きのう 長男が


遠い遠い所に


転勤で


行ってしまった。


夫が単身赴任になってから十数年
言葉には出したことはなかったけれど
とても頼りにしていた。


大学も自宅から通ってくれて
就職して結婚して、その間 転勤もあったけど
割と近くで、会おうと思えば会える場所だった。



だけど
今回は違う。



夫よりももっともっと遠い所に行ってしまった。



今までは
私が1人の時
具合が悪くなったりすると
薬や経口補水液や食べ物などを届けてくれたり
災害のときも
車で迎えに来てくれて
孤独と危険から救ってくれた長男。



普段 娘たちに比べると
一緒に過ごしたり、話す時間は少ないが
心の中では圧倒的に頼っていた。



長男の前ではまだまだ威張って
子ども扱いしてしまっていたけど
当然ながらとっくの昔に
体力・知力はもちろん、人を思いやる余裕も
長男に追い越されている。



夫の不倫が発覚した時、
離婚を思いとどまったのは
子どもたちに知らせて悲しい思いをさせることが
どうしてもできなかったから。



でも
水面下で続いていることがわかった時、
私はもう、自分で自分をどうすることもできず
誰かに頼らずには呼吸を続けることさえ
できないと思った時、
私は、必死に言い訳する夫に
「もうどうしたらいいかわからないから
   長男に相談する!!
   他に誰にも相談できないから!!」
と言って電話を切り、着信拒否した。



娘たちには、どうしても言えなかった。


「父親が不倫」なんて…   かわいそう過ぎる。


その時は、何度も長男に電話しようと思ったが
結局できなかった…


長男に話したら
すべて終わっていただろう。

夫は子どもたちに知られたら
結婚生活を続ける意味はないと言っていたから。


子どもたちへの体面を保てないまま
家族を続けることなどできないと思ったのだろう。


それならいっそ離婚してさっさとあの女か
他のもっと若い誰かと楽しく暮らそうと
思っていただろう。


今でも
夫の不倫のことを相談することになってしまったら
長男しかいないと思う。



冷静に   時に厳しく
でも きっと優しさも忘れず
私のとるべき道を指し示してくれるだろう。



遠くに行ってしまったけれど
いざとなったら電話もメールもある。


本当に会いたくなったら
どんなに遠くても会いに行けばいい。



そう思って
きのうは空港まで送り
別れ際にハグも握手もできなかったけど
早起きして作った
最後のお弁当を持たせた。



長男は
「また荷物増えるの〜?」
と言いながら 
ゲートに入った後も
何度も何度も
私に手を振ってくれた…



寂しいけれど
この経験は 長男をもっともっと成長させてくれる
貴重なもの。


「夫の不倫」なんてくだらないことで
長男の心を乱さず
本当によかった。



広い世界で自分の力を思い切り試してほしい。


そして大きく成長して
私に
「不倫」なんかで悩むなんてバカバカしいと
心の底から思わせてほしい。



いや、
もうすでに
思ってますけどね。