「愛佳ぁ〜」


私の隣で小さくなって泣いている理佐が愛おしく思えた。


今日から私の彼女なんだもん。


「そんなに泣いてたらモデルさんの可愛い顔が台無しだよ」


「うっうう…」


♪ピコンッ


携帯が鳴った。


見てみるとずーみんからのLINEだった。え?今もう夜中の2時なのに。何してんだろ。


泣いている理佐の頭を撫でながらLINEを見ると、


『どうしよう。寝過ごして全く知らないところに来ちゃった助けて愛佳ちゃん』


『どこにいるの?新潟に帰れてないの?』


『新潟なのかも分からないよ〜』


『えぇ、


『眠いからとりあえずここで寝る』


写真が送られてきた。


向こう側に川が見える。ということは橋の上?






「愛佳?」


「あ〜ごめん、ずーみんが迷子になったって」


「見せて」


理佐に写真を見せると眉毛がピクリと上がった。


「ここ知ってる」


「え?


「ここ埼玉だよ」


「は?」


ずーみん新潟行きに乗ったんじゃないの?



『ずーみん、そこ埼玉らしいよ』


『なんで?私埼玉いるの?』


『とりあえず明日迎えいくから』



「なんで理佐この場所知ってるの?」


「撮影で行った」


「へぇ」


 「明日ずーみんちゃん迎えにいく?」


 「そのつもりだけど。」


 「なら送ってくよ。」


 「仕事は?」


 「お昼からだから大丈夫」



 ずーみんに朝行くとだけ伝えて理佐と一緒にベッドに入った。


  「ごめんね、狭くて……」


 「大丈夫。そっちのほうがいいもん。」



 しばらくお話しながら理佐が寝てしまったので私も寝た。





朝目が覚めるとずーみんから着信が何通も来ていた。


折り返し電話をかけるとずーみんではない女の人の声がした。


  「もしもし」


 『あっ、あの、えっと、、今泉さんのお友達の方ですか?』


  「そうですけど。」


 『小林由依と申します。夜バイク…あっ歩いて帰ってたら橋でうずくまってたのでとりあえず家に連れていったんですけど…』


  「あ、ありがとうございます」



えらいつっかえた喋り方するなぁこの人。


緊張してるのかな?


  「あの、今泉は?」


 『あ、えーっと、ご飯食べてます』


   「申し訳ありません。今すぐ迎えにいくので」


  『そんなに急がなくても大丈夫ですよ。ね、ゆいちゃん。』



ゆいちゃん?いつからそんな仲になったんだろう。


とりあえず小林さんに迎えにいくと言って寝ている理佐を起こした。


  「理佐!」


  「ん〜眠い〜」


  「埼玉まで送ってくれるんでしょ!」


  「はぁい。行くからまって。」


 理佐はがっつりメイクをしてサングラスと帽子をつけて行った。



  「メイクする意味ある?」


  「いつ誰に出会うかわからないからね。」



埼玉についた時はもうお昼をまわっていた。


小林さんから聞いた住所を頼りに家にたどり着いた。


♪ピンポーン

 
中からは顔の小さい美人な女の子とずーみんが出てきた。


  「愛佳ちゃんごめんね〜」


  「心配したよ。あ、小林さんありがとうございました。志田愛佳です。」



  「……いえ、こちらこそ。」


  
  「愛佳ちゃん、隣の人誰?」



バレた?そう思って理佐と目配せしていると小林さんの口からびっくりするような言葉が飛び出した。



  「あれ?理佐?」