちに行けばいいやっていう状態なら、こっちも少しは救われるんですけど」
ここまで正直に言ってのける担当者にはある種尊敬の念を抱くが、私の言葉一つで、それをへし折ることもできた。『内定はもちろんゼロで、もし受からせてくれるのなら、あなたの企業に入ろうとしていた』と。
しかし、私はなんでも受け取る人の気持ちを必要以上に考えて発言してしまうタイプだった。もし内定はゼロなんて言ったら、この人がより罪悪感を感じてしまう。そう思うと、とてもじゃないがそんなことは言えなかった。
「そうですね。できれば御社に入社したかったです」
精いっぱいの抵抗と仕返しだった。内定は持っています、と言える優しさが、能力が、私にはなかった。
6月になっても内定0、やっと書類が通った企業には、門前払い。とにかく自分がみじめで、自分がたどってきた就活の道のりを考えると、このあたりから涙が止まらなくなってしまった。泣くな、泣くな、と強く思うほど、なぜか涙はボロボロ零れ落ち、挙句の果てに鼻水すら出てくる。zoomの画質なら泣いていることを誤魔化せるかもしれないと、カメラから遠のくことで何とか自分を保ったが、担当者にバレていないことを祈るばかりだ。
「〇〇さんが納得する企業と巡り合えるよう、心から祈っております」。
末筆ながら、という枕詞が幻聴のように聞こえた私は、今回でかなり精神的に参ってしまったかもしれない。こんなことで、と思う人もいるかもしれないが、私にとっては本当につらい出来事だった。面接という場は好きではないが、面接されずに祈られることがここまで苦しいとは、思いもよらなかった。
もし今、私と同じように就活で苦しんでいる人がいたら、こんなこともあるんだなと、笑いのネタにしてほしい。
そして、採用する側の人は、「誠意」をもって採用に臨んでほしい。