第39場 2017年1月19日 アメリカ東部時間(EST Eastern Standad Time GMT-5)22時 ニューヨーク市 ロッドマンフェリーポイントゴルフ場〜支配人室
あのティモシー・カーマイケル氏からの花の贈り物はゴーサインだった。新しい門出を祝う花でもあり、惜別の花でもある。
実は花を見た瞬間にこの老いた脳細胞の一部は即座に演算を開始し、答えをはじき出していた。ただ、計画が事前に漏れてはいけない。まず、自分自身の脳をだまくらかした。答えを導き出した回路を孤立させ、あの花が持つ意味合いの探索に苦悩した。果たしてウォーレン・マクレーン事務長を見事に騙せたのだろうか?
ときは今、いざ出陣だ。
その事務長やダグラス・ホワイト副局長、秘書のメアリー・ステュアート他誰にも気付かれないように2015年1月から2017年1月に飛んだ。
M1、ジャレッドが働いているゴルフ場の支配人室に隣接する物置が秘密のジャンプ室になっていて短縮コードを打ち込むだけで安全に移動できるようになっている。わたしが指示して作らせたもので各年代に飛んでいる他の局員にも教えてある。息抜きにちょっとゴルフを楽しんでもよし、生真面目なジャレッドに相談を持ちかけてもよし。わたしが公認した休憩所の利用率は高いと聞いていたし、ジャレッドの定時報告でも昨日はだれそれがゴルフをしましたとか報告しなくても別にいいことまで丁寧に教えてくれるので誰がストレスを抱えて悩んでいるのかがよくわかった。
わたしはここに飛んでくるのははじめてだったが物置といってもこぎれいに整えてあって、どこぞの専用寝室よりも居心地がいい。ジャレッドの細かい気配りが部屋の角にあるアートフラワーにも現れていた。それほど高価そうではない白の花瓶に黄色いバラ、友愛とか献身とかの意味だろう。まさか嫉妬ではあるまい。ひとつポツンと置かれている椅子はクラブハウスにある椅子より座りこごちがよさそうなゆったりサイズでそこで思わずうたた寝をしてしまった。
夢の中ではまた勝手に小説を書いていた。
「大統領暗殺事件の全貌を語る」