約束の日。
この日は朝から会うことになった。
カフェでお茶して、
その後は2人でくら寿司に行った。
彼はお昼から美味しそうにビールを飲んでいた。
彼は昔からお酒が大好きで、
会う時はいつも飲んでいた。
会社の忘年会で、彼が飲み過ぎて
彼の同僚から迎えに来てあげてと
連絡をもらったこともあった。
もちろんそのつもりでいたから、
私は何時間も前から近くで待機して
彼を最寄り駅まで送って行った。
帰りの電車が私の最寄りまで行かなくて、
タクシー乗り場で彼と電話をしながら
タクシーを待っていると、
長蛇の列が出来ていると言うのに、
私の目の前を割り込んできた男がいた。
私はそれが許せなくて、
彼と電話中だったと言うのに、
ねぇ、ちょっと!
この列見えない?
みんな並んでんだけど!
ちゃんと並んでよ!
それでも無視をして
タクシーに乗り込んだ男が許せなくて
おい!ふざけんなー!
ルールくらい守れよ!
と怒鳴ってしまった。
結局男はそのままタクシーで消えてった。
残された私は周りの人から
白い目で見られていたが、
何も言わずにいるお前らも同じだ!
とイライラしていた。
あっ!電話!
そうだ!私、彼と電話繋いだままだった!
恐る恐る電話を耳にあてると、
彼はこう話し出した。
○○の気持ちは凄くよくわかるよ。
並んでたのに割り込みされたんでしょ?
でもね、女の子なんだから…
今は俺が一緒じゃないでしょ?
もしも○○に何かあっても、
今は守ってあげられないんだよ?
だから、俺がいない時に
そんな危ないことするのはやめて欲しいな…
もしもそれで○○に何かあったら、
俺、悲しいな…。
初めてだった。
こんな私を受け入れてくれた人。
受け入れるどころか、彼を悲しませていた。
私は自分のした行動が正しいと思っていた。
だから仮に、もしも彼がそんな私を否定したら
きっと私は納得いかなくて、
彼に八つ当たりしていただろう。
でも私は彼に心配をかけてしまった。
こんな風に言ってくれるなんて…
大切にされている実感は今までもあったけど、
この時は、本当に心の底から
彼から愛されていると実感出来た瞬間だった。
そんな事を彼と笑いながら話していた。
俺、あの時嬉しかったんだよね。
迎えに来てくれて。凄く嬉しかった。
だからよく覚えてるよ。
彼もあの時の事をちゃんと覚えていた。
私だけじゃなかった。
この8年、どんなに他の人と恋愛をしても
彼との思い出を上書きすることは
出来なかった。