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●家で遊ぶのとは別感覚です
夏真っ盛りである。夏と言えばすいかである。ところで、すいかと言えば天ぷらとの食べ合わせが悪いと古くから言われている。それ以外だと、ウナギと梅干し、卵とニンニクあたりがメジャーな悪い食べ合わせだろうか。まあとにかくいろいろあるわけだが、恐らくほとんどの人が知らない悪い食べ合わせとして、“記者とフィットネスクラブ”というものがある。
いきなり嘘を織りまぜた導入で恐縮だが、実際に記者とフィットネスクラブはかなり相容れないものだ。とくにウチの編集部なんかひどいもので、徹夜はあたりまえだわ、仮眠室に行くのが面倒だからイスで寝るわ、夜中にカップラーメンを食いだすわ、飲みに行って家に帰るのが面倒だから会社に泊まるわ、酔い覚ましにカップラーメンを食いだすわ……少し誇張も含まれているが、ファミ通.com記者の多くが不摂生であるのは事実である。そんなわけで、健康を具現化したようなフィットネスクラブなど、その単語を発しただけで息切れがしてしまうほど記者にとっては程遠い存在。しかしどういう因果なのか、2011年7月14日の夜、記者は東京の大崎にあるフィットネスクラブ“NAS 大崎”に、スポーツウェアを身に付けて立っていた。
ここNAS 大崎では、2011年7月7日~9月29日まで“みんなで Dance Central”と題したスタジオプログラムを実施しており、記者はその模様を取材するためにこの日クラブを訪れた。みんなで Dance Centralは、Xbox 360・Kinect専用のダンスゲーム『Dance Central(ダンスセントラル)』をスタジオの大画面スクリーンに映し出し、インストラクターのリードのもとみんなで踊るという、ゲームとフィットネスを組み合わせた新感覚のダンスプログラム。期間中毎週1回行われ、初回実施時には70人近くの人が参加したとかで、フィットネスユーザーからの注目度は非常に高いようだ。この日行われた第2回にも数多くの人が参加。昨今、実際に体を動かして遊ぶゲームは少なくないが、今回のようなリアルフィットネスとの融合はその流れのひとつの到達点と言えるのではないだろうか。今後このような試みが増えてくればユーザーの裾野も広がり、業界としては非常にうれしいことだろう。以上、みんなで Dance Centralのリポートをお届けした。
……え、なに? 記者も参加するの?
前置きが長くなったが、そういうわけで来月三十路を迎える記者は、同行した先輩記者に半ば脅される形でスポーツウェアを借り、みんなで Dance Centralの第2回へ参加することになった。以下、その汗だくリポートをお届けしよう。
先に説明した通りこのプログラムでは『ダンスセントラル』をそのまま活用するわけだが、じつは記者……同作をそれなりにやり込んでいる。ソフト発売前に行われた体験会(その模様はこちら)でその楽しさに魅了されて以来、不摂生な編集部の連中に隠れてこっそり自宅でダンス三昧だったのだ。なぜ隠れる必要があったのかは自分でもよくわからないが、とりあえずソフト発売日から継続してプレイしていたのは事実。なので、先輩記者に見せた嫌そうな表情とは裏腹に、心のなかでは「ここで華麗なダンスを決めて、フィットネスガールと仲良くなっちゃうぞ」とか考えていたりした。そんな煩悩も抱きつつ、プログラムスタート。
