そのあとも私は書斎で仕事の準備をするヤツの隣に立って さらに言いたいことを言った。



「Sさんは私が責めてるって言うけど
   私は過去に起こった事実を言ってるだけ。
  (かなりしつこいけどね)
   それを責められてると思うのは
   それが悪いことだからでしょ?
   なのにいつまでたっても悪いって認めないから
   いつまでもこうやっておかしくなっちゃうん
   でしょ?
   私だってこんなこと意味ないことくらい
   わかってる。
   でもこんな気持ちになる原因はなんなの?
   私だってこんな気持ちになんかなりたくて
   なってるんじゃない!
   だけどどうしようもないから
   こんな辛い時にSさんに優しくしてほしいの。
   だからおとといの夜、あんなに謝って
   許してって懇願したのに
   Sさんは許してくれなかった。
   人がこんなに謝って懇願してるのに
   振り向いて優しい言葉一つかけてくれなかった。
   ひとこと もういいよって言ってくれたら
   こんなに苦しまなくても済むのに。」



ヤツはいつだって優しい声で
「許すとか許さないとか、それがおかしいんだよ。
   あんなにひどいことを言っておいて
   謝られたから はい、そうですかって気持ちを
   切り替えるなんてできないよ。
   僕は僕なりにMと楽しいことを共有して
   Mと幸せになりたいと思って
   いつもいつも努力してるのに。
   こんなに妻にいろいろしてる夫なんて
   そうそういないよ。
   それなのにいつまでも責め続けられて
   もう何をどんなに努力したって意味ないね!」



「無理してどこかに連れて行ってくれなくてもいいか     らこういう時に優しくしてほしいの!
   私だってこんなひどいこと
   言いたくて言ってるんじゃない!
   自分でもどうしようもなくてこんな風に
   めちゃくちゃになっちゃうから
   Sさんに優しく気持ちをわかってほしいのに…
   どうして優しくしてくれないの⁈」


「別に無理してあちこち行ってるわけじゃないよ」



(ほーら、出た!)


「そうでしょ?私のためにあちこち行ってるわけじゃなくて、自分が行きたい所に私も連れて行ってるだけじゃない!」


「そこまで言うか…   もういい!!」


と言って私に背を向けた。



そこで私も書斎を出て一人で内科を受診した。



だって行くとこないんだもん…



まぁ、咳止めも欲しかったし。


帰るともうヤツは仕事に出かけて部屋にいなかった。




夕方仕事を終えて帰って来たヤツは
いつも通り、
「ただいま〜」と至って普通。



何か話しかけてもごく普通…



でも一緒にリビングにはいない。


書斎にこもってる…



イヤだ…


一緒にいたい…



こんなのイヤだ。



でも私から謝ってももうヤツは許してくれないだろう。


まてよ?


許してくれない???



それっていつものことだけどおかしいよ!


なんで私だけがこんなに謝らなきゃいけないの?


いつもいつも
私が苦しむ  
         ⬇︎
ヤツにキレる
         ⬇︎
ヤツが怒って無視
         ⬇︎
私が謝る
         ⬇︎
ヤツは許さず
        ⬇︎
私が降参する



この繰り返し


また「私が降参する」
ってことになるのかな…



もういやだ。



私、いつまでもつかな…