夫を怒らせてしまったあの夜

実はあれだけでは終わっていなかった。



私はそれでも最後まで慎重に言葉を選び 
なるべく夫を刺激しないように
自分の気持ちを冷静に夫に伝えた。



私 「Sさんがなるべく不快にならないようにするには
どうしたらいいのか、それを聞きたかっただけで
Sさんを責めるつもりはまったくなかったの。」

(夫を怒らせた私の質問は不倫のこととはまったく
関係ない日常の些細なこと。ちょっとした夫のマナー違反を改善するために私はどういう行動をとればいいかというもの。私としてはかなり言葉を選び、夫が傷つかないように注意を払ったつもり。)


夫 「そうかな。僕には責められてるとしか
思えないよ。
Mは僕がモラハラしてるって言うけど
僕にしてみれば僕の方が逆にモラハラされてる気分だよ。」



私 「そう、、、  ごめんなさい。
私、Sさんの人生 台無しにしちゃったよね。
私と結婚しなければ Sさん 不倫なんてしなかっただろうし、(いや、誰と結婚しても夫は不倫してたに決まってる。実際、不倫中にも他の若い女に手を出そうとしてた実績があるし、その他にもそれ以前に他の既婚者にアプローチしていた証拠のメールも押さえているからね)きっともっと楽しい人生だったよね。

これからの人生、私といても楽しくないでしよ。
我慢して私と一生過ごす必要ないんじゃない❓





離婚したいなら
言ってね。」






あくまで冷静に。



夫 「なんですぐそこまでエスカレートするの?
どうしていつもすぐそうやって極端な話に発展するのかな。どうしてこんなところまで来てこんな嫌な話 
しなきゃいけないの。」



私 「そうよね。もうやめよう。
私たち、言葉が通じないんだから 何を話しても無駄よね。おやすみなさい。」



そうして夫はいつものように
砕いた眠剤のカケラで爆睡。



さすがの私も効かないと思いながら
夫の眠剤を多めに飲んだ。







そして今朝…




夫はごくごく普通に
まったく何もなかったかのように明るく

「おはよう☀☀☀」


私もまったく何もなかったかのように明るく

「おはよう😃😃😃」



朝食も他のツアー参加者と一緒に
楽しい話で盛り上がり
その後の見学地でもごく自然に手をつなぎ
(人混みではぐれるとお互い面倒だからね)
お互いを思い遣って楽しい時間を共有する。


来年の旅行の話までしちゃったりして。
(待て待て、私はそこまではもうついて行かないよ?)



前夜、離婚の話をしていた夫婦とは思えない。



私は腹の中は常に怒りが煮えくり返っている。


あの日からずっと。


1分1秒だって忘れることなく。


私の皮膚 一枚めくれば真っ黒な
ドロドロに腐った肉 血 内臓で埋め尽くされている。



前夜 あんなドロドロの話をしながらこの明るさ



私も夫も ほんとに




ホラードクロドクロドクロドクロ