失ったものは殊更目を背け失うことすら叶わないもの

星を指し高過ぎるとて諦めし光は街にありふれしものを

暴力の行方も知らず気が付けば破壊せしものはおのが腸のみ

雨来れば疲れ頭も腐り果てただ闇雲に走りたくあり
鼻をつく臭気も春の陽に紛れ風に紛れる多摩川の集い

間欠泉の如くに腐水噴き上げて逃げ惑う脇に子等遊びたり

世界一の誉れ高きはスウェーデンのシュールストレミングの鼻曲ぐる香

川岸にパンやチーズを持ち込んでウォッカ飲む様は洋画の如くあれど
鹿威し
威す鹿など居ないのに
水は絶えずに
音も絶えずに

頼まれもせずに流れる水にさえ
いちいち鳴らす身のもどかしさ

今、鼻に花を活ければ幾日も保てるほどに水は湧きたり