最初に選ばれたのは、『ダンスセントラル』の入門曲とも言えるレディー・ガガの『ポーカーフェイス』だ。こんなもの、それなりにやり込んでいる記者にとっては赤子の手をひねるほどたやすい曲。果たして、周囲の人たちとは別次元のキレと正確さで1曲目は踊り終わった。その後も、ソングリスト序盤の低難度な曲が続き、それなりにやり込んでいる記者は「フィットネスクラブ、恐れるに足らず!」と余裕をブッこいていたのだが、つぎの瞬間インストラクターから衝撃のひと言が。「じゃあウォーミングアップはここまでで、つぎはもう少し早いの行きますよ」。ぬぅぅ! ……と言ったかどうかは自分でも定かではないが、じつは記者がそれなりにやり込んでいたのはソングリスト序盤の曲だけであり、それ以上のものをやるなんて聞いていない。オマエの都合など知らない、という生暖かいお言葉が飛んできそうだが、まあこれ以降の記者の様子は推して知るべし。激しく、複雑で、素早い振り付けの連続に「『ダンスセントラル』ってマジで本格派だな!」と改めて感心するとともに、まったく付いていけない自分の不甲斐なさに涙と汗を飲んだ次第である。
また、恐らく『ダンスセントラル』を遊んだことがないであろうほかの参加者たちが、高難度の曲にもそこそこ付いていっていることには驚かされた。ふだんからダンスプログラムに参加しているからであろうか、はたまた元気のいいインストラクターが振り付けを細かく説明してくれるからだろうか、いずれにせよ本作がリアルのダンスプログラムとしてしっかり機能していることはひとつの発見であった。そのほか、ゲームユーザーとして感じたのは、みんなで遊ぶことによって『ダンスセントラル』の魅力がさらに増している点だ。
家でプレイしているとどうしてもスコアを気にして、ゲームを攻略しようとしてしまうのだが、『ダンスセントラル』で大切なのは攻略の楽しさはもちろん、それ以上に踊ることの楽しさであろう。今回大人数で行うダンスプログラムになったことで、必然的に個人のスコアを測ることは不可能となった。これによって、動きの成否を気にする必要がなくなり、踊ることの楽しさだけが強調された印象だ。何やら大袈裟な感じがするかもしれないが、実際に参加してみると家で遊ぶときとは、まったく別感覚なのである。途中からまったく付いていけなくなった記者が言っても説得力がないかもしれないので、NAS 大崎の支配人を務める吉田宗介氏と、みんなで Dance Centralのインストラクターを担当するミキティ氏に本プログラムについていろいろ聞いてみた。なお、記者によるリポートはここで終了とさせていただく。と言うのもさっきから膝と腰が痛くて……。
——今回のプログラムが実現した経緯を教えてください。
吉田 最初に日本マイクロソフトさんからKinectをフィットネスに活用しませんか、というお話をいただいたんです。それで、まずはNAS六本木で『ファイターズ アンケージ』を使ったファイティングのプログラムを展開しました。その第2弾として、NAS大崎で『Dance Central(ダンスセントラル)』を使ったプログラムを展開することになったんです。
——『ファイターズ アンケージ』はソフトを見て独自のプログラムを作るという感じだったのですが、『Dance Central(ダンスセントラル)』はどういう形で展開することにしたのですか?
吉田 今回はダンスのソフトなので、スポーツクラブとコラボレーションするにあたっては、「体をたくさん動かしてほしい」というのがポイントでした。そのときに、全員同じ動きでできるというのが、今回のひとつの目的でもありました。“みんなで躍る”というところが、プログラムの醍醐味になっています。
——Xbox 360を置くために、スタジオを改装したりしたのですか?
吉田 はい。このプログラムのために120インチのプロジェクターを付けさせていただきました。日本マイクロソフトさんには、タイムズスクエアでたくさんの人が踊っているという、ニューヨークでのKinectのロンチイベントの模様を拝見させていただいたのですが、そのイメージをモチーフにしています。
——なるほど。ミキティさんはどれくらい練習したのですか?
ミキティ 1ヵ月まるまるです。レッスンに使う曲を選曲して、実際に踊ってみて、バランスよく組んでみました。
——最初に遊んでみて、Kinectの感触はどうでした?
