初めまして。後藤と言います | 鱗粉転写
彼との出会いは一本の電話から始まった。
当時の僕は運営していたバンドがあることを切っ掛けに崩壊してまい、また一から始めた時のことだった。

横浜中のスタジオや楽器屋に張り紙をして回り、
出演していたライヴハウスにも張り紙のついでにドラムを探しているバンドがいないか打診していた。


張り紙をして数日後だったと思う。
「初めまして。
後藤と言います。
セブンス(横浜の老舗ライヴハウス)で張り紙見ました。」

ちょっとぶっきらぼうな印象だったと記憶している。
多分、それは彼は人見知り的な部分があるのと
抱えているコンプレックスと
それらと戦い続けていることから来る自信が入り交じっていたのだろうと今だから思える。

幾つか話をして、ま、とりあえず会ってみようと言う運びになった。

こういうのって数こなしてナンボだと思っていたしね。

当時はドラム単品でいると沢山声がかかったんだよね。
張り紙をした日には何件かコンタクトがあったし、
ライヴハウスからも紹介があった。

音源を貰ったけど内容が酷くて聴くに耐えられず断った。

多分、そういう事情もあったからか、普段なら電話で話しただけで断ってしまうことが多い僕だったけど
何となく会ってみようと思った。

「GUNDOG」のバイオグラフィーから推すと多分十二年前の二月か三月のことだと思う。


数日後に横浜の石橋楽器の前で待ち合わせることになった。
今は移転してしまいダイエーの中にあるけどね。

あ、この店が開店記念で当時インディーズバンドだったXのサイン会やったらパニックになった伝説があるよね。
セブンスもYOSHIKIがhideを引き抜きに行ったエピソードがあるよね。


この段階では後藤慶に衝撃を受けるとは微塵も想像しなかった。