アンコウは北極海から太平洋、大西洋とインド洋、そして地中海など世界の広い海域に生息する深海魚です。日本近海では北海道から東シナ海の海域に、12科26属67種類が分布しています。大きな口と細かい歯、ヌメヌメした体が特徴ですが、グロテスクな外観からは想像できないほど美味な魚で高級食材として知られています。日本で産地として有名なのは、東日本では福島県いわき、茨城県大洗、そして千葉県の銚子漁港です。本州の最北端は青森県の風間浦漁港で、独自の漁法で生きたまま水揚げされる活アンコウが注目されています。西日本では山口県水揚げ量日本一の下関、熊本県の天草が有名です。

 

 

 

身は蛋白であっさり、コラーゲンたっぷり

 

 

アンコウの身は、まるで白身魚のように蛋白であっさりしています。そしてヌメッとした皮や顔の部位には、コラーゲンとたっぷりの旨味が詰まっているのです。アンキモなどの体の部位は「7つ道具」と呼ばれ、それぞれに旨味や食感が異なります。「海のフォアグラ」と呼ばれるアンキモは、ねっとりした舌触りなめらかな食感と濃厚な旨味が絶品です。全ての部位が味わえる鍋の出汁は上品な味わい、プルプルの身がたまりません。意外なことに唐揚げも美味、シンプルな塩とコショウの味付けでカラッと揚げた唐揚げは、身のプルプル食感と独特の旨味が味わえるのです。