独身の僕は、自治会に加入していない。だから、
近所や地域の方が僕のアパートを訪問することは
多分ないはずだと思って暮らしてきた。
訪問されると言ったら
アパートのオーナーさんや、荷物配達業者さんくらいでしょう。
ですが、この間、夜の7時くらい、
アパートの玄関の前でひそひそ何かを話している声がしたので
僕は台所のカーテンの隙間から様子を伺ったんですが、
なんか、見知らぬおっさんとおばさんがひそひそ会話をしていた。
「うわ、なに、もぉ~、なんか気色悪い」
そして、その直後、
ドアに張っている表札の名前を彼らは読み上げたのだ。
「ここ、山田さんって書いてあるやん」とか言って
人の家のポストをいじってから階段を下りて行った。
でも、その直後ピンポーンと鳴るんですね。
僕はその時は気色悪さからあまり冷静ではなく、
玄関のドアを開けてしまったのです。そしたら、いかつい
おっさんが一人、グラサンで丸坊主、白いスーツを着た
おっさんが、ドアの隙間から顔を入れてきたんですね。
「うわ、なに?」
「新聞取ってくれませんか?」
この風貌、確実Y新聞やんとか思いながら僕は「要らん」
とすぐさまお断りしたんですが、また来ますという
訳の分からんことを言ってききたので、
「来なくていい、帰ってもらっていいですか」と言ってしまった。
あぁ、その日はなんか憂鬱になり、引っ越してきたばかりだが
引っ越そうかなとずっと考えていたな。