ミキティ おもしろかったです。何も持たずに手で動かして操作できるので、びっくりしました。
——今回のプログラムの感想を教えてください。
ミキティ 先週プログラムがスタートして、今週で2回目だったのですが、2週続けてプログラムに出てくれたお客様とかは、けっこう(踊りを)マスターしていましたね。あと、ジムのロビーに試遊台が置いてあるのですが、そこで練習をされて1週間後にいらっしゃったお客様もいらっしゃいました。
吉田 プログラムに参加して、難し過ぎていっしょに動けない人もいるのですが、試遊台で復習したり予習したりすることによって、つぎのダンスのレッスンが楽しみになってくるのがポイントだと思うんです。プログラムに出られる方の中には、レッスンの合間に練習される方もいらっしゃいます。あとは、Kinectを購入されて自宅で練習される方もいらっしゃいます。みなさん『Dance Central(ダンスセントラル)』というソフトのよさをしっかりとわかって(プログラムに)出てくださっているようです。『Dance Central(ダンスセントラル)』は、ひとりでも楽しめますし、みんなで楽しく踊れるというのも魅力ですね。さらに、知っている曲ばかりなので、気持よく踊れるかなと思います。
——お客さんの反応はいかがですか?
ミキティ 気に入ってくださった方が多いです。プログラムは1週間に1度なのですが、この1週間練習をして、今日臨んでくださった方もいます。モチベーションがけっこう上がっている方も多いみたいですね。
——取り入れた効果が出ていますかね?
吉田 そうですね。やはりスポーツクラブにはダンスのレッスンってけっこうあるんですよ。ただ、こうやって画面を見て、しかもレッスン講師もいて、どっちも見られるというのは、あまりありません。画面を見ながらキャラクターを真似して躍ることもできるし、ちょっと目を下に落とせばインストラクターもいる。ふつうにインストラクターが目の前でダンスを躍るレッスンとは別で、映像が目から入ってくる楽しみもあるのかなと。
——ほかのプログラムに比べて、難易度はどれくらいですか?
吉田 難しいほうだとは思いますね。
ミキティ 選曲にもよると思います。シンプル過ぎちゃうと、刺激がなくなってしまうでしょうし、お客様が少し惜しんで、「これ、もうちょっとやりたかった」という気持ちになるような曲も少し入れていかないといけないかなと。いまはできなくても、習得のために練習すれば、それはモチベーションアップにつながるわけですし。
——これからひと月以上『Dance Central(ダンスセントラル)』のプログラムはありますが、曲は変えたりするのですか?
ミキティ はい。曲は変える予定です。あと、お客様にセンサーの前に立っていただいてスコアをお客様に出していただいたりとか、カロリーの表示をして、「45分でこれだけカロリーが消費できます」というのをお客様に伝えたり……といったことも考えています。今日みたいな形だけではなくて、いろいろと広げていこうと思っています。
——女性にどう受けていますか?
吉田 初めての方でも出られるというのがポイントだと思うんですね。通常だと、ダンスということで敷居が高いと感じてしまったり、「ダンスができないので、その時点で参加しない」という方も多いのですが、『Dance Central(ダンスセントラル)』の場合は家でもできますし、家で練習したものをここで発表することもできる。さらに、みんなでやるので、そんなに間違いを気にしなくてもいいんですね。音に合わせて体を動かすだけで楽しめるんです。とくに女性が、みんなで躍ることに抵抗があるということであれば、(『Dance Central(ダンスセントラル)』)は、そこの部分はクリアーできるのかなと。本当に原点に戻って、音に合わせて楽しく体を動かすだけでいいんです。
——ダイエットにも最適ですね。
吉田 はい。でも「痩せよう」ということを前提にするとつまらないんですよ。痩せようと言う前に「楽しい」とか、「汗が出た」という実感があるほうがつぎにつながりやすいですし、継続しやすいです。そういった意味でも、(『Dance Central(ダンスセントラル)』は)ダイエットにも最適かもしれませんね。
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