近年、パワハラという言葉をよく耳にしますが、既に浸透しているセクハラに対して、パワハラは法律による定義付けがまだされておらず、どこまでがパワハラかの線引きが難しい問題です。
今回はパワハラを巡る裁判事例を元にし、どのような場合がパワハラと認められるのかを解説します。
これってパワハラ? 意外にわからないパワハラの内容
パワハラについて会社の責任を明文化した法律は現在のところ存在しない
上司だから、指導だから、と我慢している会社内での上司の言動。上司としての指導の範疇を超えている可能性はありませんか?
既に浸透してきているセクハラに対して、パワーハラスメント(以下、「パワハラ」)は法律による定義付がまだされておらず、どこまでがパワハラでどこまでなら上司による指導の範囲内かの線引きが難しい問題です。
法律による定義ではありませんが、現在「職権などのパワーを背景にして、本来の業務の範疇を超えて、継続的に人格と尊厳を侵害する言動を行い、就業者の働く関係を悪化させ、あるいは雇用不安を与えること。」(岡田康子『許すな!パワーハラスメント』)などの定義が提唱されています。
パワハラに関する具体的なケース
では、どのような言動がパワハラになるか、具体例を挙げましょう。
- 「お前なんて、いつでもクビにできるんだぞ」と解雇を材料に部下の言動を牽制する
- 部下の悪口(あいつはほんとに使えない等)を言いふらす
- 「存在自体が目障りだ」といって無視する
- 「こんなことも分からないのか」と馬鹿にする
- ちょっとしたミスでも容赦のない叱責、暴行、無視、冷遇をする
- 上司に意見をしたことを理由に、これまでやってきた業務から外す、無視をする
- 「バカ」「アホ」「才能がない」など、人格を攻撃することを言う
- 通常業務時間内では処理しきれない仕事を与えた上、「残業代、付けたりしないよな」などとサービス残業を強要する。あるいは、達成できなかった場合に罵倒する。
- 目の前にいるのにメールで指示を出す
職場で、上記のような経験をしたことはありませんか?その場合、次のような法的責任が生じます >>
暮らしの法律ガイド 酒井 将