発売されたばかりの新刊。届いたのでさっそく読みました。
とても読みやすいです。核兵器禁止条約が発効して締約国会議が開かれるこのタイミングに、多くの方に読んでほしいブックレットです。最初の一歩としても、全体を俯瞰する復習用としても。
そもそもページ数も少なくコンパクトなのですが、文章が平易で読みやすく、それでいて核兵器が「なぜ悪なのか」、世界でどういう扱いをされてきたのかの歴史、日本の状況、禁止条約の意義、今後に向けた提案まで、俯瞰的に幅広く論じています。禁止条約をめぐって出されがちなよくある疑問に対するFAQにもなっています。
筆者がこれまで積み重ねてきた研究や、講演活動などからのフィードバックも活かされているのでしょう。
改めて思ったことがあります。
これまでも、核兵器禁止条約の最大の意義は「核兵器は悪である」との烙印を押すことにある、と言われてきました。核兵器保有国が参加しない限り、法的拘束力をもって核を放棄させることはできません。でも、「核兵器はいかなる場合であっても悪である」という「規範」を世界の中につくり、その規範の説得力を高めることで、核兵器を使いづらくさせたり、開発に関わる企業への投資を引き揚げさせたり、核兵器を追い詰める色々な動きが可能になるのです。
署名を集めたり、広島・長崎をはじめ世界各地で市民が核兵器反対の集会を開いたり、そういった一つひとつの積み重ねが「核兵器を許さない規範づくり」になっていて、今までどうにか核兵器が使われることを防いできたし、その規範力を大きく強めるのが禁止条約なのです。
「差別の禁止」も同じように「規範づくり」なのだなあ、と思っていました。ヘイトスピーチ解消法ができても、それだけでは不充分です。法律を強化することも大事ですが、一番大事なのは「何が差別なのか」という規範を社会の中に作っていくことだ、と思います。
そういえば核兵器禁止条約では締約国に対して「核被害者への支援」が盛り込まれています。「ヒバクシャへのリスペクト」も込められています。核被害者への差別を許さない、という思想も条約の文章から感じることができますね。