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核兵器禁止条約の第1回締約国会議が終わりました。

ウィーンからは連日のように速報が届いています。3日間の会議だけでなく、その前に開催されたICAN主催の「市民社会フォーラム」や核兵器の非人道的影響について検討する会議も含め、世界中からNGOが集い、日本からも被爆者や若者が参加しました。

YouTubeでは現地と日本を結んで報告したり、さらに広島・長崎とも繋ぐイベントなどオンラインを活かした取り組みもありました。

 

私は可能な範囲でオンラインのイベントに参加していたのですが、最も印象的だったのがCNIC(原子力資料情報室)のセミナーです。

開催はZOOMだったのですが、YouTubeでアーカイブが公開されていますし、講師の資料もDLできるので興味のある方はは全体を観てもらえればと思います。

以下、特に重要と感じたポイントを述べておきます。

 

 

「日本が今すぐできる2つのことー再処理モラトリアムと先制不使用支持宣言」というタイトルですが、「日本政府に(私たちが)求めていかなければならないこと」と読み替えてもいいと思います。

 

「核の先制不使用宣言」というのは、「核攻撃に対する報復としてだけ核兵器を使用する」という宣言を行うもので、米国でオバマ大統領の時代に検討され、当時の副大統領であったバイデン大統領も検討をしています。が、その導入が見送られた背景には「日本を含む」同盟国の反対があったと推定されています。「核兵器保有の唯一の目的化」と呼ばれることもあります。

 

岸田首相や自公は核禁止条約を(一応は)評価しながらも「今すぐは参加できない、現実に核兵器を持っている国が変わらなければならない、保有国と非保有国の橋渡しをする」と言っていますが、「保有国の姿勢を変えさせる」気はあるのでしょうか?行動しないのであれば核廃絶を「究極的目標」と言って永遠に先延ばししてきた従来の政府姿勢と全く変わりません。

 

この姿勢の背景が「先制不使用宣言」への姿勢を補助線にすることで見えてきます。そして、これは同じように「核の傘」支持を主張する立憲・岡田克也元外務大臣と自公政権の決定的な違いでもあるといえます。

 

岸田氏は外務大臣時代の2014年4月25日、外務委員会での議論で「米国の核兵器は、......核兵器国及び自国の核不拡散義務の非遵守国による通常兵器または生物化学兵器による攻撃を抑止する役割を依然として担う可能性は残っている」と答弁しています。

つまり、「通常兵器やBC兵器による攻撃に対して米国が核報復を行う可能性」を期待しているというのが日本政府の軍事方針なわけです。

ところが岸田氏は21年12月14日の衆院予算委員会で先制不使用について「核兵器国の信頼関係がベースにならなければいけない」と答弁、2014年答弁にあった「大量破壊兵器を含む多大な軍事力」という前提に触れず、曖昧にしているわけです。

 

米国内での「先制不使用宣言」に対する姿勢はどうでしょうか。19年5月19日現在でワシントンDCやカリフォルニア州など31の州・自治体議会が連邦政府に対して「核兵器を先に使うオプションの放棄」「核兵器全廃に向けた協定を追求する」といった行動を求めています。また、いくつかの州の世論調査で「米国は核兵器を先に使ってはならない」という声が過半数を超えています。

 

なお、「先制不使用宣言」というのは米国政府による一方的な「宣言」であって、条約などとは違い、米国が意志決定すればできることです。

 

それほどの土台があるにもかかわらずバイデン政権のNPR(核体制見直し)で先制不使用宣言が見送られたのは同盟国(特に日本)の反対があったからだ、と様々なメディアが報じています(フィナンシャルタイムズ、WSJ、読売新聞等)。

 

核保有国である米国が「先制不使用」に進もうとしているのに、その足を引っ張る日本が、条約支持国との「橋渡し」などできるのでしょうか?

 

さて、もう一つの補助線が「再処理」、言い換えれば「プルトニウムの保有」です。

オバマ大統領がノーベル平和賞を受ける理由となったプラハ演説において「核兵器の役割縮小」と並ぶもうひとつの柱が「世界中に拡散している核物質を管理する」という内容でした。そして、核保有国以外では飛び抜けて最大の核物質を持っているのが日本です。

12年3月26日に韓国で第2回核セキュリティサミットが開催されましたが、訪韓したオバマ大統領は韓国外国語大学におけるスピーチで「分離済みプルトニウムのような、我々がテロリストの手に渡らぬようにしようと試みているまさにその物質を大量に増やし続けることは、絶対にしてはならない」と発言、これは日本を想定しているのだろうと思われます。2016年にも米国側高官からは「全ての国が再処理から撤退してほしい」「日米で議論してきた」との声が出るいっぽう、日本政府首脳は「米政府から懸念を伝えられたことはない」「一般論でしかない」と主張しています。

 

21年の自民党総裁選にあたって開催された公開討論会で岸田氏は「核燃料サイクルを止めてしまうとプルトニウムが積み上がってしまい、日本の外交問題にも発展するのではないか」と発言したとのこと。これは明白に誤りで、「核燃料サイクル」こそがプルトニウムを増やしているわけです。

 

日本が核燃料サイクルから脱却できない理由は2つ考えられます。ひとつは「一度決めたことをやめられない、損切りができない」という消極的な理由、そしてもう一つは「核兵器の製造能力を維持し続ける」ということです。民生用と軍事用のプルトニウムでは純度が違い、ウランのようには簡単に分離・濃縮ができませんが、1974年に行われたインドの核実験では民生用のプルトニウムが使われました。

 

米国内で先制不使用宣言に反対する論者からは「不使用宣言により同盟国が独自に核武装をはじめるリスクがある」との説明もされています。

講演では触れられませんでしたが、1950年代に米国がドイツなどに核共有を提供した背景には「同国の独自核武装を防ぐ」という理由もあったとされています。日本は核武装能力を維持し続けることで米国に核の傘を提供「させている」とも言えるでしょう。

 

米国の核先制不使用宣言を支持する、使用済み核燃料の再処理をやめる。これが日本政府が核廃絶のために、核兵器の役割を低減させるために最優先で取り組むべきことであり、日本の反核運動は日本政府に対してこのことを求めていく必要があるのだと思います。