ヒマラヤ氷河消滅は嘘報道をどう読むか(下) | 朝鮮問題深掘りすると?

朝鮮問題深掘りすると?

初老の徳さんが考える朝鮮半島関係報道の歪み、評論家、報道人の勉強不足を叱咤し、ステレオタイプを斬る。

インドのチャンムデ・ヒマラヤ氷河研究所のラジンダ・・ガンズ所長は「タイム・オブ・インディア」とのインタビューで「IPCCが巨大な恐竜であると考えたのかもしれない」と言っています。かれは政治的圧力を感じたかと言う質問に対しては口をつぐんだと言います。


彼はあいまいな答弁と沈黙で敏感な問題を避けていますが、彼の態度は科学界の一角で地球温暖化の問題が「緑色技術」を新たな産業的突破口にしようとする資本の陰謀が隠されているとの疑惑を持たせます。


実際、科学と統計が大衆の普遍的信頼を受けている現実を利用して、多くの研究所と学者らが「科学的真実」を注文生産すると言うのは既に早くから指摘されてきた話です。特に自然科学よりは社会、人文科学が顕著です。「北朝鮮崩壊論」「北朝鮮脅威論」「北朝鮮ならず者国家論」「北朝鮮暴発論」「北朝鮮王朝論」など「北朝鮮〇〇論」が情勢の変化にともない出ては消え、消えてはまた出てくるのを見れば判ると思います。そしてそれらが「大衆の普遍的信頼を受けている」と言う現象を作り上げているのが他でもないマスメディアであることもはっきりしています。特に日本でそれは異常ささえ感じさせます。


いっそう問題なのはIPCCの失敗が単なる失策に過ぎないハプニングではなく、故意的であり、誤りを指摘する意見を黙殺し隠蔽したと思われる状況まであるということです。例えば北極の海氷が消滅すれば海水面が28~43センチも上昇する可能性が高いと言う予測も、非科学的であり、偽科学であるとする有力な主張に対してIPCCは黙殺しています。多分多くの人はまさかと思うでしょう。理由は割と難しくないようです。原理的には氷りは濃度が海水よりも低いので浮いているわけですから、氷が解けたとしても海水面はそれほど変化しないと言うことらしいです。


それよりもAP通信によれば地球温暖化理論を支持するイギリスのイーストアングリア大学機構研究センターのサーバーがハッキングされた「気候ゲート事件」は地球温暖化反対論者らの論文を主要学術誌から排除するなど、研究結果を特定の方向に誘導しようとした証拠を突きつけています。


朝鮮問題でも似たようなことがありそうです。もっとも意図的だとは思いませんが、特に出版社は売れ行きのことを基準にして、出せば売れるといわれてきた北朝鮮バッシング本を競って出版しています。TVもそうです。まともな北朝鮮報道や解説を望むのは夢のまた夢のようです。制作側がそれを必要とせず、バッシングさえしていれば視聴率が上がり収入が増えるという考えだけのようです。


つまり、結果を特定の方向に誘引しようとしているのです。バッシングすれば視聴率が上がる、だからバッシング番組を作ると言う悪循環から抜け出せないのは、自分の掘った穴からはいでられないのと同じです。そしてそれが国民に北朝鮮嫌悪感を植え込み、結局は日朝両国民が理解しえる可能性を限りなく狭めていくと言う犠牲を払っていることに気が付かないのです。


さて、IPCCは報告書に基づいた政策参考要約を作成しますが、そこにはヒマラヤ氷河の消滅に関する記述が抜けていたといいます。この政策参考要約は、報告の核心的内容を、全ての内容を圧倒する「包括的断定的な叙述」でまとめたもので「ブランケット・ステーツメント」と呼ばれますが、それだけに如何なる叙述よりも徹底した科学的検証を経なければならないと言うのが常識です。ところがこの「ブランケット・ステーツメント」さえも如何なる検証も受けることなく公表されたのは、単なる間違いなどではなく「政治的力学」が作用したと見られても仕方の無いことです。


もちろん氷河消滅説が嘘であったことがはっきりしたとしても地球温暖化研究の全てが嘘だと言うのではありません。
しかしこの問題が人類の未来を左右する大問題だとしても、企業は通常、別の視点で問題を捉えています。そこに企業発展の可能性を見い出したのです。二hんでもエコが流行語になって久しいですが、企業はこの「エコ」を商売のキャッチ・コピーとして使うだけです。企業の中には収益の僅か何パーセントを自然の再生のために投入していますが、それも企業イメージを考えてのことであり、地球や人類の未来を考えてしていることでは多分無いでしょう。


そうした好例がハリウッドの映画です。地球温暖化による破壊現象や「人類滅亡」をテーマにした映画が立て続けに作られ、莫大な興行収入を得ています。つまり人々の不安に付け込んで大儲けをしたと言うことです。新聞やTVなどのマスメディアも大々的に広報して多いに稼いでいます。


しかし、IPCCの学者の中には日本人学者もいることでしょうし,日本人研究者も多いと思いますが、彼らがIPCCの報告に疑義を表しているという話はいっこうに伝わってきませんでした。もちろん研究者の間では話題になったであろうし、中には異議を挟んだ論文を書いた学者もいたことでしょう。だがなぜかメディはそうした学者、研究者の意見を聞こうともしませんでした。


言論がまったく無関心であったり、大勢に迎合する悪しき慣習がそうさせたと思われます。いまもって護送船団方式がマスコミを縛っているのでしょう。こうしたマスコミにどれだけの真実が語られるのでしょうか。「ヒマラヤ氷河消滅論」を巡る経験は、日本のマスメディアに警鐘を鳴らしてはいないでしょうか。(了)